山行記録

大崩山の大岩峰に立つ (2) 大展望と恐怖の坊主尾根

投稿日:2018年11月6日 更新日:

※ 本稿は2018年10月26日~27日の山行記録を、11月6日にアップしたものです。

 九州最後の秘境と言われる大崩(おおくえ)山系、その大岩峰と紅葉を楽しもうと宮崎までやってきた。本稿は前回に続き、大崩山の山行レポートである。

※ 前回の記事はこちら >大崩山の大岩峰に立つ (1) 天を突くわく塚の絶景

 

下・中・上わく塚からリンドウの丘へ

 袖ダキ展望所から約30分で下わく塚へ取り付く連続はしごが目に入る。はしごが3本続くきつい登りである。

大崩山

 連続するはしごを登り、少し歩を進めるといきなり広々とした展望が眼前に広がる。下わく塚の頂上である。ここからの眺望も実に素晴らしい! 見下ろすと鋭く切れ落ちた断崖絶壁に思わず足がすくんでしまう。

大崩山

下わく塚からの雄大な展望、これから先へは足が震えて進めない

大崩山

下わく塚からの展望を楽しむN氏とB氏

 振り返ると、次にめざす中わく塚の岩峰がそびえ立っている。おや? よく見ると山上の岩に人影が見えるではないか。カメラでズームアップしてみると、どうやら登山靴を脱ぎ、おいしそうにカップ麺を食しているようだ。

大崩山

下わく塚から見上げる中わく塚。オレンジの〇印の岩上に人が‥‥。

 こんな澄み渡った秋空の下、大展望を独り占めしながら食べる食事はさぞかし美味であろう。何ともうらやましい限りである。 

大崩山

ズームアップして見ると、おいしそうにカップ麺を食べている姿が

 さらに目を左に移すと、高く屹立する上わく塚の勇姿が望める。

大崩山

下わく塚から見る上わく塚、この上からの展望がたまらん!

 この岩峰上からの展望も言葉を失うほどの絶景であった。スケールが大きすぎて、とてもカメラのフレームにおさまるものではない。汗をかき、長時間歩き続けた者だけが味わえる至福の時である。「なんか、天下をとったような気分になりますね」、B氏がつぶやく。なるほど言い得て妙である。

 小生の拙い文章や写真より、次のプロモーションビデオを見ていただいた方が、大崩山の岩峰の迫力と素晴らしさが体感できると思う。わずか3分弱なので、ぜひご覧いただきたい。

 それぞれのわく塚からの眺望をたっぷり楽しんだ後、りんどうの丘で昼食とした。今朝作ったホットドッグと即席スープを味わいながら、上・中・下と続くわく塚のほぼ全容を別の角度から眺めてみる。改めて凄いスケールの岩峰だと、感嘆するしかない。

 ふと上わく塚に目をこらすと、頂上をめざす登山者たちが豆粒のように小さく見える。小一時間ほど前に小生らが登ったルートである。よくあんな所を登ったものだと思う。

大崩山

上わく塚の頂上をめざす登山者たち

 

恐怖の坊主尾根を下る

 「はて? 下山道はこんな道だったろうか‥‥」、リンドウの丘から小積(こづみ)ダキに至る登山道のことだ。本年5月に訪れた時と比べ、かなり荒れている。多数の倒木が放置され、進行の障害となる倒木をチェーン・ソーで切り倒した痕跡もそこここに残る。登山道の崩落箇所も数カ所あり、新たに迂回路が切り拓かれている。

 後で分かったのだが、台風24号、25号の被害が最もひどかったのがこのあたりだったようだ。

 象岩のトラバースから先は、はしごやロープの連続で気が抜けない「坊主尾根」の下山コースとなる。一番疲れが蓄積している下山時に、最も危険度の高い難路で下らねばならない。

大崩山

象岩のトラバース。左側は切れ落ちた崖。2006年10月29日撮影

 

大崩山

 はしご、ロープ、はしご、またはしご‥‥。はしごは20までは数えたが、後は多すぎて覚えていない。「よくこんなコースを切り拓いたものだ」と、あきれかえるくらいの難路である。こんな山奥にまで長くて重いはしごを担ぎ上げ、一つ一つ設置した労力と時間を考えると頭が下がる。

 とにかくスリルが半端ではない。はしごを立て続けに3本下ると、途中ではしごが途切れ足下には何もない空間が広がっている。よく見ると左横にロープがぶら下がっている。冷や汗を流してこのロープに移って岩を下り、また次のはしごへ続くという驚愕の箇所さえある。

 緊張感と集中力を切らさず、とにかく一つ一つ確実にクリアしていくしかない。こんな手に汗にぎるような下山道が1時間以上続く。

大崩山

 坊主尾根を下り終え祝子川(ほうりがわ)の本流に出会うと、最後の難関である渡渉が待っている。橋などないため、飛び石づたいのルートを見つけて渡る。

大崩山

 祝子川を渡り終え、大崩山荘から登山口まで約30分、登山口着が15時30分頃。活動時間は9時間(休憩を含む)を越えていた。よく頑張った、と自分をほめてやりたくなる。

 大崩山は手強く難易度の高い山である。しかし、それを補って余りある感動と絶景、達成感を味わえる山でもある。

 この山にあと何回登れるだろうか? 今回は、体力の衰えをとみに感じた山行だった。

 

台風による被害と登山道の復旧

 最後に、9月末の台風24号及びその直後の25号により、甚大な被害を被った登山道を復旧すべく尽力したくださった方々のことにふれておきたい。

 祝子川温泉「美人の湯」管理人で、大崩山山岳ガイドの中原史貴さんによると、2018年10月11日現在の被害状況は次のようであったらしい。

朝からチェーンソーを担いで入山し、パノラマコース(湧塚コース~りんどうの丘~坊主尾根コース)の点検整備をしてきました。

登山道は予想以上に荒れており、袖ダキまで行くのにも難儀するような状況でした。

以下、現時点での各コースの状況です。

①湧塚コース
上湧塚まで倒木処理完了しました。今まで通り通行可能です。ただし袖ダキ~下湧塚間の林内は相当に荒れておりどこが登山道なのか非常にわかりにくいです。上湧~山頂間の登山道の状況は未点検の為不明。

②りんどうの丘バイパス。
倒木多数、数か所崩壊。登山道を熟知してる人でなければ通れないでしょう。よって一般的には通行不可。

③坊主尾根コース
大崩山荘~小積ダキまで倒木処理完了。
小積ダキ~りんどうの丘バイパス分かれ間は半端ない倒木の数です。登山道を熟知している人でも正規の登山道が何処かわからないと思います。よって通行不可。
山頂方面の登山道の状況は未点検の為不明。

(出典:Facebook「祝子川温泉美人の湯 大崩山の麓から」2018年10月11日記事)

 10月11日~13日の3日間にわたり、中原さんをはじめとする地元の方々が登山道の復旧に尽力してくださったことが、前掲Facebookで紹介されている。

 「倒木処理・目印テーピング・道標の立て直し」等に取り組んでいただき、10月中旬には「パノラマコース(わく塚コース+坊主尾根コース)」が完全復旧したとのこと。

 中原さんをはじめ地元の方々のご労苦に対し、心からお礼を申し上げる。深謝。

 

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