※ 本稿は2019年8月31日の山行記録を、9月4 日にアップしたものです。
降り続く秋雨の合間に、1日だけ晴れ予報が出たのが8月31日。この日を逃すと翌日以降も雨と聞き、N氏と共に地元の福智山に向かうことにした。
目次
コースと活動概要
◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。
07:53 鱒淵ダム堰堤~08:28 七重の滝登山口~山瀬分れ~10:50 豊前越~烏落ち~ 11:45-12:47 福智山(901m)~九州自然歩道~ 14:17 九州自然歩道登山口~ 14:42 鱒淵ダム堰堤
※ 七重の滝登山口~豊前越の間は、何度も渡渉点を探したり登山靴を脱着した時間が含まれるため、参考になりません。
参加メンバー:2人(N氏、がしん)
活動時間(含む休憩時間) | 6時間45分 |
活動距離 | 12.6km |
高低差 | 747m |
累積標高 上り/下り | 1,433m/1,427m |
消費カロリー | 3,104kcal |
連日の雨で水かさが増し、靴を脱いで渡渉
福智山ろくの鱒淵ダム到着が7時40分頃。この数日の長雨でダムの貯水量は満杯状態のようだ。N氏によれば、2~3日前に緊急放流のサイレンが聞こえていたとのこと。
当初は九州自然歩道を歩く予定だったが、七重の滝コースを歩きたいというN氏のリクエストに応え登路を変更。かなり沢が増水しているだろうと思っていたが、予測通り。登山口から歩を進めると、滝音のようなすさまじい水音が聞こえてくる。沢の水量もけっこうなものだ。
次の写真は登山口からすぐの渡渉地点の写真(2019年4月撮影)。本来は頭上に張られたロープを頼りに、足元の飛び石を伝って渡る箇所。今日は増水した水のため、飛び石も足がかりも完全に水没。とても渡れる状態ではない。
やむなく付近の渡れそうな浅瀬を探す。数十メートル上流になんとか渡れそうな箇所を見つけ、登山靴を脱ぎ裸足で徒渉する。茶色のザックは行橋から来たとおっしゃる男性。渡渉地点を探す間に知り合った方。
初めて福智山に来たという割には、鎖さばきも手慣れたものである。
写真ではそれほど感じないかもしれないが、この日の七重の滝の水量と水音はかなりのものだった。危険を感じる場面に遭ったら、即下山するつもりだった。「していい無理」と「してはいけない無理」の判断が大事、と気を引き締める。
結果的には、この後3ヶ所で渡渉をすることになる。「七の滝」上部の沢は再び靴を脱いで、続く山瀬分れまでの沢2つは靴を履いたまま、渡ったのだ。
山瀬から先は、沢を離れ杉林の間を縫ってゆるやかな登りが続く。時折吹く風に秋の気配を感じるものの、やはり8月。汗がとめどなく流れ落ち、タオルが見る間にびしょびしょになってしまう。
豊前越着が10時50分。ベンチに腰を下ろし、喉をうるおす。ここまでくれば気持ちのよい縦走路を歩く楽しみが待っている。樹間を抜ける風がさわやかで心地よい。
山頂で憩う山人たち
福智山頂は既に秋風が吹き、すすきの穂が揺れていた。吹き抜ける涼風が、火照った身体に心地よい。生き返ったような思いである。連日の雨の合間の貴重な晴れ間とあって、数多くの登山者が思い思いの場所に陣取り、展望を楽しんでいる。
ふと向こうに目をやると、屹立する露岩上にすっくと立ち、はるか彼方を遠望する男性の姿が‥‥。この岩上は眼下の鱒淵ダムから右手の貫山、正面の足立山を望み、関門海峡までも見渡せるビューポイント。
一人の世界に没入されたかのような立ち姿にある種の感慨を覚え、思わずパチリ。今日からこの岩を「哲学の岩」と呼ぶことにしよう。
左前方に視線を移すと、こちらの岩の上でもランチの後のまったりムード‥‥。
小倉南区の平尾台方向には、三菱マテリアルの石灰岩採石場が。
すぐそばでは、食事を終えたN氏が山頂の平らな岩の上でしばしまどろんでいる。秋風が実にさわやかである。
数メートル先の声に聞き耳をたてると、山ろくでマタタビを採取して来たという男性の声が‥‥。
「このマタタビをホワイトリカーに漬けてマタタビ酒にするつもり。杯(さかずき)一杯飲んだら『また旅にでようか』というくらいに元気になるから、マタタビと言うんじゃ」とか。なるほどなるほど。
山頂でのどかでゆったりとした時を1時間以上も過ごし、帰路は通い慣れた九州自然歩道を淡々と下山。ナデシコ、秋のキリンソウ、桔梗、ツリフネソウなどを楽しむ。あいにくカメラの調子が悪く、秋の花々をうまく撮れなかったのが心残りである。
川の増水で渡渉に手間取ったが、山頂の涼風と山人たちの姿に心癒やされた一日であった。感謝、感謝である。
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