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あとからくる君たちへ(8) 映画『世界の果ての通学路』

投稿日:2018年10月10日 更新日:

『世界の果ての通学路』 ~学びへの飢えとひとすじの希望~

世界の果ての通学路

サミュエルと弟たち(出典:映画『世界の果ての通学路』)

 「通学時間はどれくらい?」
 「往復4時間、歩いて通っているよ。」

 こんな会話が当たり前の世界に住む子どもたちの映画を紹介します。

  • 障害で歩けないインドのサミュエル(13歳)と2人の弟、学校まで片道4kmをオンボロ車いすで1時間15分。
  • ケニアのジャクソン(11歳)と妹のサロメ(6歳)、片道15kmを小走りで約2時間。
  • アルゼンチンのカルロス(11歳)と妹のミカイラ(6歳)、片道18kmを馬で約1時間半。
  • モロッコのザヒラ(12歳)と友人のジネブ、ノウラ、片道22kmを徒歩で4時間。

 映画『世界の果ての通学路』(2012年・フランス)では、この4組の子どもたちに密着し、遠い道のりを学校へ通う姿をカメラが追っていきます。

 たとえば、ジャクソンはケニアのサムブル族の11歳の少年。長男でしっかり者の彼は、毎日6歳の妹のサロメを連れ、小走りで15kmを2時間かけて学校へ通います。彼らの通学路は広大なサバンナ(草原)。

 父親は、通学前にわが子の無事を神に祈ります。なぜなら、毎年4,5人の子どもがゾウの襲撃によって命を落としているから。彼らはなぜ、命の危険を冒してまで学校に通おうとするのでしょう……。

世界の果ての通学路

ジャクソンとサロメ(出典:映画『世界の果ての通学路』)

 「通学路」という切り口で世界をとらえたこの作品、学ぶ意欲のある子どもたちが集う場所、そこは「世界の果て」ではなく「世界の中心」だと改めて気づかされる秀作です。

 レンタルビデオ店で見つけたら、ぜひご覧を。

(平成27年11月「こもれびだより 9号」掲載記事を加除修正したもの)

 

追記

「夢をかなえたいから」

 この記事、本当はもっと書きたいことがあったのだが、紙幅の制限でこのような簡潔な文章になってしまった。

 本作で紹介された4組の子どもたちの通学路の過酷さは、公式サイトの「作品情報」ページをご覧いただければ、一目瞭然である。通学路は危険で、大人の足でも難儀な道のりなのだ。

◆公式サイトはこちら >映画「世界の果ての通学路」公式サイト

世界の果ての通学路

カルロスとミカイラ(出典:「世界の果ての通学路」公式サイト)

 道なき道を何時間もかけて通学する子どもたち、そのひたむきな姿はけなげで、観る者の胸を打つ。徒歩圏内に学校が設置され、安全・安心な通学路が確保されている日本の小・中学生から見れば、想像を絶する光景であろう。

 記事の掉尾に「彼らはなぜ、命の危険を冒してまで学校に通おうとするのでしょう……」と書いたが、実は作品を観ると、全員同じ回答が返ってくることに気づく。

 ‥‥どうして彼らはそんなに苦労してまで学校に行くのだろう?
 別の大陸、違う言語、宗教、生活環境の中で暮らす4人の子どもたちは、真っ直ぐな瞳で同じ思いを語る。
 「夢をかなえたいから」

(出典:映画「世界の果ての通学路」公式サイト)

 彼らの夢は、将来パイロット、獣医師、医師になること。4組の子どもたちは、教育が自分の未来を切り拓くパスポートだと信じている。学びの先に見えるひとすじの希望と学びへの「飢え」、これが苦労をして学校に通う原動力となっているのだ。

 

わが子を送り出す親の祈り

世界の果ての通学路

出典:映画「世界の果ての通学路」予告編

 本作品、子どもたちはもちろんだが、わが子を送り出す親の思いにも心を打たれる。なまじ通学路の長さと困難さが分かっているだけに、学校に向かうわが子の安全を願う思いが、ひしひしと伝わってくる。どの親も祈りの言葉を口にするのもうなづけるのだ。

世界の果ての通学路

出典:映画「世界の果ての通学路」予告編

 

子どもの笑顔とエネルギー、それは希望と救い

 登場人物が学校で見せる笑顔の素晴らしさにも触れておきたい。車椅子のサミュエルを出迎える仲間と、実に嬉しそうな彼の笑顔がスクリーンに映し出された時は、胸が熱くなる思いだった。

 子どもにとって、仲間と学び、交流する場が、いかにかけがえのない場所であるかがよく分かる。子どもは集団の中で交流し、競い合いながら健全な人格を形成していく。彼らが見せてくれる笑顔と発散するエネルギー、それは希望であり救いでもある。

世界の果ての通学路

サミュエルを迎える仲間たち(出典:映画「世界の果ての通学路」予告編)

 

 小生は孫たちが小学5~6年生になったら、一緒にこのビデオを観たいと思っている(ビデオディスクは既に準備済み)。

 孫たちは、異国の同年代の子どもの姿から感じ取ってくれるだろうか。学校がすばらしい場所であることを、教育が未来を切り拓くパワー・ツールであることを、そして毎日自分を送り出してくれる両親の祈るような思いを‥‥。

 観終えたら尋ねてみたい。「きみは、大きくなったら何になりたいのかな?」と。夢を語る孫の顔を見ながら、にんまりするのもシニアの楽しみの一つなのだ。

 

 


 

※ 参考
 本作は既に上映期間は過ぎているため、鑑賞手段はビデオしかないようだ。近くのレンタル・ビデオ店に本作があればよいが、そうでない場合はネット利用となるだろう。
 記事を書いた3年前は、某ビデオ・レンタル会社の宅配レンタル・サービスを利用し、ビデオを郵送してもらった記憶がある。
 今なら、Amazon等のビデオ・オン・デマンドで、視聴ができるようだ(有料)。

◆ amazon ビデオ・オン・デマンドのサイトはこちら >amazon prime Video 「世界の果ての通学路」(字幕版)

 

◆本シリーズの次の記事はこちら >あとからくる君たちへ(9) 三つの幸せと「くれない」族 

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