甘くてジューシーなトマトを育てる秘訣は‥‥
いつか暇ができたら、家庭菜園でトマトを作ってみたい、と考えています。夏の強い日差しをしっかり受け止め、真っ赤で、ずっしりと重く、かぶりつくと自然の甘みがしたたりおちるトマト…。
甘くてジューシーなトマトを作る秘訣は、土作りにこだわり、毎日水やりをかかさず、肥料もたっぷり与えることだと思っていました。ところが、調べてみると意外な結果に驚きました。トマトの甘さの秘訣は、実がなる7月頃に「水をできるだけやらない、肥料もほとんど与えない」ことだそうです。
トマトの実が大きく成長する7月中旬、地面がひび割れても、トマトの葉が枯れる寸前まで水を与えず、肥料も与えず、強い太陽の光にさらすのだとか。水を与えるのは、せいぜい1月に1度、それもごく少量のみ。
トマトは、厳しい環境を生き抜こうと、必死に乾燥した大地の奥まで根を伸ばし、地下の奥深くのわずかな水分を吸収しようとします。過酷な環境はトマトの生命力を高め、濃い甘みのある味を生み出すのだそうです。生命の持つ力のすごさ、成長することの本質がうかがえる話です。
われわれ生き物には、厳しい環境を必死に生き抜こうとすることで、強くたくましく成長する遺伝子が備わっているのかもしれません。(施設の)玄関に植えられたミニトマトを眺めながら、こんなことを考えていました。
(平成25年6月「こもれびだより 4号」掲載記事を加除修正したもの)
追記
甘くてうまいトマトをつくる秘訣は、実は「成長期に厳しい環境の中で育てる」ことだった、という「深イイ話」である。
「艱難(かんなん)汝を玉にす」とか「若い時の苦労は買ってでもしろ」、「かわいい子には旅をさせよ」等々、古来このたぐいの格言、ことわざは数多い。
確かに、過酷な環境や厳しい試練は、志を立て、挑戦する気概に燃えた若者を大きく成長させる。長く生きてきたシニアにはそれがよく分かるが、当の若者にはなかなか理解できない。
身近なトマトを例にとり、少しでも納得してもらいたいと筆を進めた記憶がある。
「風に向かって立ってみよう」という唐突なサブタイトルをつけたのは、さだまさし氏の名曲「風に立つライオン」が脳裏をかすめたのだろう。
空を切り裂いて落下する滝のように僕はよどみない生命を生きたいキリマンジャロの白い雪 それを支える紺碧の空僕は風に向かって立つライオンでありたい(出典:「風に立つライオン」(作詞、作曲:さだまさし))
肝心のトマト栽培、リタイヤして「暇」はできたのだが、日々の雑事に追われてまだ取りかかれそうにない。小生にも厳しい試練が必要なのかもしれない。
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