9月27日に実施される安倍元総理の国葬(政府は「国葬儀」と言っている)。野党の過半数は反対。マスコミの論調も国葬反対か、反対をにおわせるものが多いようじゃ。
ワシゃ高齢者じゃから、その理由がよう分からんのじゃ。どなたか教えてもらえんですか。
目次
法的根拠がないと言う「根拠」は?
国葬反対の最大の理由は、「法的根拠がない」ということらしい。具体的には、国葬について定めた国葬令(1926年制定)が1947年に廃止されており、現在は国葬実施の根拠となる関係法令がないからだとか。
もし岸田内閣が法的な裏付けなしで国葬を決定したのなら、許せんぞ。法治国家のルールを無視した岸田文雄首相とその内閣は、非難されて当然じゃ。
ワシゃ法律に無知な一般人なのでよく分からんが、急ぎ対応を迫られる事象が起こり、該当する法令がない場合はどうするか。現在施行されている法令等に基づき判断、対処するのが原則と思うとる。
たとえば、コロナ・ウィルスが流行し始めた2020年当初は、コロナウィルス感染症に関連する法令等などなかった。
だから、しばらくは既に施行された法律(「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」)等をもとに国や地方自治体が状況を判断し、現行法の範囲内で適切と考えられる対応をとったと記憶している。
安倍元総理大臣の「国葬」をめぐり、国会では9月8日、衆議院内閣委員会で閉会中審査が行われとる。法的根拠についての岸田総理の説明は、次のようなものじゃった。
- 安倍元総理の「国葬儀」の法的根拠は、内閣府設置法である。
同法第4条第3項第33号に、「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」は内閣の所掌事務(=管理し処理する業務)であることが定められている。 - 内閣の所掌事務は、閣議決定をもとに政府が実施する。
- 本件が法的に問題ないかについては、内閣法制局にも確認済み。
つまり、国葬について直接定めた法令はないが、内閣府設置法第4条第3項第33号に基づき、国が行う「儀式」として行政権(法律に沿って政策を実行する権限)の範囲で国葬儀を行うことができるということ。
岸田総理の説明、別に問題はないと思うんじゃが、どこがいけんのかのう。
多くの方々が「法的根拠がない」と主張する「根拠」を知りたいもんじゃ。
閣議だけで決めるのが問題?
閣議室(出典:首相官邸ホームページ)
先に述べた閉会中審査で、立憲民主党の泉代表が「この国葬決定は誤りだ。総理大臣と内閣だけで決められるのか。強引な決定方法に反発が起きている」と述べている。
ここが、ワシにはよく分からんのじゃ。
「総理大臣と内閣だけで決められるのか」と言うが、内閣設置法(前述)では決められると定めている。法に基づいて決定したことを「誤り」と言うのなら、その主張の「法的根拠」が知りたいのぉ。
どこかの法律に、「国の儀式」の決定は国会の決議を得ること、という条文でもあるのじゃろか。
中学校の社会科で「三権分立」について学習した。その時の記憶が正しければ、国会の役目は、予算の審議と成立、立法、条約の批准だったと記憶している。
余計なお世話じゃが、中学生並みの知識のワシが考えた国会のなすべきことは、次の3つぐらいじゃろうか。
- 国葬費の使い方に疑問があるのなら、政府に説明を求める。(閉会審査で実施)
- 国葬に伴う問題点を改善したいのなら、内閣府設置法の改正案か新たに国葬法案を提案する。(これが国会議員の本来の職務)
- 内閣の国葬の実施及びやり方が不満なら、内閣不信任案を提出する。
しつこいようじゃが、どうして「総理大臣と内閣だけで決め」てはいかんのじゃろうか。そう主張する「法的根拠」はどこにあるのか。
ワシにはさっぱり分からん。
「弔意の強制」って、具体的にどんなことじゃろか?
今回の国葬について、マスコミはこぞって「弔意の強制だ」という主張を繰り広げてきたようじゃ。
ワシが時々のぞく「晴川雨読」というサイト。「ほぼ毎日、日中韓55紙の社説一覧を上げています。また記事へのツッコミや社説比較をしています」とあるので、各紙の論調の違いを確認してみた。
2022年8月27日の「国葬儀は弔意の強制なのか?」という記事によれば、「弔意の強制」についての各紙社説は、次のように仕分けされている。
出典:晴川雨読「国葬儀は弔意の強制なのか? 2022年08月27日」
産経、読売の2紙以外は、全て弔意の強制か強制と読み取れる主張のようじゃ。これだけの数の新聞が、こぞって弔意の強制を危惧しているとは。どんな恐ろしいことが起こるんじゃろう。
毎日気ままなシニアライフを謳歌しているワシは、強制されるのが大嫌いじゃ。そこで、どんなことが強制されそうか、考えてみた。思いつくのは、儀式への参加や黙祷の強制、喪服着用の強制、反対の意見表明の制限‥‥、他に何かあるかのう。
国葬まで約2週間に迫っているが、そんな強制が行われる気配は全くない。岸田総理も「国民一人ひとりに喪に服することを求めるものではない」と閉会中審査で述べていた。
つまり、政府は「この日はお休みにはしません。儀礼的なことに対して弔意を強要することはしません。国民は自由にしていてください」と言っているようじゃ。
いったい何を強制されるんじゃろうか? どんな言動が制限されるんじゃろうか? 社説で「弔意の強制」と憂慮されていた各紙論説委員の方々、教えてもらえんですか?
ワシは心配で、夜も眠れそうにないんじゃ。
静かな環境で弔意を示したい
安倍元首相の死を悼む人々(画像出典:『月刊Hanada』2022年9月特大号)
メディアが行う世論調査では、国葬賛成で弔意を示したいと考える国民も半分ぐらいはおるんじゃ(実際には、もっと多いと思うとる)。「弔意を示したい」と考えるワシらの姿は、野党やマスコミの方々には全く映っていないようじゃ。
国民と国のために8年余りも命を削って闘い続け、テロリストの凶弾に倒れた安倍元総理。その死を悼み、その功績を称えたい。静かな環境で哀悼の誠を捧げ、ご冥福を祈りたい。こう考えるワシらの思いも尊重してもらえんじゃろうか。
9月27日だけは、静かにしておいてくれんかのぉ。
追記
1 政府、H12年に国葬を「国の儀式」と規定済み、との報道(2022年9月18日追記)
国葬(国葬儀)は内閣府が所管する「国の儀式」であると、22年前の政府作成文書に規定されていたことが、産経新聞(令和4年(2022年)9月13日付)で報じられている。
記事を読めば、安倍晋三元総理の国葬(国葬儀)が、法的根拠を十分に満たしていることがよく分かる。
産経、読売以外の各紙は黙殺(?)するだろうから(確認はしていない)、関連情報として紹介しておきたい。
国葬「国の儀式」規定 内閣府設置法 施行前の内部文書に
政府が平成13年の内閣府設置法の施行前に作成した内部文書に、国葬(国葬儀)を内閣府所掌の「国の儀式」と規定していたことが12日、分かった。安倍晋三元首相の国葬(27日、東京・日本武道館)をめぐり、立憲民主党などの野党は国葬の法的根拠が乏しいと主張している。岸田文雄首相は「行政権の範囲」と説明しているが、国葬を国の儀式として執り行えるという解釈が、法律の施行段階から維持されていることが明らかになった。
内部文書は、同法が施行される前年の平成12年4月に政府の中央省庁等改革推進本部事務局内閣班が作成した「内閣府設置法コンメンタール(逐条解説)」。同法の内容を補足するためのものだ。
同法4条では、内閣府の所掌事務として「国の儀式、内閣の行う儀式および行事の事務に関すること」と定めているが、逐条解説には、「国の儀式」には①天皇の国事行為として行う儀式②閣議決定で国の儀式に位置付けられた儀式-の2種類があるとしており、②の具体例として「『故吉田茂元首相の国葬儀』が含まれる」と明記している。
(略)
(出典:産経新聞 令和4年(2022年)9月13日)
2 安倍晋三元首相国葬差し止め申し立て、最高裁が棄却決定との報道(2022年12月24日追記)
安倍晋三元首相の国葬について、(1) 閣議決定の取り消し、(2)関連予算の執行差し止めを求めていた申し立てについて、最高裁の判断が確定した。最高裁は申し立てを行った市民団体の特別抗告を棄却する決定をした。
安倍晋三元首相国葬差し止め申し立て、最高裁が棄却決定
2022/12/20 16:55安倍晋三元首相の国葬を巡り、閣議決定の取り消しや関連予算の執行差し止めを市民団体のメンバーらが求めた3件の仮処分の申し立てについて、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は、市民団体側の特別抗告を棄却する決定をした。いずれも19日付。申し立てを却下した横浜、さいたま、大阪の各地裁と東京、大阪両高裁の判断がそれぞれ確定した。
同様の仮処分は東京地裁でも申し立てられたが、9月に最高裁で却下が確定している。
(出典:産経ニュース 令和4年12月20日 https://www.sankei.com/article/20221220-KUKMLEGRX5O4NDVDNOLMR345HU/)
「棄却」とは、訴えを受けた裁判所がその申立てを理由がないとして、また法に合わないとして、無効の言渡しをすること。つまり安倍元首相の国葬については、最高裁が閣議決定も関連予算の執行も合法だというお墨付きを与えたのである。
「この国葬決定は誤りだ。総理大臣と内閣だけで決められるのか」と主張していた某政党の方々や、多くのマスメディア関係者のコメントを伺ってみたいものだ。
この記事は新聞紙面には見当たらなかった(ネット配信のみか?)ので、産経新聞社の公式サイトのスクショ(PC画面の一部切り抜き)を貼っておく。
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