◆前回の記事はこちら >出雲見聞録(1) 出雲までのんびりと一般道を走る
※ 本稿は2021年3月10日の記録を、3月24日にアップしたものです。
目次
「神門通り」の景観を楽しむ
2021年3月10日(水)午前6時、出雲の旅2日目。
道の駅「大社ご縁広場」で車中泊した人たちがすでに動き始めている。
小生らも洗面と朝食を早々に済ませ、朝の爽やかな空気の中、大社(おおやしろ)参拝に出かけることにする。
車はここに置いたままでお参りに出かけられるのが、当地で車中泊するメリットの一つ。
道をはさんだ場所に位置するローソン、落ち着いた看板の色が目を引く。地元の景観条例に合わせ、色を変えているのだろう。
ローソンのすぐ横から北へ一直線に伸びる参道、大社本殿まで約800mの距離だ。「全面通行止」の看板が無粋だが、先を急ぐとしよう。
一の鳥居をくぐり、大社の正門に当たる「勢溜(せいどまり)」までは「神門通り」と呼ばれている。まだ朝が早いので、ほとんど人影は見えない。
両側のよく手入れされた松並木と高さが統一された家屋が石畳の道とよくマッチし、落ち着いた景観が美しい。
見事なくらい色調が統一された店舗や家屋。
神門通りの最奥部左手に位置する老舗旅館「竹野屋」。さる女性ミュージシャンの実家ということを最近知ったばかりだ。
「勢溜(せいだまり)の鳥居」、威風堂々の景観である。この鳥居をくぐると、大社の境内となる。
大社(おおやしろ)参拝
「2礼4拍手1礼」の作法
出雲大社の拝礼作法と参拝順路については、予備知識を仕入れておいた方がよいと思う。ネット上で多くの説明や由来が紹介されているが、確実なのは出雲大社の公式サイトで「よくあるご質問」コーナーをのぞいてみることだろう。
※ 出雲大社の公式サイトはこちら >出雲大社
※ 出雲大社の境内図はこちら >keidai(出典:出雲大社公式サイト)
ポイントは、①「2礼4拍手1礼」の作法、②「左回り(反時計回り)」の参拝順路、③霊験あらたかな「素鵞社(そがのやしろ)」の「清めの砂」のいただき方の3点のようだ。
参考になるかどうかは分からないが、小生らの参拝順路を紹介させていただく。できれば、印刷した「出雲大社境内図」を参照しながらご覧いただきたい。
1 「祓社(はらえのやしろ)」
勢溜の鳥居をくぐり「下り参道」を少し進む。
右手に「祓社」があるので、まずここで心身の穢(けが)れを祓い浄めるために参拝。大社の拝礼作法は全て「2礼4拍手1礼」。
2 「松の参道」
下り参道の次に表れるのが「松の参道」。参道の中央は神様が通る道とされており、参拝者は両脇の舗装道を本殿へと進んでいく。
参道の左右にはそれぞれオオクニヌシのご神像が設置されている(画像省略)。
3 「手水舎(ちょうずや)」
オオクニヌシの「縁結びのご神像」まで歩を進めると、左手に「手水舎」がある。ここでもう一度心身の穢(けが)れを浄める。
4 「銅鳥居(かねのとりい)」
大社の4番目の鳥居、さわると金運が上がるという説もあるらしいが、真偽は定かではない。
鳥居をくぐると「平成の大遷宮」の高額寄進者の木札が掲示されている。どこかで見た名前も発見。
「山下まりあ」は旧姓「竹内まりあ」、彼女の実家は先ほどの旅館「竹野屋」だそうだ。なるほど「竹」つながりか。寄進額はご自分の目で確認されたい。
5 「拝殿(はいでん)」
拝殿の奥に本殿があるため、ここで祈願しなくてもよいのだそうだ。しかしこれだけ立派な社殿を前にすれば、参拝せずにはいられぬというもの。
ここの注連縄(しめなわ)は日本一の注連縄ではないので要注意! 本物は「神楽殿」に飾られている。
6 「八足門(やつあしもん)」と御本殿
拝殿の奥に「八足門(やつあしもん)」があり、その奥に高さ24mの御本殿が堂々たる偉容を誇っている。
ここから先は立ち入れないため、八足門で御本殿に向かい参拝する。
明日が東日本大震災から10年目となる日。犠牲者の方々のご冥福と東北の一日も早い復興を祈る。併せてコロナウィルスの災厄を払っていただけるよう祈願する。
「左回り」の参拝順路と「素鵞社(そがのやしろ)」
御本殿への参拝を終え、すぐに立ち去ってはいけない。実はここから「左回り(反時計回り)」の参拝がスタートするからだ。
大社公式サイトには次のように紹介されている。
まず、御本殿前の八足門(やつあしもん)にて御本殿をお参りいただき、御本殿周辺の垣(瑞垣―みずがき)を左回り(時計と反対回り)に進んでいただき、各御社殿をお参り下さい。
拝礼作法は、すべて「2礼4拍手1礼」です。
7 「十九社(じゅうくしゃ)」
ご本殿右側の「東十九社」へ足を進める。旧暦10月(神在月)に出雲に集まる全国の神様の宿泊所とされている。神々のホテル(?)まで準備するとは、妙にリアルでほほえましい。
通常は全国各地の神々の遙拝所となっているとか。十九社は西にも設けられている。
8 「素鵞社(そがのやしろ)」
御本殿の真後ろに祀られた「素鵞社(そがのやしろ)」。御祭神は「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」。「天照大御神(あまてらすおおみのかみ)」の弟神で、出雲国で「八岐(やまた)の大蛇(おろち)」を退治した神話で知られる。
「大国主大神(おおくにぬしのみこと)」の義父でもある。
出雲大社は江戸時代の初期までは、素戔嗚尊(すさのおのみこと)をお祀りした社であったという説もあると聞く。出雲では別格の神様のようだ。
参拝後にお社の周囲を巡ってみると、正面以外の三方の軒下に砂が入った木箱が置かれている。昨日稲佐の浜で集めた砂をここに奉納し、同量の砂を持ち帰り、家の四方にまくと厄除けになるとされている。地鎮祭で使われることも多いとか。
天照大御神(あまてらすおおみのかみ)の弟で、大国主大神(おおくにぬしのみこと)の義父、さらに八岐大蛇(やまたのおろち)を一人で倒した英雄という神様。
そのパワーはさぞかし強大なものと信じられてきたのだろう。
持ち帰った「清めの砂」は居住するマンション敷地の四隅にまき、少量をビニール袋に入れて各部屋に置き、一つはお守りとして持ち歩いている。
9 (本殿西側の)参拝所
御本殿西側に足を進めると小さな参拝所が設置されており、ここでも手を合わせている人の姿を見かける。理由は、ここが神座の正面にあたるから。
設置された説明板には、「出雲大社の御本殿の正面は南向きだが、本殿内の神座は西を向かれている。」と記されている。つまり、ここが神様と対面し祈りを捧げる本来の場所となる。
再度心を込めて拝礼。
神様が西を向いている理由は4つほどあるらしいが、ご自分でお調べ願いたい。
10 「神楽(かぐら)殿」
最後に日本一の注連縄(しめなわ)が奉納されている神楽殿に立ち寄る。吊り下げられた大注連縄は長さ約13メートル、重さ5.2トンに及ぶとか。迫力に圧倒される。
※ 本記事の続きはこちら >出雲見聞録(3) 古代高層神殿に思いを馳せ、映画『RAILWAYS』の車両に再会
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