このバターナイフ、小生が生まれて初めて作った木工作品である。
板材はブラック・ウォールナット。長方形の板材からおおまかな形を切り出し、ナイフと紙やすりで形を整え、最後にアマニ油を塗り込んだもの。
よく見ると縦に深く切り込んだ傷が残っているが、世界に一つだけの品と思えば、逆に愛着が湧こうというもの。渋い褐色の光沢が何とも言えない(笑)。
実はこのバターナイフ、9日(日)に開催された木工体験教室で作った品の一つ。完成品はこれだけで、残りの菜箸とスプーンは時間不足で未完成。自宅に持ち帰り、少しずつ形を整えているところである。
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家具工房 treehouse
きっかけは、郵便受けに入っていた1枚の案内ハガキだった。主催・会場は、家具工房treehouse と書かれている。ホームページを拝見すると、木工教室のことも詳しく掲載されていた。
「頭でっかちにならず、失敗を重ねながら技術向上することを教室のコンセプトとしています」とある。「初心者の方が殆どです」というフレーズも背中を押してくれたのだろう。
当日手ぶらでお訪ねすると、写真のような工作室に案内された。清潔で作業机も広く、のびのびと木工に取り組めそうな環境である。必要な道具は貸していただけるとのこと。
当日の参加者は4名。若い女性2名、さらに若い(20代?)男性1名と小生である。女性が木工教室に参加されることに、少し驚かされた。
家具工房 treehouse 代表の北野創次郎さんのご指導のもと、カトラリー3品の製作に取り組む。材料はブラック・ウォールナット、ブラック・チェリー、ホワイト・アッシュ(だったと思う)の板材。これを加工して、バターナイフ、スプーン、菜箸を作り上げるとのこと。
簡単な説明とお手本を見せてもらい、さっそく実践である。取り組み始めると、全員無言の作業が続く。広葉樹は硬いので、ナイフで細部を削る時は指を傷つけないよう注意が必要だ。
小生が気に入ったのは、機械を使わずに昔ながらの工具(糸鋸、カンナ、ナイフ、紙やすり等)を使う素朴な製作方法。じっくり木と対話しながら、作業に取り組めそうだ。
2時間の予定時間を30分オーバーして、16時頃に体験教室終了となった。
※ 木工体験教室の本ブログ掲載については、家具工房 treehouse 代表北野さんの承諾を得ています。
ものづくり、「不自由を楽しむ」ぜいたく
木工で何かを作り上げるのは、初めての体験だと思う。ホームセンターで購入した板材を切って棚を作るぐらいのことは経験がある。しかし、それは必要に迫られてやらねばならない「作業」だった。自分がやりたいと思って、何かを作り上げる「木工」ではない。
今回、木に触れ、木を切り、削ることに取り組んで感じたのは、木と会話する楽しさだった。
腰をすえ、木とじっくりコミュニケーションをとりながら、無心に作業を進めていくのは楽しい体験である。効率のよい電動工具を使わず、素朴な道具で木を加工する。硬い広葉樹なので、なかなか思うように成形できない。
参加者は、必要なやりとり以外は終始無言である。忙しく時が流れ去る現代社会で、このような時間が持てるのはぜいたくと言えるのかもしれない。「不自由を楽しむ」という言葉が頭をよぎる。
ものづくりは、手と身体を動かすことで、頭と心を活性化する。
ものづくりは、自分の完成形を求めて、創意工夫する面白さがある。
ものづくりは、成果が具体的に見えるため、達成する喜びがある。
ものづくりは、「不自由を楽しむ」いとなみである。
次の体験教室の作品は、カッティング・ボードだとか。楽しみである。
参考情報
作るのは「スプーンだけ」という木工作家・宮薗なつみさんのインタビュー記事。スプーンの造形が美しい!