あとからくる君たちへ

あとからくる君たちへ(20) 元号に込められた先人の志と未来への希望

投稿日:2019年4月30日 更新日:

安倍首相新元号「令和」について談話を発表する安倍総理大臣(出典:首相官邸ホームページ

 今日は平成31年(2019年)4月30日。十数時間後に御代替(みよが)わりが行われ、5月1日午前0時より新天皇がご即位され、元号は「令和」と改められます。

 令和という元号には「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められているそうで、とてもよい名称だと思います。

 ところで元号については、「元号は不便だからいっそなくしてしまっては」という元号不要論がよく聞かれます。確かに西暦(実際はキリスト教暦)と元号が一緒に使われていると、不便なことがよくあります。あなたはどうですか。

 私は不便ではあるけれど、これからも元号を西暦と使い分けていくつもりです。今回は、その理由を話しておきたいと思います。

 ただし、これはあくまで私の個人的な見解です(これから記すことには、いろいろな説や意見があるようですから‥‥)。

 

わが国最初の元号「大化(たいか)」が生まれた背景

 ものごとには何でも始まりがあります。元号も同じで、わが国最初の元号は「大化(たいか)」とされ、西暦645年に制定されました。あなたもよく知っている「大化の改新」の「大化」です。

 大化の改新は、大胆な政治改革で、この改革により「豪族を中心とした政治」から「天皇中心の政治」へと移り変わったとされています。

 大化の改新では、様々な国政の改革が行われました。

  • それまで豪族が私有していた領地を、天皇(公)のものと改める(公地公民制)。
  • 戸籍や土地台帳を作り、政府が貴族や民衆に土地を分配する(班田収受の法)。
  • 全国を「国」「郡」「里」で整理する(国郡里制)。
  • 国に税金を納める制度を導入する(租庸調(そようちょう)の租税制度)。

 一言で言えば、土地所有者も税金も支配者もばらばらであった全国の各地域を、天皇を中心とする「日本」という一つの国に統一するという、大政治改革であったようです。

 「天皇中心の律令国家制度」とか「中央集権制度」の誕生という表現がよく使われます。明治維新に匹敵するような、大政治改革だったようです。

 

年号をどうするか? 

 さて、元号の話にもどりましょう。大化の改新にあたり、年号をどうするかという問題が起こったようです。それまでは「〇〇天皇△△年」という言い方だったからです。新政権には、次の3つの選択肢があったと考えられます。

  1. これまでどおり、「〇〇天皇△△年」という言い方を続ける。
  2. 唐の国で使われている元号を、そのまま借用する(現在のように西暦をそのまま使用するのと同様)。
  3. 元号制度は借用するが、元号名は日本独自のものを新たに制定する

 結果は、あなたがご存じのとおりです。われわれの祖先は、日本独自の元号「大化」を定め、それが千数百年後の今日まで続いているわけです。

全盛期の唐代の地図?(出典:不明(中国のサイトか?))

 わが国が2の選択をしなかったのには、大きな意味があるようです。古代中国では暦を定めるのは天子でした。唐の元号をそのまま受け入れるということは、唐を宗主国として仰ぐ「属国」であることを自ら認めることになります。

 当時、2の選択をしたのは朝鮮半島の新羅でした。大化の改新の3年前にあたる西暦642年、高句麗と百済の連合軍が新羅に侵攻すると、新羅は唐に支援を求め、独自の元号を廃して唐の元号を用い、唐の完全な属国となりました。

 このことが当時の日本の政権に影響を与えないわけはありません。つまり、日本独自の元号を使用するということは、対外的には独立国家であることを宣言したと想像できるのです。初めての元号「大化」には、そのような先人の志が込められている、と私は勝手に考えています。

 

元号から感得される「精神的な一体感」

 私が不便でも元号を使い続けようと考えるもう一つの理由は、元号には国民の「精神的な一体感」が感じられるからです。「令和」の考案者ではないかと噂される中西進氏は、元号は『みんなが「こういう時代にしようよ」という目標、心のよりどころとなっている』(産経新聞、平成31年4月29日)と述べています。

 安倍総理大臣は新元号を「令和」に決定したことについて、「一人ひとりの日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい、との願いを込め」たと語りました。国のリーダーが「こんな時代を作っていこう」という目標を、高らかに掲げたのだと理解しています。

太宰府天満宮の紅梅

太宰府天満宮の紅梅 2019年2月撮影

 私たちの願いやめざすべき目標を漢字二字で表現し、それを全国民が数十年に渡り日常的に使って親しんでいく。そういう美しい文化を持つ国があってもよいのではないでしょうか。そのためには、少々の不便はがまんできると思っています。 

 西暦の便利さは十分に利用しながらも、元号に込められた先人の志と未来への希望に思いをいたして使い分ける。これぞ「和魂洋才」、両方の長所をうまく使い分けていくつもりです。

 今夜0時から始まる令和の時代。私も自分なりの花を大きく咲かせたいと思っています。

 

追記

 西暦と元号との併用については、スポニチの2019年5月1日付の記事にタレントのタモリ氏のコメントが紹介されていた。

 見出しは、【タモリの新元号特番コメントが話題に「西暦は本のページ。元号は日本だけの『章』」】

 フジテレビが4月30日に元号またぎで放送した特番「FNN報道スペシャル 平成の“大晦日(みそか)”令和につなぐテレビ」で総合司会を務めたタモリ(73)のコメントが注目を集めている。

 6時間半の生放送番組エンディングでコメントを求められたタモリは「西暦というものが、ずっと(続く)本のページ数だとすれば、元号というのは日本だけが持っている『章』。その章があるから(時代の)切り替えができますよね」と自身の考えを述べた。

(出典:スポニチ Sponichi Annex

 なるほど、このたとえなら小さな子どもにもよく分かる。(2019年5月6日)

 

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