※ 本稿は2020年5月23日の山行記録を、5月25日にアップしたものです。
2020年5月15日、福岡県でも緊急事態宣言がようやく解除となった。5月2日の犬ヶ岳山行以来、ずっと山は自粛してきていたため、喜びもひとしおである。県境を越える移動は避けてほしいとのことなので、県内の英彦山(ひこさん・1199m)に出かけることにした。
裏英彦山ルートでケルンの谷を経て、新緑のシャワーを浴びて中岳をめざす。下りは北西尾根をのんびりと歩き、ここでも新緑を味わい尽くそうというプランである。
目次
コースと活動概要
◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。
08:03 豊前坊駐車場 ~ 08:18 薬師峠 ~ 08:20 裏英彦山道登山口 ~ 09:37-09:50 ケルンの谷 ~ 10:24 稜線出合い~ 10:35-11:12 中岳山頂~(北西尾根)~ 11:57 野鳥観察路出合い ~ 12:07 英彦山青年の家スキー場~ 12:30 豊前坊駐車場
参加メンバー:3人(B氏、N氏、がしん)
活動時間(含む休憩時間) | 4時間27分(行動時間3時間11分、休憩時間1時間16分) |
活動距離 | 6.8km |
累積標高上り/下り | 658m/660m |
カロリー | 1,970kcal |
豊前坊からケルンの谷へ
新緑を満喫できるお気に入りのコースと言えば、由布岳山ろくの自然観察路、くじゅうの男池からかくし水までのルート、大船山4号集材路などが頭に浮かぶ。
まだ県境を越える移動は避けた方がよいので、今回は英彦山を歩くことにする。裏英彦山道を経てケルンの谷から山頂を目指し、下りは北西尾根をのんびり歩くコースである。
豊前坊駐車場に車を止め、薬師林道を歩き裏英彦山道の取付点に着いたのが8時20分。風雨にさらされた標識の文字は、範読しがたい。
薄暗い杉の植林帯をしばらく登り、北岳の肩から伸びる尾根筋に乗り上げると落葉樹の森となり、木洩れ日に緑が映えて美しい。
晴天にも恵まれ、周囲はあふれんばかりの新緑‥‥。聞こえるのは鳥のさえずりと、小生らの声のみ。
「裏」英彦山道と呼ばれているが、実は英彦山の南東斜面を横切るトラバース道で、明るく気持ちのよい道である。
「いいねぇ」、「癒やされますねぇ」、「元気が湧いてくるようです」などと、それぞれ勝手なことを言いながら、歩を進める。
山を歩ける幸せを実感である。
9時37分、ケルンの谷到着、豊前坊駐車場から約1時間30分。ここで行動食休憩とする。ここまでに遭遇した登山者はわずか2人のみ。
周囲の緑が本当に素晴らしい。どこを見ても生命の息吹が伝わってくる。
ケルンの谷から中岳山頂へ
ケルンの谷から山頂をめざすルートは、今回で4回目である。過去3回はいずれも紅葉の時期か初冬の頃で、5月に歩くのは初めてだ。
新緑の時期にこのルートを歩いて、その美しさに深い感銘を受けた。
鳥の声と自分の足音しか聞こえない静寂に包まれ、人の手が入っていない落葉樹の森を登っていく。
この色を何と呼べばいいのか。微妙に異なるあまたの緑色が周囲に満ちている。
そこここに年輪を感じさせる巨木が散在する。
朽ち果てかけた巨木と、これから生を謳歌しようとする若葉のコントラスト。
森が生きる喜びに震えているような情景だ。歳を重ねると、はつらつとした若い命に遭遇すると、頬がほころび元気をもらったような気分になる。
ケルンの谷から30分ほど登ると、中岳と南岳の鞍部にいたる最後の急登が待っている。ここを汗まみれになってあえぎながら登っていく。約3週間の巣ごもり生活のせいか、心肺機能の衰えが甚だしい。小生よりも若い二人の足取りは軽いようだ。
中岳と南岳を結ぶ稜線の登山道に出合うと、膝に両手を置き肩で息をするばかり、しばらくは声も出ないほどだった。
視線を挙げると、大きな葉が目に入る。何の木だろうか?
10時35分、中岳山頂着。まだ時間が早いせいか、数名の登山者がいるのみ。声をかけてきた男性にも久しぶりに山を歩く喜びがにじんでいた。
少し早いが、木陰のベンチに陣取りランチとする。本日のメニューは、冷えたそうめん。クーラーバッグで冷やしておいたそうめんと自作のめんつゆ、きゅうりとハムの千切りを添えて、すすり込む。
火照った体に冷えたそうめん、箸が進むこと進むこと‥‥。デザートに冷やした桃ゼリーを味わい、最後はコーヒーで締めて、満足のランチであった。
静寂の北西尾根を下る
中岳山頂から北西方面にゆるやかに延びる大きな尾根、人呼んで「北西尾根」。この尾根をたどるルートは、正規の登山道ではない。かつては踏み跡も定かではなかったのだが、この数年歩く人も増え、今では明確な踏み跡がついている。
中岳の頂から北西尾根方面を臨む。標識も何もないが、よく見ると踏み跡は判別できる。
この北西尾根、「鳥の声と自分の足音しか聞こえない静寂の尾根」と雑誌『のぼろ』に紹介されていた。美しい落葉樹の間を縫って踏み跡が続いている。最近では番号札までも設置され、安心して歩けるようになった。この番号札をカウントダウンして進めば、間違いなく下山できるという次第。
気をつけるとしたら、この岩場に設置されたハシゴぐらいだろうか。それでも慎重に下れば、特に問題はない(と思う)。
ご覧のように、鼻唄が出そうなくらい、ご機嫌な下山道である。新緑が身も心も染め上げてくれるようだ。
中岳山頂から約50分(標高差300m)ほど下ると、野鳥観察路との交差点に出合う。今日は右折して野鳥観察路をたどり、県立英彦山青年の家付設スキー場をめざすことにする。
苔で覆われた日本庭園のような場所が現れると、スキー場は近い。
スキー場に到着。
後はよく手入れされた杉並木を眺めながら、九州自然歩道をのんびり歩いていくだけ。
12時30分、豊前坊の駐車場着。すでに駐車場は満車状態、下の第二駐車場も半分は埋まっていた。
帰路に営業を再開したばかりの源じいの森温泉に立ち寄り、露店風呂で汗を流す。楽しい一日だった。
◆「山行記録」の関連記事はこちら >カテゴリー「山行記録」関連記事へのリンク
[…] 初詣でを兼ねて英彦山へ 初冠雪の英彦山、今季初の霧氷に出合う 英彦山、新緑のシャワーを浴び、ケルンの谷から山頂へ 英彦山、北西尾根の紅葉を撮り歩く […]
[…] 初詣でを兼ねて英彦山へ 初冠雪の英彦山、今季初の霧氷に出合う 英彦山、新緑のシャワーを浴び、ケルンの谷から山頂へ 英彦山、北西尾根の紅葉を撮り歩く […]