今一本の映画が、日本中の映画好きの間で大反響を巻き起こしつつある。その作品名は『カメラを止めるな!』。
この映画、すでに多くの絶賛レビューがネット上に公開されており、改めて小生が取り上げる必要はないほどである。
にもかかわらず、当ブログで記事をアップするのは、久しぶりに心躍る楽しさを味わった作品であり、一人でも多くの方にこの映画を知ってもらいたいからだ。
何よりもおすすめするのは、何の予備知識も入れずに映画館に足を運ぶこと。その方が何倍も楽しめるし、面白さも倍増する。小生もそうしたし、腹の皮がよじれるほど大笑いし、実に幸せな気分にひたることができた。
目次
「無知で無名で無謀」が掛け算された「無敵」の映画
映画『カメラを止めるな!』は、
2017年11月、初お披露目となった6日間限定の先行上映では、たちまち口コミが拡がり、レイトショーにもかかわらず連日午前中にチケットはソールドアウト。
最終日には長蛇の列ができ、オープンから5分で札止めとなる異常事態となった。(出典:『カメラを止めるな! 公式パンフレット』)
その後世界の映画祭で多くの賞を受賞し、観客を熱狂の渦に巻き込み続けている話題作である。
本年6月23日、都内の2館で劇場公開が開始されるや、これまた評判が評判を呼び、現在観客動員数40万人超、累計上映館200館以上という大ヒットを生んでいる。
驚かされるのが、監督・脚本・編集担当の上田慎一郎監督(35歳)が無名の新人。メインキャストとなる12人の出演者も、オーディションで選ばれた無名の俳優たち。さらに、制作費はわずか300万円、しかもクラウドファンディングでの資金調達。実撮影日数わずか8日間。だが、リハーサルは何と数ヶ月‥‥、という舞台裏の事情。
本作は極めて不利な条件の中、「無知で無名で無謀な」(監督)制作スタッフが、熱と智恵とチームワークで挑んだ野心作と言える。
斬新な構造、練りこんだ脚本、入念なリハーサル‥‥でもそれだけじゃ”よくできた映画”で終わってしまう。映画を撮る前、そんな生意気なことを考えていた。手に負えないことに挑もう。37分のワンカット、スラップスティックなドタバタ、大人の組体操。そんな不可能なミッションたちに挑めば、おのずと余裕はなくなり、僕らの”本当”という名の血しぶきが現場に飛び散り、映画をスペシャルなものにしてくれる‥‥
(出典:『カメラを止めるな! 公式パンフレット』)
月曜日でも1日5回上映か?
小生がこの映画を観たのは、9月3日(月)。週末の1日6回上映という過密スケジュールを避け、観客が少なそうな月曜日を選んだのだ(それでも1日5回の上映だった!)。
同行したカミさんは、この映画の題名さえ知らず、むろん予備知識は皆無。「面白そうな映画らしいから、観に行こうか」の一声でつき合ってくれた。
上映時間はあえて19時過ぎを選び、ガラガラの空席を期待していたが、会場は誘い合わせて観に来たような若者たちでけっこう埋まっていた。
前半の「なんじゃこれは?」から、後半の抱腹絶倒の笑いへ
さて、『カメラを止めるな!』の内容だが、全上映時間は96分。前半37分はワンシーン、ワンカットの長回しで撮影されたゾンビ映画(全く怖くない)。後半の約60分は、ゾンビ映画制作のいきさつと、映画撮影時の舞台裏が明かされる、という二部構成となっている。
どなたのレビューでも指摘されているのが、前半37分のゾンビ映画が稚拙で不自然なことである。
素人がとったようなカメラワーク、不自然な会話の流れ、台詞を忘れたような俳優、うまくつながらないシーン‥‥、一言でいうと「なんじゃこれは?」という疑問や違和感を感じる映画なのだ。
後半60分は、撮影1ヶ月前にさかのぼり、ゾンビ映画をなぜ撮ることになったのかという経緯が明かされ、続いて37分のワンカット撮影の舞台裏が明らかになっていく。
この舞台裏のネタ明かしが実に面白く痛快なのだ。37分のゾンビ映画には実に周到に伏線が張り巡らされており、「なんじゃこれは?」の疑問が実は巧妙に仕組まれていたことが分かってくる。これらの疑問が次々に解明されていくテンポが、まことに軽快で心地よい。
とりわけラスト30分は伏線のネタ明かしで笑いが爆発し、会場に爆笑の渦が何度も湧き起こる。後方の若い女性陣は笑いすぎた苦しさで呼吸が困難となり、両手をバチバチと打ち鳴らす。小生も突き上げる笑いで悶絶しそうだ。
「これほど、お腹を抱えて笑ったのは何年ぶりかしら‥‥」、終映後のカミさんの第一声である。よほど気に入ったのか、「映画でスタッフが来ていたTシャツを買いたい」と言い出す。もちろん全て売り切れ! 仕方なく色違いの白地のTシャツを購入。帰宅する車中でも、映画のシーンを思い出して笑いがこみ上げたほどである。
しゅはまはるみ、はじけ方が「半端ない」
本作の主要登場人物は12人。オーディションで選考されただけに個性的で味がある俳優が多かった。中でも小生が特に惹かれたのが監督の妻・日暮晴美を演じた「しゅはまはるみ」さん。元女優で役に入れ込みすぎ、何度もトラブルを起こしたあげく映画界を追放されたいう役どころで、その存在感とはじけっぷりは強烈である。
鬼気迫る演技はほれぼれするほどで、多くの爆笑をかっさらっていた。護身術の「ポン!」と、「落ち着いてるわよ。私は落ち着いてる‥‥。」というフレーズ(観た人にしか分からないのが辛い!)は、今年の流行語大賞に推薦したいほどである。今後の活躍が期待できそうな女優さんで、注目していきたい。
他にも語りたいことは幾つもあるのだが、これ以上は映画のネタバレとなりそうなので、本日はここまで。
上映館が少ないので、事前に調べて行かれることをおすすめする。 >『カメラを止めるな!』公式サイト
追記
◆2018年9月7日(金)追記
『カメラを止めるな!』動員120万人突破! とのニュース発見
今、グーグルで『カメラを止めるな!』を検索すると、嬉しいニュースが飛び込んできた。『カメラを止めるな!』、怒濤の快進撃を続けているようで喜ばしい限り。昨晩22時30分にアップされていたようだ。
- 関係記事はこちら >『カメラを止めるな!』動員120万人突破! 上田監督、さらなる広がりに期待
- この記事(2018年7月30日)にも興味をひかれた >『カメラを止めるな!』大ヒットの起爆剤は観客の熱量!たった2館から100館に
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