2021年3月11日、旅に出て3日目である。出雲大社をゆっくり参拝し、欲しかった掛け軸も入手できたので、今回の旅の目的は達成である。
後は自由気ままに松江と境港を歩くとしよう。
◆前回の記事はこちら >出雲見聞録(4) 掛け軸の品定めに古美術店へ
※ 本稿は2021年3月11日の記録を、4月16日にアップしたものです。
国宝・松江城を訪れる
山陰観光の定番の一つ「足立美術館」は過去に2回、映画『砂の器』のロケ地である「亀嵩(かめだけ)駅」も既に訪れているので今回はパス。
そこで本日は松江城(2015年に国宝指定)と武家屋敷周辺を散策し、午後は境港をぶらぶらと歩くことにした。
ホテルから徒歩5分ほどで松江城内着。堀割の松と整然と積み上げられた石垣の美しさが目を引く。
観光スポットだというのに、あたりに人の姿はほとんど見えない。コロナ禍のせいか? まぁ、我々は静かな散策ができて有り難いのだが‥‥。
城内にある松江神社の狛犬はマスク着用。立体縫製のマスクを作るのはさぞ大変だったろう。耳掛けとなっていないあたりに、作り手のお疲れの様子がうかがえる。
お父さん狛犬は コロナウイルスを 咬んで鎮圧し
お母さん狛犬と 子ども狛犬を 護っています
皆さん 頑張りましょう
ほどなく天守閣を望む広場に到着。天守は黒を基調とした風格あるたたたずまい。渋いなぁ。
慶長16年(1611年)完成というから、400年以上前の築城だ。補修が行われたとは言え、これだけの年月を経た天守が現存することにある種の感慨を覚える。
天守が現存するのは、松江城を含め全国で12城のみだそうだ。
あいにく入口付近が工事中だったが、入城はできそうだ。
天守内の展示物に「葵(あおい)の紋」があったので、由来を読んでみる。
徳川家康の孫・松平直政以来、230年余りも松平家が松江を統治し、明治維新を迎えたとのこと。ここが山陰の要衝地だったことが分かる。
急な階段を最上階(5階)まで登り詰めると、360度の大展望が待っていた。
宍道湖(しんじこ)を背景に広がる水の都松江。穏やかで落ち着いた風情の街が広がっている。
南東の方角には遠く大山(だいせん)の雄姿を望むことができる。ぼんやりとかすんではいるが、「伯耆(ほうき)富士」と称された秀麗な姿に見ほれてしまう。
天守からの展望をたっぷりと満喫した後は、城内のベンチで熱いコーヒーを一口。何も考えずにぼ~っと過ごす古城の春。見上げると、桜のつぼみが春の訪れを告げている。
武家屋敷が連なる「塩見縄手」を歩く
一服した後は、うららかな陽光を浴びながらの気まま歩き。護国神社の横を通り稲荷橋を渡り、内堀沿いに武家屋敷が軒を連ねる「塩見縄手(しおみなわて)」を歩くことにする。
「縄手」とは細く延びる一本道のことだそうだ。
長さ500mほどの塩見縄手のそぞろ歩きは、実に気持ちのよい歴史散歩だった。
通りの左側には、歴史を感じさせる武家屋敷が連なる。いい雰囲気だ。
通りの右側には、満々と水をたたえたお堀と松並木が続く。
小泉八雲記念館、武家屋敷、松江歴史観等を見学しながら、お堀沿いの歩道をのんびりと歩く。これらの観光スポットの詳細は、ガイドブックやネット上に情報が満載なので、そちらをご覧いただきたい。
本ブログでは、小生の興味をそそられた事物の紹介が記事のメインとなる。
マンホールの蓋まで凝った意匠、いいねぇ。
歩道の植え込みでは、早めに開いた花々が春を謳歌している。
こんなに楽しい塩見縄手の散策路だが、人も車もごくごくまばら。腕時計を覗くと11時30分。
堀川を巡る遊覧船の観光客も1、2名という寂しさ。コロナ禍が観光地に与えるダメージの大きさを体感した思いだった。
たっぷり歩き回ったせいか、お腹が鳴り始めた。周囲を見回すが、適当な飲食店は見当たらない。
仕方がない。すぐ前の島根県庁の地下食堂を利用することにした(だいたい役所の地下は職員用食堂があるものだ)。
ちょうど昼時とあって、お腹を空かせた職員が行列を作り始めたところ。
小生はカツカレー、カミさんはきつねうどんを注文。セルフサービスで受け取り、席に着く。
千切りキャベツがこれでもかと山盛りのカツカレー、栄養バランス満点である。働く人への思いやりがうかがえる盛り付けに感心。500円ちょいの値段にしてはなかなか美味かった。
さあ、午後からは境港を歩くとするか。
※ 本記事の続きはこちら >出雲見聞録(6) 「さかなと鬼太郎のまち」でカニを堪能!
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