熊本大地震で崩落著しい根子岳の天狗峰。見事な紅葉もガスでかすんでいる。
南阿蘇山行のお目当ては、阿蘇・根子岳の紅葉観賞。熊本地震による崩落で危険なため、現在登山可能なコースは南からの「大戸尾根コース」と東からの「前原牧場(大戸ノ口)コース」の二つと聞いていた。今回は「大戸尾根コース」で根子岳東峰(1408m)をめざすことにした。
※ 本稿は2019年11月3日の山行記録を、11月19日にアップしたものです。
目次
コースと活動概要
◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。
07:02 大戸尾根登山口 ~ 07:12 避難小屋 ~ 08:07 岩の露出部~大戸ノ口峠分岐~ 08:35-08:57 根子岳東峰 ~ 大戸ノ口分岐 ~ 岩の露出部 ~ 10:21 避難小屋 ~ 10:30 大戸尾根登山口
参加メンバー:3人(B氏、N氏、がしん)
活動時間 | 3時間28分(行動時間3時間0分、休憩時間28分) |
活動距離 | 4.6km |
高低差 | ?m |
累積標高 上り/下り | 664m/654m |
消費カロリー | 1,725kcal |
大戸尾根登山口から東峰へ
11月3日午前6時30分に大戸尾根登山口に着。地元提供の駐車場(空き地)が混雑すると聞いていたので、早めに久木野キャンプ場を出発したのだ。15台程度駐車できるスペースは、既に半分ほど埋まっている。
駐車スペースさえ確保しておけば安心。お湯を沸かして朝食をとり、登山の準備をしていると、何か背後に気配がする。振り返ると、赤牛がじっとこちらを見つめている。牧場に隣接しているのか。
すぐに左前方に天狗峰が見えてくる。ガスにかすんでいるが、山容の紅葉は盛りを迎えているようだ。登頂意欲が湧いてくる。
道の右側に避難小屋、登山届の箱を見て、右上の放牧地に上がると、樹林に覆われた尾根道が目に入る。
尾根道は浸食されている所が多く、雨後はかなり滑りそうだ。この大戸尾根コース、とにかく長い尾根道をひたすら登り続けるという、まるで面白みのない登山道である。標高差600m余りと大した登りではないが、風景の変化なし、足を休める平地も見晴らしのきく場所もほとんどない。
半ばトレーニングのつもりで、ゆっくりと歩を進める。次第にシャツが汗でびっしょり濡れていく。たまに樹間から姿をのぞかせる紅葉が、ほっと心を和ませてくれる。
約1時間ほど登りに登ると、尾根がやせてきて岩の露出部に着く。
ハシゴを昇り、やせ尾根をロープを頼りに越え、しばらく進むと展望が一気に開ける場所に着く。左上に天狗峰、その山腹を彩る紅葉はまるで錦のような見事さだ。
紅葉と黄葉がほどよく入り混じり、峻険な岩山の山腹を彩るさまは圧巻である。
「イイっすねぇ」、「ガスってなければ、最高の眺めなんですがねぇ」、「きつい登りのご褒美だよ」などと、それぞれ勝手なことを言い合い、汗を拭いながらの小休止。
前原牧場(大戸ノ口)からの登山道に出会い、ミヤマキリシマの灌木帯を抜けると根子岳東峰はすぐだった。
屹立する天狗岩を臨む
8時35分、根子岳東峰山頂着。相変わらずガスが立ちこめ、視界は定かではないが、それでもこの展望は迫力満点だ。屹立する天狗峰へ延びる稜線、そのアップダウンの厳しさが多くの登山者の心をかき立ててきたのだろう。
この稜線は崩落が進んでいるため、現在は立入禁止となっているようだが、よく目をこらすと、稜線上に人影がちらほらとかいま見える。
背後を振り返ると南外輪山がどこまでも広がり、その後には祖母・傾の稜線まで遠望できる。
まだ、ランチには早すぎる時間なので、ここでコーヒータイムとした。ゆっくりコーヒーを楽しみながら、雄大な展望と紅葉のグラデーションを堪能する。
「もっと天候がよければ‥‥」などと贅沢は言うまい。無い物ねだりをするよりは、今この瞬間は生涯一度限りと、味わい尽くすのが良策というもの。
帰宅してYouTubeで検索してみると、ほぼ同時期の根子岳の紅葉がアップされていた。48秒ほどの動画なので、ぜひお楽しみを。
「阿蘇・根子岳 紅葉ピーク」(出典:熊本日日新聞社)
下山は、往路をピストンするだけである。延々と登りが続いた尾根道も、下りとなると早いもので約1時間30分で下山。途中、かなりの数の登山者に遭遇し、このコースの人気の高さを実感する。
10時30分、登山口着。駐車場には、あふれかえるほどの車が‥‥。登山口から下った路上にも、登山客のものと思われる車がずらりと並ぶ。
温泉、昼寝、焼肉‥‥、「帰らなくてもいい幸せ」を満喫
下山後は、昨日と同じ「四季の森温泉」で汗を流し、ついでに夕食の食材を買い出しに。せっかく七輪と網を持参しているので、焼肉でいこうと衆議一決。
この辺りでは、「お母さんのホルモン屋」という店が評判と聞いていたので直行。店頭に「高級なお肉はありません」と掲示しているのが面白い。確かにリーズナブルな値段である。道の駅にも立ち寄り新鮮な野菜も購入し、久木野キャンプ場に帰着。
このキャンプ場入口にはキッチンカー「Minaaso マルデン」が常駐しており、赤牛のローストビーフカレーが有名だそうだ。TVや雑誌でも紹介されたことがあるそうなので、昼食は「ローストビーフカレー」を食べることにした。30分待ちと言われ、ビールを飲みながら待つことにする。
ビールを飲み、名物のカレーを食べ終えると、みるみる眠気が襲ってくる。登山の疲労と満腹感で昼寝モードに突入である。各人、自分のテントに潜り込み、そのまま爆睡であった。
目を覚ました後は、クヌギの森の中を散策したり、ぼんやりと風景を眺めたり、スマホをいじくったり、思い思いにぜいたくな時間を過ごす。「帰らなくていいのが最高っすね!」とのN氏の言葉、全く同感だ。
夕食は七輪で焼肉。タンの塩焼き、カルビ、ホルモンとたいらげていく。
この日も、飲むほどに酔うほどに不良じじいらの馬鹿話に花が咲いたのは言うまでもない。「帰らなくてもいい」とは、何とすばらしいことだろう。
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