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レインウェアの洗濯&撥水処理に取り組む
出典:Facebook/GORE-TEX® Products
久しぶりにレインウェアを洗剤で洗い、撥水処理までやってみた。1年ぶりぐらいの本格的なメインテナンスとなる。普段はバケツの水で泥や汚れを洗い流して、干すだけなのだ。
きっかけは先日の黒岳山行で雨に打たれた際、手入れ不足で撥水性が低下し、体から出た水蒸気が内にこもり結露したため。日頃のメインテナンスを怠った報いである。
小生のレインウェアは、モンベルのストームクルーザーという商品で、雨具の定番と言われている。モンベルのありがたい点は「上下別売」方式なので、用途に応じて色やサイズ、製品モデルまでも自由に組み合わせられること。小生は破れたり古くなったら、その都度パーツごとに購入するようにしている。
今回は自身の備忘禄も兼ね、ゴアテックス雨具の洗濯と撥水処理のやり方を記事にしてみた。あくまで小生の「我流」であることを予めおことわりしておく。レインウェアの手入れについて、後述するような疑問をお持ちの方には、お役に立てるかもしれない。
メーカー推奨の手入れ方法をご覧になりたい方は、次のような関連サイトを参考にされることをお勧めする。
※ モンベル社の「レインウェアのお手入れ方法」はこちら >
※ ゴアテックス社(公式サイト)の「お手入れ&サポート」のページはこちら >
ゴアテックスのウェア、手入れについての3つの疑問
ゴアテックスの雨具を初めて買った時は嬉しかった。同時に値段の高さにも驚かされた記憶がある。たとえば、今所持しているストームクルーザーは、2019年8月現在でジャケットが20,800円、パンツが13,500円、合計で34,300円である。とても気軽に買える値段ではない。初めてゴアのレインウェアを購入した時も、上下で3万円を超えていたと思う。
高額商品であるから、手入れをしっかりやって長持ちさせ、特長である「透湿防水性」を維持したいと思うのは人情。
山歩きを始めた頃に、雨具のメインテナンスで疑問に思っていたことが3つあった。
- ゴアテックスのウェアは、「専用洗剤」で洗わなければいけないのか?
登山用品店で売っている「専用洗剤」は高額で、気軽に洗濯できない。 - 洗濯機と手洗い、どちらで洗うべきか?
洗濯機洗いは、生地が傷みそうだ。 - 撥水性回復のため、熱処理はやらないといけないのか?
乾燥機は自宅にないし、アイロンかけはめんどう。熱処理はできればやりたくない。
この件に関しては、山道具好きの方があちこちのサイトで持論を述べて下さっている。「ゴアテックス レインウェア 洗濯」で Google 検索をかければ、多くの情報を閲覧できるだろう。
現時点の小生なりの結論は、以下のようになる(素人の独断のため、責任はもてない)。
ゴアテックスのウェアは、「専用洗剤」で洗わなければいけないのか?
登山用品店で販売されているゴアテックス用の洗剤は高額だ。何か特殊な成分が含まれているのかと成分表をよく見ると、合成洗剤「中性」とか「弱アルカリ性」の表示が記載されている。
ゴアテックスの公式サイトで「お手入れ&サポート」のページを見ると、洗濯方法は次のように紹介されている。
洗濯機に入れ、40ºC 以下のぬるま湯で、少量の液体洗剤で洗ってください。すすぎは 2 回、脱水時間は短めにします。粉末洗剤、柔軟剤、染み抜き剤、漂白剤の使用は避けてください。汚れがひどい他の衣類と一緒に洗濯しないでください。
この記述から考えられることは、
- ゴアテックス社が指定する「専用洗剤」なる物は、特にない。
- 「少量の液体洗剤」であれば使用に問題はない。ただし「柔軟剤、染み抜き剤、漂白剤」(蛍光剤も)が入っていない、「無添加」の液体洗剤に限る。
ならば、市販の安価な洗剤でこれらの条件を満たすものを探せばよい。
小生は、添加物の少ない洗剤が撥水性の保持に有利だと考えているため、「無添加」であることを重視して探してみた。
どうやら次の2製品がよく使われているようだ。
- サラヤ arau、アラウ洗濯用石けん 1.2リットル
弱アルカリ性、純石けん分(脂肪酸カリウム30%)、価格600円程度 - ミヨシ石けん 無添加 衣類の石けん 1200ml
弱アルカリ性、純石けん分(脂肪酸カリウム30%)、価格600円程度
どちらも同じ成分、同じ容量、同程度の価格である。価格も「専用洗剤」よりは圧倒的に安い。
小生は7年前に「無添加 衣類の石けん」(ミヨシ石けん社)を購入し、現在までゴアの洗濯に使ってきたが、これまでに問題は発生していない(あくまで個人的な経験と感想である)。洗剤はまだ0.2リットルほど残っているのであと1~2年は使えそうだ。
洗濯機と手洗い、どちらで洗うべきか?
初めてゴアテックスのレインウェアを購入した頃は、洗濯機で洗っていた記憶がある。
しかし、「あなたは、3万円出して買った衣類を洗濯機で洗いますか?」という山友の一言で「手洗い派」に転向した。たとえネットに入れて洗ったとしても、洗濯機は確実に生地を傷めるからだ。
ぬるま湯で押し洗いがベスト。手間がかかるすすぎはバスタブ(浴槽)でやるという方法をネットで見つけ、以来それを真似して現在に至っている。
濡れたウェアは浴槽に吊し干しをしておけば、特に脱水の必要もない。時間がたてば乾いてくれる。
撥水性回復のため、熱処理はやらないといけないのか?
自宅に乾燥機はないし、アイロンかけはめんどうだ。熱処理をやらずに済ませられるのなら、これに越したことはない。調べてみると、生地表面の「撥水基」と呼ばれる突起を、熱で立ち上げてやる必要があるらしい。
メカニズムは次のようなものだとか。
- 撥水生地が水を弾くことができるのは、表面に「撥水基」と呼ばれる無数の微細な突起がついているから。
- この『撥水基』が水の分子よりも目が細かいため、水は生地内部に侵入することができない。
- 撥水性を回復させるためには、汚れや摩擦によって倒れているこの「撥水基」をもう一度起こしてやることが必要となる。
- そのためには、熱を与えて処理をする工程が必要である。
つまり、撥水性を回復するには熱処理は必須であるということ。やるしかあるまい。
ゴアテックスの公式サイトが推奨するのは、乾燥機で20分間の乾燥のようだ。
ウェアは吊干しまたは乾燥機で乾かしてください。完全に乾いた後に、乾燥機を用いて 20 分間温風乾燥することで、表生地の耐久撥水(DWR)加工を回復させることができます。
(略)
撥水回復の際、乾燥機を使用できない場合は、乾燥したウェアの上に当て布をして、低温、スチームなしの設定でアイロンをあててください。
乾燥機がないわが家では、手間はかかるがいつもアイロンで対応してきた。先日近くのコインランドリーをのぞいて見ると、一番小さな乾燥機(13kg用)の使用料は10分100円、20分で200円だった。一度試してみる価値はありそうだ。
次回は、8月27日~28日に実際にレインウェアの手入れをしたレポートを紹介させていただこう。
※ 本稿の続きはこちら >レインウェアの手入れ、手軽に安くできないか (2)