山歩き 読書

『尾畠春夫 魂の生き方』(1)  始まりは由布岳への恩返しから

投稿日:2019年10月17日 更新日:

『尾畠春夫 魂の生き方』を読んでみた。

 平尾台でセイタカアワダチソウの駆除ボランティアをした(関連記事はこちら)こともあり、通称「スーパーボランティア」の尾畠春夫さんのことが知りたくなった。尾畠さんのボランティア活動の出発点が、由布岳(大分県)の登山道整備だと聞いていたからだ。

 ネットで調べると、『尾畠春夫 魂の生き方』という本が出版されていると知り、北九州市立図書館検索システムで検索。八幡西図書館に1冊だけ所蔵されていると分かり、さっそくリクエストして取り寄せた。

 「いい笑顔だなぁ」、本書を手に取った第一印象である。ぼくとつで飾らない笑顔、目に優しさがにじみ出ている。中央に「聞き手・構成/松下幸、南々社編集部」とあるので、尾畠さんへのインタビューを書籍にまとめたものだろう。

「尾畠春夫 魂の生き方」

 amazonで本書は次のように紹介されている。

内容紹介
<マスコミが報道していない、知られざる尾畠像を描く>
<若者から、中高年が第二の人生をどう生きるかまでを、示唆する本>

スーパーボランティア・尾畠春夫さんの知られざる実像を描いた本です。
聞き書きスタイルで、読みやすい文章となっています。

●約30時間に及ぶ密着取材にもとづく物語
●写真も約80点(生い立ち、自宅生活、ボランティアなど)掲載

全国の若者から高齢者まで、強烈な生き方で注目を集めている中、 一見、大胆で、破天荒に生きているように見えますが、 実は、何事にも用意周到で、計画的に、着実に人生設計をして、 「世のため、人のために」、人生を全力疾走で生きている方です。
2歳児救出の裏にも周到な準備と考えがありました。

「年金、月5万5千円で十分」と、人生を生き切っています。 その真摯な姿をリアルに描いた、人物ノンフィクション。 若者から第二の人生をどう生きるかまで、幅広い世代に参考となる内容です。
『何事も、先をみて手を打っていく流儀』など、これまでマスコミ(テレビ、新聞など)で報道されてきた「尾畠像」を覆す意外な一面も数多く紹介しています。

(出典:Amazonの内容紹介)

 「マスコミが報道していない、知られざる尾畠像を描く」というコピーにも惹かれ、一気呵成に読み上げた。

 感想は‥‥、面白かった。尾畠春夫という人物の魅力が丁寧に描かれており、ぜひ拙ブログで紹介したいと感じた。

 

由布岳への恩返しから始まったボランティア活動

正面登山口からの由布岳

正面登山口からの由布岳(2018年6月撮影)

 尾畠さんが由布岳登山道整備のボランティア活動を始めたのは、1993年。尾畠さんは1939年生まれだから、54歳の頃である。

 本書では、その動機は次のように語られている。

 そのとき、こう思ったんです。大分にはあの深田久弥が絶賛した「豊後富士」と呼ばれる由布岳があるじゃないか、と。これまで数えきれないくらい登ってきたけど(月に27、28回登ることも)、それは単に登山をするだけだった。山への感謝の気持ちを形にするために何かをしたいと思って、まずは登山道の整備を始めました。

(出典:前掲書)

 具体的には、次のような活動をなさったとのこと。

  • 登山道に倒れた木の撤去、崩れかかった路肩の補修、案内板の設置
  • 急斜面の場所に登りやすい階段を作る。
    海岸に打ち上げられた漁業用の網を拾い集めて編み上げ、石をつめて作る。
  • 竹で作った特製の杖を登山口に置かせてもらう。毎年山開きの時に200本を寄贈。
  • 朽ち果てていた休憩用の椅子やテーブルを補修。

 時には「50キロ以上の材料を背負って登る」こともあったというから、驚きである。尾畠さんは65歳でリタイヤするまでは、現役の魚屋として開店していたと聞く。店主として営業しながら、このボランティアをよく続けられたものだと、感心することしきりであった。

由布岳正面登山口の竹杖

由布岳正面登山口の竹杖(2018年6月撮影)

 YouTube で登山道整備に精出す尾畠さん(62歳当時)の動画を発見した。6分9秒と少し長いが、尾畠さんの登山道整備の実際とその思いがよく分かり、興味深く拝見した。

 最後に「撮影:進宣男さん、林孝子さん 語り:林孝子さん」というキャプションが現れる。林孝子さんは、尾畠さんのご近所にお住まいの方のようだ。

※ 本稿の次の記事はこちら >『尾畠春夫 魂の生き方』(2) 存分に人生を謳歌する80歳

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