あとからくる君たちへ

あとからくる君たちへ(40) あきらめてしまったノミたち

投稿日:2020年9月8日 更新日:

ノミを「調教」する

ドイツ南部ニュルンベルク(Nuremberg)で開催された「ノミのサーカス団」の公演で、重さ25グラムの小型メリーゴーラウンドを回す団員の「ストロング・オーガスティン(Die starke Augustine)」(2014年4月16日撮影)。(c)AFP/DANIEL KARMANN

 以前、ノミを「調教」する話を読んだことがあります。こんな内容でした。

 犬や猫に寄生するノミは、体長2mm~3mmほどのちっぽけな昆虫だが、20cm~30cmの高さまでジャンプすることができる。体長の100倍以上の高さまでジャンプできる能力は大したもの。人間にたとえると、身長170cmの人が170m以上も跳び上がることになる。

 そのノミを高さ15cmくらいのビンに大量に入れると、狭い空間に入れられたノミたちは得意のジャンプで逃げようと跳び続ける。このビンに蓋(ふた)をして3日間くらい放置すると、驚くべきことが起こる。

 3日後。ビンの蓋をとると、もうノミは蓋の高さまでしかジャンプをしなくなり、ビンを越えてジャンプするノミはいなくなってしまう。

 ノミたちは何度も何度も蓋にぶち当たることで自分が跳べる範囲を学習し、そのうち蓋の所までしかジャンプしなくなったのだ。

 つい先日、Youtubeでこのノミの「調教」と思われる動画を見つけました(ナレーションが英語なので、詳しい意味はよく分からないのですが‥‥)。タイトルは “PS2 Flea circus commercial”。「ノミのサーカスの宣伝」とでも訳すのでしょうか。

 実際の動画(約1分)を見てみることにしましょう。

 なるほど、話に聞いたとおり、ノミたちはビンの蓋が外されても逃げだそうとしません。ビンの中でジャンプするだけです。

 さらに驚いたのは、ビンの外に出されたノミの集団が、まるでそこにビンが存在するかのように跳び続ける映像でした。そこにビンや蓋は存在しないのに、見えない枠があるという思い込みにより、自分の持つ力を発揮できなくなってしまっています。

 高く跳ぶ能力は持っているのに、自分が思い込んだ限界(「心理的限界」と呼ぶそうです)に縛られ、あきらめてしまったノミたち。

 「馬鹿だなぁ」と笑えない自分に気がつきました。過去のわずかな失敗体験や独りよがりな思い込みで、自分の限界を勝手に決めてしまった経験が何度もあったからです。

 

諦めたノミを跳ばすには?

出典:Pixabay

 ところで、跳ぶことをあきらめたノミを、再び高く跳べるようにする方法が一つだけあるそうです。
 何だと思いますか? とても簡単なことなんです。

 それは、高く跳んでいるノミたちと一緒にしてやること。自分と同じノミが「限界」を超える姿に刺激を受け、再びチャレンジし始めるのだそうです。

 挑戦を忘れてしまった人が、心を奮い立たせる方法も同様。つまり、夢や希望をもってチャレンジしている人を見つけ出し、その人の真似をすること。「自分もああなりたい!」と思える誰かを探し出し、その背中を追いかければよいのです。

 えっ? 自分の周りにはそんな人はいないって? 周りにいなければ、探せばいいのです。日本国内から、世界から、同時代にいなければ過去の歴史からでも‥‥。ネットや読書やニュースなどを利用すれば、あなたを奮い立たせてくれる誰かは必ず見つかると思いますよ。

 

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