「涌蓋山(わいたさん・1500m)に行きませんか」と、臨時山行のお誘いのメール。近くの低山はむし暑く、虫がうるさいので二の足を踏むが、涌蓋山と聞き直ちに参加の返信を出した。
なぜなら涼しく爽やかな高原歩きと、山頂からの大展望が楽しめるから。涌蓋山はお気に入りの山の一つなのだ。
※ 本稿は2022年7月17日の山行記録を、7月21日にアップしたものです。
目次
コースと活動概要
0910 八丁原登山口 ~ 1015-1024 みそこぶし山 ~ 涌蓋越 ~ 1134 女岳 ~ 涌蓋越 ~ 1257-1304 みそこぶし山 ~ 1409 八丁原登山口
※ 強風と雨のため涌蓋山頂は諦め、女岳で撤退しています。
※ 参加メンバー:9名(アタック山の会メンバー)
活動時間(休憩時間) | 4時間59分(40分) |
活動距離 | 10.7km |
累積標高上り/下り | 598m/600m |
カロリー | 2,588 kcal |
写真中心の山行メモ
「みそこぶし山」の名の由来は?
八丁原の登山口をスタートし、まずは最初の小ピーク「みそこぶし山(1299.6m)」をめざす。
期待した山野草は余り咲いてはいなかったが、それでも見つけると嬉しいもの。ノアザミ、キスゲ、ウツボグサなどが目を楽しませてくれる。
「みそこぶし山の名前の由来を知っていますか?」とSリーダー。涌蓋山と一目山(ひとめやま)の由来は知っていたが、はて「ミソコブシ」とはこれいかに?
S氏によれば、味噌を漉(こ)すみそこし器を逆さにしたような山容から「みそこぶし」と名付けられたらしい。
帰りに涌蓋山側から眺めてみると、なるほど。さもありなんである。
ちなみに「一目山」は、豊後(大分県)と肥後(熊本県)を結ぶ峠道を「一目で」見下ろすことができたので、つけられたのだとか。
無心で草原を歩く幸せ
涌蓋山の魅力は二つ。涌蓋越までの楽しい草原歩きと展望の素晴らしさ(特に山頂からの)である。
余計なことは何も考えず、草原の登山道を進んでいく。ただただ足を前に出し、「心にうつりゆくよしなし事」に身をゆだねるのも悪くない。
あいにく雲とガスで周囲の展望は芳しくはないが、一定のリズムで歩を進めていくと様々な思いが浮かんでは消えていく。
ふと「旅人よ」という歌の歌詞が、記憶の底からよみがえってきた。団塊の世代の方々には、懐かしい歌であろう。涌蓋越にいたる美しい草原から、「風にふるえる緑の草原‥‥」という冒頭部分を想起したようだ。
この歌、若者の「旅(=未知の世界)」への憧れを、素朴で郷愁をおびたメロディーで歌い上げた名曲(と勝手に思っている)。岩谷時子の歌詞が秀逸だ。
初めて聞いたのは坊主頭の中学生の頃だった。学生時代は、友人の下宿での飲み会やキャンプファイヤーなどでよく歌った愛唱歌だ。キーが低目なので、声変わりをした青年期の男性でも歌いやすかったのだ。
声に出すのははばかられるため、周囲に気づかれないように小さな声でハミング。いやぁ、いい歌だ。
旅人よ
作詞:岩谷時子
作曲:弾厚作風にふるえる 緑の草原
たどる瞳かがやく 若き旅人よ
おききはるかな 空に鐘がなる
遠いふるさとにいる 母の歌に似て
やがて冬がつめたい 雪をはこぶだろう
君の若い足あと
胸に燃える恋も 埋めて
草は 枯れても
いのち 果てるまで
君よ 夢をこころに
若き旅人よ赤い雲ゆく 夕陽の草原
たどる心やさしい 若き旅人よ
ごらんはるかな 空を鳥がゆく
遠いふるさとにきく 雲の歌に似て
やがて深いしじまが 星をかざるだろう
君のあつい想い出
胸にうるむ夢を 埋めて
時は ゆくとも
いのち 果てるまで
君よ 夢をこころに
若き旅人よ
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強風と雨、ガスのため、女岳で撤退
さて、みそこぶし山から涌蓋山を望むと、すっぽりとガスに覆われている。
好天であれば、次の画像のような展望が望めるはずなのだが‥‥。
涌蓋越を過ぎ、女岳への本格的な登りにかかると、周囲は濃いガスに覆われ、雨も落ち始めてきた。風も急に強まり肌寒さを感じるほどだ。
11時34分、女岳着。風は勢いを増し、雨粒も大きくなりそうだ。山頂までの稜線歩きは危険と判断し、撤退を決定。涌蓋越まで引き返し、そこで昼食をとることにする。
昼食を終え、往路を引き返す。展望は相変わらずだったが、「若者よ」の歌から芋づる式に若い頃の記憶が蘇った小生。回想と懐かしい数々の歌にひたる、実に幸せな時間を過ごせたことを告白しておこう。
14時09分、八丁原登山口に到着。休憩も含め約5時間の山行を堪能した。
「がんこじいさんのそば饅頭」
「北九州まるかじり!<保存館>」より写真を借用させていただきました。
同行メンバーは涌蓋山頂を踏めなかったからとて、落ち込むようなやわな方々ではない。帰路に「道の駅くす」で農産物を買い込み、その後、大分県玖珠町鹿倉峠手前にあるそば饅頭の店に立ち寄ることになった。どうやらこの店のファン(?)のリクエストのようだ。
このそば饅頭の店、河野新栄堂という屋号で「がんこじいさんのそば万十」と染め抜いたのぼりが何本も立っている。
メンバーから聞いた話なのだが、どうやらここが大分県のそば饅頭の元祖だとか。現在の女将の父上がそば饅頭を考案したところ、耶馬溪名物となり、作り方を親切に教えたことから県内各地に広まったとのこと。
「ここで70年近く売っているんですよ」との女将の声につられ、味見をするとなかなかの美味さ。そば生地に自然薯をまぜているそうである。饅頭と一緒に、和菓子「禅海」も購入。
帰路は、機関銃3丁のつるべ撃ちのごとき会話(笑)を聞きながら、車窓の変化を眺めるのも一興。思ったより早く北九州に到着した。
今日も楽しい山行だった。臨時山行を提案してくれたSリーダーに感謝である。
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