※ 本稿は2018年7月15日の山行記録を、8月2日にアップしたものです。
目次
三俣山南峰(1743m)直登ルートに挑む
坊がつるの朝は早い。午前5時過ぎには、朝食や登山の準備をする人の姿がちらほらと目につき始める。
朝焼けに染まる三俣山南峰を眺めながら、今日登る直登コースはどのあたりかと、目で探すがよく分からない。
昨夜飲みながら決まったのが、坊がつるから三俣山南峰(1743m)まで、標高差約500mを直登するルート。地図を見ると、つまった等高線を一直線に登っていくのがよく分かる。
(出典:「山旅クラブ」収録登山地図「_広域_九重_山系」)
このルート、8年前の10月に一度だけ登った記憶がある。登山道も未整備で、けっこうしんどい思いをしたなぁ。当時はまだ50代後半。くじゅうの未踏ルートをすべて制覇してやろうと、意欲に燃えていたのである。
昨晩知り合った山のベテランが、「三俣山南峰ルートと、鉾立(ほこたて)峠から白口岳へ登るルートは行きたくないなぁ」とおっしゃっていた。同感である。
しかし、同行のB氏とN氏はいたく興味を引かれた様子。かつての小生と同様、くじゅうの未踏ルートに魅力を感じているようだ。
取り付きから南峰山頂まで
南峰ルート取り付き地点には、それらしき道標などない。「坊がつる」の案内板を背にすると、三俣山に向かう踏み跡が目にはいる。その踏み跡をたどっていくだけである。
しばらく進むと、両手両足を使って登るような急登が待ち構えている。これが約1時間続くのだから、それなりの心の準備が必要となる。
水と昼食等の最低限の荷で軽量化を図り、サブザックを背に急斜面に向かう。
ぎらぎらと照りつける日差しと蒸し暑さにあえぎながら、登る、登る、登る‥‥。
汗がメガネを濡らし、ぬぐってもぬぐっても吹き出てくる。
B氏がたまらずTシャツを脱ぎ、絞ると汗がぽたぽたとしたたり落ちる。
熱中症だけにはなるまいと、10分登っては数分休憩というゆっくりペース。塩飴をなめ、水分を確実に補給する。
時折さわやかな涼風が吹き抜けると、生き返ったような気分になる。展望も素晴らしい。坊がつるのテントもかなり撤収され、数が減ってきたようだ。
南峰山頂直下に展望台のような草地が広がっている。吹き抜ける風が実に心地よい。この展望の素晴らしさにひかれ、登山者の絶好のランチ場所となっていると聞く。
きっかり2時間で南峰山頂に到着である。「よく頑張った」と、自分で自分をほめてやりたくなる。このルートの魅力は、長い急登を登り切った達成感と、くじゅうの山並みを一望する大展望であろう。
眼下に坊がつる湿原、左に平治岳、正面に堂々とそびえる大船山、右に目を移すと鉾立峠から白口岳へ伸び上がる稜線、そのまま中岳、天狗ヶ城へと連なるくじゅうの峰々‥‥。
3人で互いの健闘をたたえながら、気宇壮大な展望にしばし時を忘れる。
南峰直下の分岐で道を間違え、GPSソフトに助けられる
さて、三俣山のお鉢巡りである。小生はこれまで、【本峰(1745m)→北峰(1690m)→南峰(1743m)】という「時計回り」のお鉢巡りしか経験がない。
今回のように【南峰→北峰→本峰】という「反時計回り」ルートは、実は初めてである。
何とかなるだろうと高をくくっていたのがいけなかった。南峰直下の分岐点で道を誤り、四峰に向かう登山道に入り込んでいたのである。
改めて地図をご覧いただくと、南峰から北に向かうルートが二つに分岐しているのがお分かりであろう。右に進めばお鉢巡りルート、左に進めば四峰に至る分岐である。小生らは、ここを左に進んでしまったという次第。
様子がおかしいので、B氏のGPSソフトで現在地を確認してもらい、間違いに気づいたというわけ。分岐まで登り返して確認すると、生い茂った木々と夏草で展望がさえぎられ、道標も設置されていないようだ。
GPSソフトが、地図上の現在地を瞬時に示してくれる凄さを実体験できたわけで、これは本気になって習得に励まねばなるまい。
秋のお鉢巡りなら紅葉の彩りを楽しめるのだが、盛夏の頃はあまり面白いものではない。ひたすら下って登るの繰り返しである。鞍部までの急登を下っては休憩、また小ピークまで登り返しては休憩、とゆっくり休み休み進んで行く。
約90分で本峰に到着後、一気に西峰~スガモリ越へと進み、スガモリ避難小屋跡で昼食とした。暑さで余り食欲の湧かない小生に比べ、同行の二人は、熱々のカップラーメンをむさぼり食うだけの元気がある。
北千里浜の「ゴリラ岩」にも挨拶し‥‥、
坊がつるに戻ったの14時過ぎ。後は温泉、冷たいビール、涼風に吹かれ、ゆったりと流れる時間に身をゆだねるだけである。
この夜は、杯を重ねながら満天の星空を堪能することができた。ためしに、Geeogleで「画像 星空 坊がつる」で検索されると、小生の幸せな気分が少しはお分かりいただけよう。
◆ 本記事の続きはこちら >坊がつるでテント泊‥‥酷暑の中、三俣山南峰直登ルートに挑む (3)
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