山行記録

大崩山の大岩峰に立つ (1) 天を突くわく塚の絶景

投稿日:2018年10月31日 更新日:

大崩山

天を突いてそびえ立つわく塚の大岩壁

※ 本稿は2018年10月26日~27日の山行記録を、10月31日にアップしたものです。

 九州最後の秘境と言われる大崩(おおくえ)山系、その大岩峰と紅葉を楽しもうと宮崎までやってきた。台風の影響で紅葉は期待を裏切られたが、わく塚の大展望を満喫した山行だった。

 

目次

今回のお題とコース

 今回の山行のお題は

  1. 大崩山(おおくえやま、1,643m)大岩峰からの展望と紅葉を楽しむ。
  2. 難所が多く長時間のコースのため、無事故で下山する。
  3. 宿泊施設「コテージ大崩」の偵察

◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。登山口でGPSソフトのスイッチを押し忘れ、大崩山荘を過ぎた地点でスイッチを入れたため、実際とはスタート地点が異なっている。

大崩山

上祝子登山口~わく塚分岐~袖ダキ展望台~下わく塚~中わく塚~上わく塚~リンドウの丘~坊主尾根~大崩山荘~上祝子登山口

活動時間(含む休憩時間) 9時間26分
活動距離 9.98km
高低差 1,023m
累積標高上り/下り 1,191m/1,213m
カロリー 不明

※ あちこちで展望を楽しみ、ゆっくり下山をしたため、活動時間は参考になりません。

 

祝子川キャンプ場に前泊する

 大崩山登山第一の課題は、登山口までのアクセスと前泊の手段であった。ナビが普及した現在では、自家用車で祝子川(ほうりがわ)登山口まで行くのはさほど困難ではなくなった。

 前泊の手段は、次の4つのいずれかを選択することになると思う。

  • 宿泊施設の利用
  • 避難小屋「大崩山荘」で小屋泊
  • 祝子川温泉「美人の湯」第二駐車場でのテント泊(許可が必要)
  • 登山口近くで車中泊

 本年5月の山行時には民宿「大崩の茶屋」に宿泊したが、今回は初めて「祝子川キャンプ場」のコテージを利用してみることにした。

 往路途中にある「道の駅中津」で地産の食材を購入し、13時30分頃にはキャンプ場着。写真のコテージ(4人用)を3人で利用する。

コテージ大崩

 中に入ると右側に二段ベッドが設置され、充分な就寝スペースが確保されている。トイレ、バス、キッチン、暖房(ファンヒーター)、ガスコンロ、炊飯器、調理器具(包丁、鍋、フライパン、やかん等)も常備されており、予約すれば布団(有料)も準備してくれるという。これはなかなか快適そうである。

コテージ大崩

 さっそく荷物をまとめ、早めに夕食の準備にとりかかる。グルメのB氏が包丁さばきも鮮やかにキッチンで下ごしらえを始める。なにせ就寝予定時間が20時なので、早めに夕食を終える必要がある、というのは半分口実。明るいうちからビールを飲むのが前泊山行の楽しみなのだ。

コテージ大崩

キッチンで腕をふるうB氏

 温泉は「祝子川温泉・美人の湯」(車で7~8分?)。澄んだ秋空の下、大崩山を眺めながら露天風呂でぬる目の湯に浸る。ゆっくり温泉を楽しみ、コテージに戻ったらさっそくビールで乾杯!

 まずは新鮮な刺身(サバ、イカ)に箸をつける。サバのお造りなんて、よっぽど新鮮な魚じゃないと味わえない。次は大分名産の生椎茸の網火焼き。じんわり焼けた椎茸に塩とカボスを振りかけ、かぶりつく。馬鹿話に興じながら、そのままだらだらと夕食に突入である。

 メインはハモしゃぶ鍋、ハモを食べ終えたら次は豚しゃぶとなる。美味いものを食べ、山歩きを楽しみ、温泉で汗を流す。この三者が混然と融和するところにお泊まり山行の真髄がある。

 不良おやじと不良じじい達は早々と酔いつぶれてしまい、20時までには全員轟沈であった。

生しいたけ

分厚い生しいたけを焼き、塩とカボスで食べる

 

登山口から袖ダキ展望台へ

 翌朝は5時に起床し、祝子川登山口には6時前着。登山道には「三里河原コース通行不可」の立看板が設置されている。どうやら先頃の台風24号、25号による倒木のためらしい。小生らがめざす「わく塚・坊主尾根コース」は通行可のようなので、そのまま進む。

大崩山

大崩山荘へ向かう登山道

 祝子川の左岸沿いの登山道を進み、大崩山荘を過ぎ、巨岩だらけの渡渉地点に着く。見上げると、小積ダキの岩峰が見える。空は雲一つない晴天である。「晴れて良かったなぁ」とうなづき合い、急流渦巻く祝子川を岩伝いに渡る。どなたか早く橋を架け直してくれないものか。

大崩山

祝子川渡渉点から見上げる小積ダキ

 対岸に渡り、深い原生林が生い茂る小積谷を赤テープを頼りにつめていく。しばらく歩き、人一人が通行できる狭い岩の割れ目を通り抜けると、急登が待ち構えている。次の地図中央の「●迷い注意」の表示辺りから「袖ダキ」までの詰まった等高線を見れば、かなりの急勾配であることがお分かりいただけるだろう。

大崩山(出典:「山旅クラブ」収録登山地図「宮崎_大崩山系大地図」より部分転載)

 急斜面の登りが実にきつい。木の根をつかみ、岩角をつかんで両手両足で這うようにして登っていく。拭っても拭っても汗がしたたり落ちる。いつものことだが、昨晩の深酒を反省することしきりである。

大崩山

 崖をロープやハシゴに頼って越え、展望のない急坂をひたすら登り続けると、袖ダキ展望所に到着である。

 ここから眼前に広がる小積ダケの大岩壁と、天を突くようにそびえるわく塚の岩峰群は、大崩山の最初の絶景である。初めてこの展望を目にした者は、みな言葉を失ってしまう。「凄い!」としか表現のしようがないほどの圧倒的な迫力である。

大崩山

 自然が造り出した造形の妙としか言いようがない。これに紅葉の彩りが加わったら、どんなに美しいだろう。残念ながら紅葉は期待したほどではなかった。

 「今年のような台風が多い年は、葉が風で擦れて傷み、発色不足になることがある」らしい。そばにいたベテランとおぼしき人によれば「過去最高の外れ年」とのこと。

 
大崩山

眺めているうちに、登高意欲がわき上がってくる

 いつまでも見飽きることのない光景だが、先は長い。再びザックを背負い、あの岩峰をめざして出発としよう。

※ 本稿の続きはこちら >秘境・大崩山の大岩峰に立つ (2) 大展望と恐怖の坊主尾根

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