先日本ブログで紹介した保山耕一さんの Youtube チャンネルから、通知が入った(好きなチャンネルを登録しておくと、新しい作品がアップされる度に知らせてくれる)。
※ 先日紹介した保山さんの記事はこちら >あとからくる君たちへ(38) 「奈良、時の雫」、命の輝きを撮り続ける
さっそくPCでのぞいてみる。作品名は「陽はまた昇る」(2020年7月24日)、いつもは3~5分程度の長さなのに、今回は9分超の長尺だ。
不思議に思って添えられたメッセージを見ると、「コロナ禍での皆様への私からのメッセージです。」とある。なるほど‥‥。
「陽はまた昇る」を視聴する
「陽はまた昇る」の前半は、奈良の平城宮跡に昇る見事な日輪の映像。光輝く旭日が大地を照らし、生きとし生けるものに惜しみなく光と熱を注いでいる。
BGMは “Pray for the World”(世界のために祈る)、東日本大震災発生から10日間、岩手県釜石市の遺体安置所での現状を描いた映画、『遺体 明日への十日間』で使われた曲だ。
作品の後半は、吉野山(多分)に爛漫と咲き誇る山桜の映像で、朝日に照り映える桜花の美に言葉を失ってしまう。
BGMは “You Raise Me up” で、英語の歌詞で歌われていた。
PCの画面を見ているうちに自然に目がうるんでくる。なぜだろう。隆盛と希望のシンボルである朝日、日本人の心のふるさと奈良、美しい山桜、そしてバックに流れる “You Raise Me up” の歌声‥‥。これらが相まって心が揺さぶられ、目頭が熱くなってきたようだ。
前置きが長くなった。少し長いが、映像詩「陽はまた昇る」(保山耕一作、9分1秒)をご覧いただきたい。お時間のない方は、後半(5分01秒から開始)だけでもどうぞ。
“You Raise Me Up”と「朝日ににほふ山桜花」
”You Raise Me Up” は、2002年 アイルランドとノルウェーの二人組、シークレット・ガーデンが発表した楽曲。発表以来、多くのミュージシャンによってカバーされ続けている名曲とのこと。
確か “raise” は、「持ち上げる、高める」という意味だったと記憶する。直訳すると「君は私を立ち上がらせて(勇気づけて)くれる」という意味ではないか。こんな予想をしながら、日本語の訳詞がついた動画を探してみると‥‥、あった!
You raise me up, so I can stand on mountains
You raise me up, to walk on stormy seas
I am strong, when I am on your shoulders
You raise me up…to more than I can be.あなたの力で私は頂に立てる
あなたの力で嵐の海も進んでいける
貴方が支えてくれる時私は強くいられる
あなたの力で私は自分を超えて行ける(出典:Kei’s Echo)
何度も繰り返される「サビ」の部分、コロナと戦う人々への激励のメッセージだと納得。長く苦しいガンとの戦いに耐え、再起を果たした保山さんだからこそ、苦しみ立ち上がろうとする方々の思いが理解できるのだろう。
この映像が小生の涙腺をゆるませたもう一つの理由は、吉野山の桜。江戸時代の国学者、本居宣長(もとおり・のりなが)の次の歌を思い出してしまったから。
敷島(しきしま)の やまとごころを 人問(ひとと)はば 朝日ににほふ 山桜花
大和心とは何かと人が尋ねるなら、
朝日に照って輝く山桜の花(であると答えよう。)日本人である私の心とは
朝日に照り輝く山桜の花の美しさを知る
その麗しさに感動する そのような心です。(本居宣長記念館HPより)
”You Raise Me Up” を聞きながら吉野山の桜を見ていると、”You” とは山桜に象徴される日本の自然と、この国を愛し守り続けた先人の魂かもしれない。そんな気がしてきたのだ。
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