第3回『友の死を越えて 青函トンネル・24年の大工事』
◆前回の記事はこちら >「プロジェクトX」あれこれ (1) ~番組誕生のいきさつが知りたい~
目次
ネットで見つけた情報あれこれ
「プロジェクトX」、「今井彰」の二語でGoogle検索してみると、実に多くの情報がヒットする。いくつか目を通した中で、次のような記事に興味をひかれた。
- 「解体新書! 『プロジェクトX』 NHK放送史(動画・記事)」(NHKアーカイブス)
- 「名番組誕生の陰に視聴者の声あり! 『プロジェクトX』はこうして生まれた」 NHK放送史(動画・記事)」(同上)
- 「限りない挑戦と変革に向けて~プロジェクトXの現場から学ぶ~」(プロジェクトX」デスク 村田英治、マッセOSAKA(おおさか市町村職員研修研究センター)
- 「今井彰 NHKの大人気番組”プロジェクトX~挑戦者たち~”を作ったスゴい人!」(日刊スゴい人!)
- 「あの人を訪ねたい 今井彰」(日商 Assist Biz、日本商工会議所)
1は、本家NHKの番組解説だけあり、要点を押さえつつコンパクトにまとめられていてお勧め。
3は、今井氏の部下として制作デスクを務めていた村田英治氏の講演記録(と思われる)。A4版用紙11ページにも及ぶボリュームで、『プロジェクトX』制作現場の様子を生々しく伝えてくれる。
当該PDFファイルに直接リンクを貼っているので、興味がおありの方はぜひ一読されることをお勧めする。
4、5は、今井氏へのインタビューをまとめた記事。いずれも『プロジェクトX』の裏話が本人の口から語られている。
今回は、今井氏(以下、「今井」と言う。)の『ゆれるあなたに贈る言葉』と上記1~5の資料等から、番組立ち上げ時期(2000年1月~7月の頃?)の様子を紹介させていただこう。
番組の立ち上げ、「ダイエットX」と冷やかされたスタッフ
今井彰氏(出典:「あの人を訪ねたい 今井彰」
(日商 Assist Biz、日本商工会議所))
『プロジェクトX』を立ち上げた当初の制作現場は、かなり過酷な状況だったようである。「不眠不休で」、「寝食を忘れて」、「1日も休み無く」という言葉が今井の口から語られている。
当初今井に与えられた部下は僅か6名。NHK9時台のゴールデンタイムのレギュラー番組では、通常20~30人程度のスタッフが投入されるというから驚くしかない。
さらに東京・渋谷にあるNHK放送センタービル内にはスタッフルームがなく、近くの雑居ビルに間借り状態。最初は何もない小さな部屋に電話も引かれておらず、急きょ敷設してもらった回線が2本のみ。当然のように電話の奪い合いとなり、2人が電話をかけている間、残りの4人は待機するか自分の携帯電話を使って自腹で取材するしかなかったという。
それでも仕事の質を落とすことを許さない今井は、全力を尽くすことをチームに求めた。「映像1カット、ナレーション1行に至るまで一切妥協をしない」今井は、「番組の鬼」と呼ばれていた。
240日間、1日も休み無く7人で取材、制作など全ての仕事をこなしました。
(略)
‥‥、スタートは視聴率5%と低迷し、局内での風当たりも強く、始めは2~3ヶ月で打ち切りという噂が流れました。
ゆっくり眠る暇も無くソファで仮眠しながら働き続け、体重は14kg落ち、十二指腸潰瘍になり、歯を食いしばり続けたら、歯列がゆがみましたね。(出典:前掲「今井彰 NHKの大人気番組”プロジェクトX~挑戦者たち~”を作ったスゴい人!」)
他のスタッフも今井と同様で、寝食を忘れて打ち込む制作チームは日々やせ細っていき、他チームは彼らを「ダイエットX」と呼んで冷やかしたという。
新番組に対する周囲の期待度がどの程度のものだったか、よく分かる事例である。『プロジェクトX』は、決して周囲から望まれて誕生した番組ではなかったのだ。
火曜日に飲み屋から男たちが消える‥‥
第1回『巨大台風から日本を守れ 富士山頂・男達は命をかけた』
2000年3月28日の放送開始から数ヶ月後、放送日の火曜日夜にBarから男たちが消えるという都市伝説が噂されるようになった。
徹夜明けのクタクタのシャツでクリーニング屋を訪れる今井に、店員が言った。「プロジェクトXの今井さんですね。クリーニング代は無料で結構です」
焼肉屋の店主から「お代はいいです。どうか良い番組をつくってください」と激励されるようになった。
今井は、疲れ切った心身にエネルギーが注ぎ込まれるような、そんな喜びを感じたという。
気がつけば、番組の視聴率が20%を越えていた。
◆本記事の続きはこちら >プロジェクトXあれこれ(3) 43分の番組に3ヶ月かける贅沢さ
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