あとからくる君たちへ

あとからくる君たちへ(17) 「大きくなったらJリーグの選手に‥‥」なれない時は

投稿日:2019年3月22日 更新日:

「大きくなったらJリーグの選手に‥‥」なれない時は

サッカーを楽しむ子どもたち

 私には2人の孫がいます。2人とも男の子で、上の孫は5歳、下の孫は1歳です。上の孫はサッカーが大好き。週1~2回、地元のサッカースクールに通っているようです。そのうち「大きくなったらサッカー選手になって、Jリーグで活躍したい」なんて言い出すことでしょう。

 ちなみに、小学生の「大人になったらなりたいものランキング」(2018年、第一生命ホールディング社発表)では、男の子は1位がサッカー選手、2位が野球選手、3位が学者や博士。女の子は、1位が食べ物屋さん、2位は保育園・幼稚園の先生、3位は看護師さんだったそうです。あなたは、どうでしたか?

 大きな夢を抱いて、ワクワクしながら生きている子どもたちの姿を見ると、できる限りの応援をしてやりたくなります。

 ところが、子どもたちは成長していくにつれ、厳しい現実に直面することになります。プロのサッカー選手になれるのは、千人に一人、いや万人に一人というずば抜けた能力と環境に恵まれた人。大半の子どもたちは成長するにつれ、自分はとてもそこまでの才能・環境に恵まれていないことに気がつきます。

 私の孫もJリーグ選手になれるような才能に恵まれているとは、なかなか思えません。運動オンチの私のDNAを引き継いでいますから、いつかは現実の厳しい壁に直面する時がくるだろう、と予想しています。

 そんな時に備えて、孫には「柔軟な視点と広い視野を持つこと」の大切さを伝えておいてやりたいな、と考えています。「視点」とは、分かりやすく言えば「注目している点」のこと。「視野」は「見える範囲」のことですね。

海岸で寄り添うシニアと子ども

 

 たとえば「柔軟な視点」を持つ子どもは、こんなふうに考えることができるでしょう。サッカーの世界をよく見てみれば、サッカー選手以外にこの世界を支えている多くの人たちが見えてきます。たとえば、チームの運営に携わる人、スタジアムを管理・維持する人、スポーツ用品メーカーの社員、取材・広報を行うマスコミの人、スポーツ・インストラクター‥‥。あるいは、中学や高校サッカーの指導者の姿も見えてきます。

 このように、視点を変えればサッカーの世界のあちこちに、自分の能力と適性を活かせる仕事、サッカーに関われる仕事を見つけることができます。柔軟な視点を持っていれば、たくさんの選択肢が見えてくるのです。

 では「広い視野」を持てば、どうなるのでしょうか。視野は見える範囲のことでしたね。サッカーの世界しか見えていない子どもが、サッカー以外のスポーツや、科学、芸術、教育、政治、経済、などのいろいろな世界が見えてきたらどうでしょうか? 多くの選択肢にあふれた豊かな世界が、はるか遠くまで広がっていることに驚くことでしょう。

 「柔軟な視点」と「広い視野」の両方が備わってくると、「職業は自分の夢をかなえる手段であって、目的ではない」ということに気づく時があるかもしれません。

 ところで、あなたはどんな生き方をしてみたいと考えていますか。

 

追記

 「進路指導」の目標は学校選択や職業選択ではなくて、「生き方」を考えさせることだと言われて久しい。

 「大人になったら、何になりたい?」と聞くのもよいが、発達段階に応じて「どんな生き方をしてみたい?」とか、「誰のような生き方をしてみたい?」と問いかけてみることも大切だと思う。

 

◆本シリーズの次の記事はこちら >あとからくる君たちへ(18) 努力の成果を計算してみたら‥‥

◆本シリーズの他の記事はこちら シリーズ「あとからくる君たちへ」関連記事へのリンク

-あとからくる君たちへ
-, ,

執筆者:


関連記事

あとからくる君たちへ(65) 誰があなたを守るのか_1

 トルコ・シリア大地震が起きてから1カ月。テレビで現地の映像を見ていると、12年前の東日本大震災の記憶がよみがえってきます。

あとから来る君たちへ(26) 己(おの)が身の誕生の日は、母苦難の日

 2019年7月24日未明、この世に生を受けた君は私にとって三番目の孫になる。「女の子で、母子ともに健康」という一報を受け、ほっと安堵すると同時に、「よくここまで頑張ってくれた」と君のお母さんへの感謝 …

あとからくる君たちへ(12) 人間を月に送る、不可能に挑戦した人々

 今年も残り1ヶ月余り、まもなく2019年が訪れます。2019年は、人類が初めて月の地を踏んだ1969年から数えて50年目に当たる年です。1961年、アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディは、「米国は1960年代中に人間を月に到達させる」と宣言し、全世界を驚かせました。

あとからくる君たちへ(55) 福島フィフティ、家族とふるさとを守り抜いた人たち_1

 今年もまた3月11日がやってきます。今日は、福島第一原子力発電所の事故から、家族とふるさとを守り抜いた方々のことを紹介します。

あとからくる君たちへ(52) 『お父さん、日本のことを教えて!』_1 ~アメリカの中学教科書に書かれていた日本建国神話~

 赤塚高仁さんの心にスイッチが入ったのは、一人娘の「マホ」さん(当時15歳)の訴えを聞いた時でした。1年間のアメリカ留学から帰国したマホさんは、赤塚さんに「お父さん、日本のことを教えて!」と懇願したそうです。


管理人の “がしん” です。
2018年3月にリタイヤしました。
このサイトは、シニアライフを楽しく生きるためのあれこれと、子や孫に語り伝えておきたい「人、もの、コト」の保管庫です。

もっと詳しいことが知りたい方は、こちらをどうぞ。

【好きなこと】旅行、山歩き、映画鑑賞、読書、酒…
【好きな言葉】「着眼大局、着手小局」
【家族】妻と二人暮らし。子2人、孫3人

  • 350627総閲覧数:
  • 2231月別閲覧数:
  • 242665総訪問者数:
  • 1693月別訪問者数:
  • 2019年1月24日カウント開始日:
2025年1月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031