パタゴニア社のウェアは総じて高い! だから普通は買わない。そんなパタゴニアのウェアだが、二つだけ持っているものがある。
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R2ジャケット(フリース)のファスナーが破損
その内の一つが、R2ジャケット。俗に言うフリースのことだ。ちなみにフリースを最初に開発したのがパタゴニア社であることは、あまり知られていないようだ。決してユニクロなんかではない。
小生のR2ジャケットは濃い茶色。軽くて暖かくて着心地がよいため、お気に入りのウェアで、かれこれ6~7年は着ていると思う。
知人や信頼できる山道具店主の勧めもあり、ウェブサイトの評判も確認して「これなら間違いないだろう」と珍しく大枚をはたいて買った。たかがフリースが2万円以上もするのだ!
何度も洗濯を繰り返しているので毛足も短くなり、少しすり切れてきたがまだまだ現役で活躍中だった。そのR2ジャケットのファスナーが、昨秋破損した。
しかも1ヶ所だけではなく、全ポケット(3箇所)のファスナーがズタボロ状態なのだ。
こんなになっても、お気に入りなので、室内着として着続けていた。ついうっかりこのまま外出してしまい、後で顔を赤らめるような体験もした。
パタゴニア社の製品修理サービスの情報
何とか修理ができないものかと、パタゴニア社の公式サイトをのぞいてみると、修理は可能なようだ。
※ パタゴニア社のサイトはこちら >patagonia
同社の修理サービスのページから、「修理依頼票」(PDFファイル)をダウンロードして印刷。必要事項を記入して、修理依頼品と一緒に送付する。
品物が到着すると、次のような内容のメールが送られてきた。
修理は約1ヶ月かかり、出来上がり次第返送(返送送料は、依頼者負担)。
ファスナーのほころびは、圧着できないため、縫製で対応するとのことだった。
見積は次のとおり。
修理内容:圧着シーム剥がれ ステッチ補修(フリース製品/3箇所)
・修理箇所:胸ポケット、右ポケット、左ポケット
・修理代金:440円×3箇所=1,320円
・送料:¥550(税込)
・合計:¥1,870(税込)
修理が終わり、昨日受け取ったジャケットの包み。
封を切り、ポケットを確かめるときれいにステッチがかかり、補修されている。
左ポケットを広げてみると、裏地の部分に細かい縫い目がきれいに続く。ていねいな縫製だ。
ビニール袋の中には、さりげなく “WORN WEAR” (使い古し)のシールが入っていた。
袖を通してみると着慣れたフリースの着心地が懐かしい。少なくとも、あと5~6年間は着られそうだ。
「WORN WEAR 新品よりもずっといい」というコンセプト
「WORN WEAR」、つまり使い古した衣類。同社の日本語でのキャッチコピーは、「新品よりもずっといい」。このコンセプトで、修理促進を行っているのがパタゴニア社の方針のようだ。同社のポリシーに興味が湧いたので、日本語公式サイトを改めてのぞいてみた。
驚いたのは、次の写真とメッセージ。ここまで補修テープやパッチを貼ったダウンを着ている人は、初めて見た。
出典:パタゴニア公式サイト
メッセージもしゃれている。
“Every patch is a memory,
every tear has a tale.
These are the stories we wear.”※ ”tear”は「涙」だけでなく「 裂け目、破れ目」の意味もあるようだ。 “tale”は「話、物語」の意。
「どのつぎ当てにも思い出が、
どの破れにも(あの時の)体験が宿る。
これらは、我が衣生活の歴史」
とでも訳すのだろうか。
出典:パタゴニア公式サイト
これは女性用ダウンの「WORN WEAR」。世界に一つだけの逸品のようなおもむきで、持ち主のアウトドアのキャリアとウェアに対する愛着がうかがえる。まさに「ずっと使うのがかっこいい」のだ。
パタゴニア社は、「消費者」ではなく「所有者」になることを呼びかけている。すなわち、入手、製造、廃棄を繰り返すことで生態系を破産に追いやる「消費者」でなく、購入したものに対して手入れや修理までの責任をとる「所有者」になることを提唱しているのだとか。
パタゴニアのウェア。高機能で、長持ちして、修理して使っていくウェア。高いのが玉に瑕(きず)だが、高価格には正当な理由がある。パタゴニアを長く着ている人は、「高いけど長持ちするよ。お気に入りのウェアを長年着続けるのも、粋なもんだよ。」とおっしゃる。
ずっと使うのがかっこいい。年金生活を送るシニアこそ、このキャッチコピーの精神を大事にせねば‥‥。