アタック山の会の7月例会山行は「前門岳(ぜんもんだけ・921.7m)、福岡県八女市東部の山。沢に沿った日陰の登山道は涼しく、この時期はオオキツネノカミソリを目にすることができるらしい。
※ 本稿は2022年7月24日の山行記録を、7月28日にアップしたものです。
目次
コースと活動概要
0930 登山口 ~ 1038 林道出合 ~ 1112-1147 前門岳 ~ 林道出合 ~ 1318 登山口(ピストン)
※ 参加メンバー:10名(アタック山の会メンバー)
活動時間(休憩時間) | 3時間48分(35分) |
活動距離 | 2.8km |
累積標高上り/下り | 440m/440m |
写真中心の山行メモ
前門岳とは
「前門岳(ぜんもんだけ)」、聞いたことのない山名である。
『山地図本 夏編』(西日本新聞社編)には、「国土地理院発行の地形図に記載があるにもかかわらず、かつては全く知られていなかった。登山道がなかったからだ。」とある。
この前門岳、地元の人たちの登山道整備により、登山道が開かれた新しい山らしい。
八女市役所矢部支所が作成した『八女市矢部村山系八名山マップ』では、次のように紹介されている。
釈迦岳・御前岳もしくは良成親王御陵墓の手前に仰ぐ山のため前門と名付けられたのではないかとの事。
登山口からしばらく登っていくと沢にたどり尽く。沢沿いの道がしばらく続くが、この石清水が美しく、飲む事もできる。休憩場所としても最適。
日陰の道が続くので夏の登山にお勧め。7月~8月中旬頃までキツネノカミソリを見ることができる。(登山口の道路脇に6台程駐車できる)
(出典:『八女市矢部村山系八名山マップ』、八女市役所矢部支所建設経済課作成)
沢沿いの涼しい登山道、樹林に覆われた日陰の道、オオキツネノカミソリとくれば、行ってみようかという気にもなろうというもの。
登山口から山頂まで
北九州市小倉南区を午前6時30分に出発。九州自動車道広川ICを流出し、一般道を1時間15分走ったところが登山口。休憩を含めて2時間40分の移動はさすがに遠い。
5~6台駐車できる路肩に駐車し、ドアを開けると涼しい空気に驚かされる。登山口の標高が500mで、内陸部に位置するためであろう。
準備を整え、9時30分に出発。
登山口には登山道を示す案内板と黄色の道標が設置され、迷うことはない。
登山口から10分弱で植林帯に入る。補助ロープ持参のSリーダーに理由を尋ねると、「増水時の渡渉に備えて」とのこと。
備えあれば憂いなし。感謝である。
しばらく進むと、右手にオオキツネノカミソリの群生地が現れる。まだ咲き始めたばかりのようで、オレンジ色の花が散在し、登山道を彩っている。
登山道のすぐ左には清流が勢いよく流れ、心地よい冷気が暑さを忘れさせてくれる。
足を滑らせれば流れにつかるような岩を乗り越え、沢を詰めていく。
小さな滝が幾つも渓流に流れ込み、流れはけっこう速い。
「沢登りをする人にはたまらんだろうねぇ」と言葉を交わしながら、岩を越えていく。
10時5分、沢から右上に登り上がる場所を登りつめると、
虎ロープが張られた岩場のトラバース(斜面の水平移動部)が待っている。左側は切れ落ちているので、十分な注意が必要。
続いて渡渉地点。本日の山行リーダーは久留米市在住のHさん。全員渡り終えるまでしっかり見守ってくださる。
この後さらに枝沢を渡渉し、樹林帯を進んで行くと
10時38分、林道に出合う。ここから先が、以前は登山道のなかったヤブの急斜面だったそうだ。
林道から山頂までは標高差160m、約30分の登り。足元が不安定なガレ場、ザレ場が多く、勾配もきつくなる。
前方に見える稜線をめざし、ザレ場の急坂に一歩ずつ足を置いていく。
やっとこさ稜線に着くと、左上方を仰ぎたたずむHさんの姿が‥‥。どうやら、ここから山頂までの急斜面をさらに登っていくようだ。
ここまでくれば行くしかない。「ええぃ、ままよ」と気合いを入れて取り付く。汗がしたたり、呼吸が荒くなってくる。
「標高差420mくらいと思うて、なめとったばいね。」「うん、うん。」とうなづく声。
急勾配を10分余り登り終え、山頂への道を1分ほど歩くと急に視界が開けた。11時12分、前門岳山頂着。
登山口から1時間42分、高齢者がいる10人のグループ山行なので、こんなものだろう。
山頂の展望は開けているが、曇り空のため、遠くまでは見渡せない。昨年9月に縦走した釈迦岳、御前岳(その時の山行記事はこちら >)を探したが、よく分からなかった。視界がきけば、阿蘇、くじゅうの山並みまで確認できるそうだが。
標高900m以上に位置する山頂は、下界より5度以上気温が低い。心地よい涼風に吹かれ、各自思い思いの場所で昼食。
山頂から登山口まで
下山は往路をそのまま下るだけ。山頂からの急勾配の下りを注意しながら、下っていく。
林道を横切り、枝沢を渡る。
途中、渓流のすぐ傍で小休止。
沢の冷たい水を両手ですくい、タオルをぬらして顔や首筋に当て涼をとる。「気持ちいい~!」との声が、そこここから聞こえてくる。
復路は右に清流を眺めながらの下山だ。
オオキツネノカミソリに別れを告げ
13時18分、登山口に帰着。車に乗り込みしばらく走ると、急に大粒の雨が降り始め、「杣のさと」に立ち寄った頃には大降りの雨となっていた。
下山途中でこの雨にあっていたら、渓谷沿いの岩ゴロの道は滑って危険だったろうなぁ。「ラッキーだったねぇ」とうなずき合う。
前門岳、マイナーな山だが夏の「穴場」である。楽しく面白いコースを案内してくれたH氏に感謝!
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