あとからくる君たちへ

あとからくる君たちへ(50) 日の丸に込められた日本の心

投稿日:2021年7月9日 更新日:

国旗を背負う誇りと喜び

日の丸を掲げ、天国の母に優勝を報告する伊調馨(ALSOK)出典:日本レスリング協会公式サイト

 このシーンを覚えている人も多いでしょう。今から5年前、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの写真です。レスリング女子58キロ級で、史上初のオリンピック4連覇を達成した伊調馨(いちょう・かおり)選手。日の丸を高々と掲げるシーンが目に焼き付いています。

 伊調選手のように、優勝したアスリートが自国の国旗で身を包んだり、高く掲げる姿は、オリンピックではすっかり見慣れた光景になりました。

 優勝はあくまで選手個人が勝ち取ったもの。選手と国旗とは直接の関係はありません。しかし多くの金メダリストが、歓喜の瞬間に国旗を手にするのはなぜでしょう。

 それは国を代表し、国の名誉をかけて戦った末の勝利だから。応援してくれた国民に感謝し、共に喜びを分かち合いたいという感情が爆発したのだと、私は思っています。

 今日は7月9日。東京オリンピックの開会式まであと2週間足らずとなりました。
 ちょうどよい機会です。私たちの国、日本の国旗について少し考えてみませんか。

 

国旗には「思い」が込められている

 世界中どの国でも、自国の国旗と国歌はとても大切にされています。
 次の写真はアメリカ合衆国の小学校の様子です。

 米国の公立学校の児童生徒は、毎朝教室に掲げられた国旗に向かい、国旗と国に対して忠誠を誓う「忠誠の誓い(”Pledge of Allegiance”)」を唱和することが義務づけられています。これは中・高校でも同じだそうです。
 誓いの言葉は、次のような内容です。

“I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.”
「私はアメリカ合衆国国旗と、それが象徴する、万民のための自由と正義を備えた、神の下の分割すべからざる一国家である共和国に、忠誠を誓います」

(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia))

 アメリカの国旗「星条旗」は、イギリスの植民地だった13の州が一つにまとまり、独立戦争(1775年~1783年)を戦って獲得した自由と独立の尊さを表しているとされます。

 13本の赤白の「条(ライン)」は独立当時の州の数、白い「星」は50にまで増えた現在の州数を表しています。

 子どもたちは毎朝の「忠誠の誓い」の時間に、独立と自由を求めて戦った先人のことを思い起こし、自分も国民の一員として自由と正義を守ることを誓っているのです。

 私はこの「忠誠の誓い」の儀式に感銘を受け、他の国の様子も少し調べてみました。するとアメリカだけでなく、多くの国で国旗掲揚や国歌斉唱から学校生活が始められていることを知ったのです。

 国旗はその国のシンボル。その国の歴史や文化、建国の理想や大切にしたい「思い」が旗という形で表現されたもの。
 次世代を担う子どもたちに、「国を愛する心と国民としての連帯感を伝えたい」という強い意思を感じずにはいられませんでした。

※ 「忠誠の誓い(”Pledge of Allegiance”)」を唱和する子どもたち(16秒)

 

日の丸に込められた日本の心とは?

日本という国名の由来

 日本の国旗「日の丸」についてふれる前に、あなたに一つ質問です。
 なぜ私たちの国は「日本(国)」という国号(国名)なのでしょうか? 考えたことはありませんか。

 日本という国名については、一般的に次のように説明されています。

 日本という国名は推古天皇十五年(607年)、遣隋使の国書で聖徳太子が自国を「日(ひ)出(い)づる処(ところ)」と書いたのが由来とされる。
 やがて飛鳥時代(592年~710年)の終わりには、「日(ひ)の本(もと)の国」「日本」という名称が使われるようになった。

 日本という国名は、実に1400年前から使われていたようです。

 東洋思想家の境野勝悟(さかいの・かつのり)さんは、その著書『日本のこころの教育』(致知出版)で、日本という国名について次のように説明しています。

 「日の本」の「日」とは、太陽のこと。全ての生きものに等しく光と熱をもたらす存在。
 「日の本」の「の」は、格助詞の「が」と同じ働きなので、「日の本」とは「日が本」、つまり太陽が私たちの(いのちの)本(=元)だという意味と考えられる。

富士山頂のご来光

 稲作を中心に生活してきた我々の祖先は、太陽のエネルギーが生命の源であるととらえ、太陽のめぐみに感謝し、それを信仰の対象にしてきました。

 そのことを示す例をいくつか挙げてみましょう。
 たとえば、古代日本人は太陽のことを「お陰様」「お天道様」と呼び、敬い親しんでいました。

 70年前、100年前までの日本人は、毎日朝日に手を合わせ、祈りを捧げてから一日の生活を始めていました。
 初日の出や山頂でご来光を拝むのは、その名残りだそうです。

 皇室と日本国民の先祖とされ、伊勢神宮に祀(まつ)られている「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」は、太陽の女神です。

 これらの例から分かるように、日本という国名は「太陽を敬い、そのめぐみに感謝して生きる人々の国」を表しているのです。

日の丸に込められた日本の心

 国旗にはその国の歴史や文化、その国の建国の理想や大切にしたい「思い」が込められている、と言いました。
 日の丸にはどのような「思い」が込められているか、あなたはもうイメージできるのではありませんか。

 日の丸の赤い丸は、昇る朝日のデザイン。同時にこの丸は「円満」を意味すると言われます。
 赤色は「誠(まごころ)、明るさ、情熱、勢い」を、背景の白地は「純潔、潔白、汚れのない状態」を表すとされます。

 「穢れのない清らかな真心で、昇る朝日のように丸く、明るく、豊かに四方を照らす
 これが国旗「日の丸」に込められた日本の心であり、われわれ日本人が大切にしてきた生き方だとされています。

 まもなく東京オリンピック。日本の空に鮮やかな日の丸が翻(ひるが)る光景が楽しみです。

日の丸

出典:photo AC

※ 参考資料
私たちの美しい日の丸・君が代』(高橋史朗編、石井公一郎監修、明成社)
日本のこころの教育』(境野勝悟、致知出版)
日の丸のお話ーねずさんの学ぼう日本」(小名木善行、「ねずさんの学ぼう日本」サイト)

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