子どもを不幸にする方法、考えたことありますか?
「ご飯なんて食べたくない! 朝から晩までお菓子が食べたいよう。」
将来、皆さんが人の子の親となり、あなたの子どもがこう言ってぐずったら、どうしますか? 望みどおり、お菓子を一日中与え続けますか? そんなことをする親は、まずいないでしょう。
可愛いわが子の健康と成長を考えれば、叱りつけてでも、きちんとした食事をとらせようとするはずです。
「子どもを不幸にする一番確実な方法は、いつでも、何でも手に入れられるようにしてやることだ。」(ジャン・ジャック・ルソー)
いつでも、何でも欲しいものを与えられた子どもは、
思い通りにならないことに、耐えられなくなります。
嫌なことやつらいことを、我慢できなくなります。
幸せを与えられるのが当たり前、と思うようになります。
自分で幸せになる努力を、しなくなります。
欲望が無制限に広がり、どんな幸せにも満足できなくなります。
なかなか手に入らないものを懸命に追い求めていくこと、それが子どもを確実に幸せにする方法だと、ルソーは知っていたのでしょう。
(平成26年10月「こもれびだより 8号」掲載記事を加除修正したもの)
追記
学校現場でよく引用されるルソーの名言である。
「子どもを不幸にする」というフレーズが刺激的なのだろう。「子どもを不幸にする一番確実な方法があるそうですが、知っていますか?」と切り出すと、たいていは興味・関心を抱いてくれる。
この記事を書いた時に留意したのは、次の2点である。
- 子どもに大人の視点で考えさせる
ルソーの言葉は大人の視点で述べられたもので、この言葉を直接子どもに伝えてもピンとこない。「もしあなたが親だったとしたら‥‥、どうですか?」と、視点を親に変換させた方が効果的だろうと考えた。 - 暗示された「子どもを幸福にする方法」に気づかせる
ルソーの言葉には、子どもを幸福にする方法が暗示されている。それが最終行の「なかなか手に入らないものを懸命に追い求めていくこと」であろう。目標、夢、理想‥‥、物心両面の健全な「飢え」が子どもの成長を促し、豊かで幸せな人生に導くと思う。
孫におもちゃをせがまれたら、ルソーの言葉が頭に浮かぶだろうか? 自戒せねば‥‥。
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