2019年7月24日未明、この世に生を受けた君は私にとって三番目の孫になる。「女の子で、母子ともに健康」という一報を受け、ほっと安堵すると同時に、「よくここまで頑張ってくれた」と君のお母さんへの感謝の思いが湧き起こってくる。
君のママが医師から母体保護のために安静を指示され、二人のおばあちゃんが交代で上京し、応援してくれていたことを覚えているかな。
諸人(もろびと)よ 思い知れかし 己(おの)が身の 誕生の日は 母苦難の日 <詠み人しらず>
この歌は、薬師寺の管主であった故高田好胤(たかだ・こういん)氏が、著書『母・父母恩重経を語る』で紹介していたもの。
君がこの世に誕生した今日という日は、ママが命を懸けてくれた日。出産は母体にも胎児にも大きな危険を伴う。君のママは、いざとなれば自分の命と引きかえる覚悟でいたことと思う。
誕生日に「おめでとう!」と祝福されたら、ぜひママに「(私を産んでくれて)ありがとう!」の一言を伝えてほしい。
ところで、遺伝子研究の第一人者として知られる、筑波大学名誉教授の村上和雄氏は、赤ちゃんの年齢について、こんなことを述べている。
地球生命で言うと、赤ちゃんは生まれたときにもうすでに35億歳です。35億年かけて、地球が、大自然が丹精込めてつくり上げた結晶が赤ちゃんなのです。
(生涯学習ブックレット『いのちの素晴らしさ』モラロジー研究所刊)
この地球に最初のいのちが誕生してから今日まで、どれだけ膨大な生命が子を産み育ててきたことか。太古の時代から途切れることなく繰り返されてきた「いのち」のつながり。その連鎖の最先端にいるのが、今日生まれた君なんだ。
自分が生まれたこと、生かされていることへの畏敬の念を忘れまい。同時に、両親、祖父母はもちろんのこと、顔も名前も知らない無数のご先祖様にも感謝の気持ちを持ちつづけてほしいな。
君の誕生でわが家は喜びに包まれた。「地球のいのちの結晶」でもある君の未来に、幸多かれと心から祈る。
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