有田陶器市が3年ぶりに開催される。カミさんがこのニュースを見逃すはずがない。今回は隣の波佐見町の陶器祭りにも行きたいと言う。波佐見焼に興味のない小生、どうせなら有田町近辺の新緑を味わいたいと考えていた。
交渉の結果、初日は二人で有田陶器市を楽しみ(小生はほぼ荷物持ち)、2日目はカミさんが波佐見陶器市祭り、小生は有田町の黒髪山(くろかみさん・516m)に登ることで合意が成立した。
※ 本稿は2022年5月1日の山行記録を、5月5日にアップしたものです。
目次
コースと活動概要
0742 竜門ダム登山口 ~ 0907 見返り峠 ~ 0916-0926 雌岩 ~ 0947-1041 黒髪山(516m) ~ 白山神社 ~ 1045 西光密寺奥ノ院 ~ 太鼓岩不動尊 ~ 1109 カザハヤ峠 ~ 1133 宮野登山口 ~(車道歩き)~ 1216 乳待坊展望台
※ 参加メンバー:単独(山頂から乳待坊展望台まではKさん、Oさんと同行)
活動時間(含む休憩時間) | 4時間34分 |
活動距離 | 7.8km |
累積標高上り/下り | 741m/624m |
カロリー | 2,334 kcal |
写真中心の山行メモ
今回登る黒髪山は、佐賀県武雄市、伊万里市、有田町にまたがる標高516mの低山。
聞くところによると、低山ながら「見晴らしが最高の岩場あり、気持ちの良い尾根道あり、心休まる深い森あり」と多様な山登りが楽しめる「最強の低山」だそうだ。
5月1日午前7時20分、竜門ダム登山口に到着。
広々とした駐車場(乗用車76台、大型バス2台)、清潔なトイレ、キャンプ場の関連施設等が整備されている。黒髪山が人気の山であることがよく分かる。
波佐見町に向かうカミさんに別れを告げ、7時42分に出発。13時頃に下山口の乳待坊(ちまちぼう)展望台に迎えにきてもらう約束である。
13時まで約5時間、ゆっくりのんびりと黒髪山を楽しむとしよう。新緑がことのほか美しい登山道に足を踏み入れる。
キャンプ場の中を通り抜け、
しばらく進むと、清流の音を楽しみながらの気まま歩きとなる。
小さな滝に心を洗われ、
途中、竜門洞窟をじっくり見学。開口部約30m、奥行き20mの洞窟には多くの石仏が祀られており、霊場のような雰囲気だ。
自然林に覆われた登山道、新緑を楽しみながらゆっくり歩を進める。
木洩れ日が差し込み、木々の萌黄(もえぎ)色が目に鮮やかだ。前日の陶器市で人混みの中を歩き続けただけに、この豊かな森と渓流にはいやされる。
見返峠が近づくにつれ、自然石を敷き詰めたような登山道に変わっていく。
9時7分に見返峠に着。標準タイムの1.5倍のゆっくりペースである。
途中、雌岩分岐から左をとって約100m。天空を突き刺すような二つの奇岩、夫婦岩(雌岩と雄岩)の雌岩に辿り着く。
雌岩に立つと足元はスパッと切れ落ち、正面には圧倒的な存在感の雄岩がそそり立つ。
出典:西日本新聞社
雌岩分岐から山頂までは標高差約150m。傾斜が急になり岩ゴロのような道を登っていく。汗がしたたり始める。
上空からはしゃぎ声がするので見上げると、山頂の天童岩にすっくと立つ女性の姿が‥‥。最近の山ガールは男前の方が多いようだ。
さあ、山頂の岩塊「天童岩」に続く急峻な鎖場だ。
鉄はしごも乗り越え、
最後の鎖場を越えると、
9時47分に山頂着。標準タイム1時間30分のコースを、2時間かけて歩いたことになる。
山頂の岩には、有田焼きの山座同定案内が埋め込まれていた。さすが有田だ。
先ほどの女性がいた岩の上に立つと、360度の大展望が広がっている。眼下には、竜門ダムと有田ダム、南に有田町、東に武雄市の町並みが広がる。
遙か遠くには「唐津湾、有明海、大村湾、天山、多良山系、虚空蔵山等を望める」とガイドブックにあったが、あまりに視界が広すぎてよく分からない。
何も分からなくても、この眺望が絶景だと言うことはよく分かる。
先ほどからずいぶん長い時間、大展望を満喫しているシニア男性(仮にKさんと呼ぶ)に声をかけられた。
しばらく言葉を交わしているうちに、「よかったら、黒髪山を案内しましょうか」との申し出。たっぷり時間が余っている小生、お断りするわけがない。
その場に居合わせたOさん(Kさんの山仲間?)も一緒に案内してもらうことになった。
後で分かったことだが、Kさんの年齢は73歳、年に240回山に登る(!)というスーパーシニアであった。
「では、行きましょうか」と穏やかな口ぶりのKさんの後をついていくが、その足の速さは驚くばかりであった。
ご本人は普段通りのスピードとおっしゃるが、後に続く小生は心臓バクバク、息を切らすほど頑張っても追いつけない。
先を行くKさん、立ち止まって小生を待つことしきりであった。
位置関係がよく分かっていないが、案内してもらった場所を列挙すると‥‥、
洞窟の中に祀られている黒髪神社上宮
黒髪神社のそばに建つ白山神社(分社か?)
西光密寺(息切れがひどく写真なし)、巨大な磨崖仏の太鼓岩不動尊
この後カザハヤ峠を経て、宮野登山口(?)に下山。
「うちのカミさんが待っているのは、乳待坊展望台ですが‥‥」と恐る恐る申し上げると。
「ここから40分ぐらい歩いたら乳待坊展望台に着くから」と事もなげにおっしゃり、舗装道を悠然と歩き始める。
確か乳待坊展望台は標高200m以上の高台に位置したはず。その高さまで舗装道を歩くおつもりのようだ。
ええい、ままよ。ここまで来たらこの歩きを楽しむしかない、と腹を決め、後に続く。
Kさんの言葉どおり、40分弱で乳待坊公園展望台に到着。3人で昼飯を食べていると、カミさん到着。
ランチを終えたお二人、これから見返峠(標高400m)まで登り返し、竜門ダム登山口に下るという。
足取りも軽く歩を進めるKさん(73歳)とOさん(63歳)に頭を下げつつ、「俺も頑張らねば!」と活を入れられた気分であった。
帰路は武雄温泉で汗を流し、北九州へ車を走らせる。
佐賀県・武雄温泉の楼門(出典:武雄市観光協会)
「最強の低山」をスーパーシニアに案内していただき、思い出に残る山行となった。
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おまけ
ついでに陶器市での戦利品(?)をいくつか紹介させていただこう。カミさんは半額以下で購入した商品を「戦利品」と呼ぶようだ。
いつも立ち寄る窯元の四角の皿。別に4枚組で売っているわけではなく、同じ柄を集めていったら、こんなしゃれたセットになった。老夫婦二人の普段使いの皿として重宝しそうだ。
次の3点は、端物(はもの)や半端(はんぱ)モノばかりを売る怪しい露店の品々。店名も明記していない店だが、掘り出し物が多いのでいつも立ち寄っている。
根強いファンが多いようで、わが家も有田到着後に最初に立ち寄る店である。次の3品はいずれも500円(税込)で購入したもの。
カミさんが気に入った四角の鉢。わらびをあしらった素朴な味わいに好感が湧く。
ど派手な黄色の高坏。カミさんは剣山を置き、花器として使いたいようだ。高価なものではないため、思い切りよく買ってあれこれ試せるのが楽しい。
鈍い金色の湯冷まし器。玉露を入れるときに使うのだろうか。ドレッシングや鍋料理のかぼす酢を入れてみようかと思って購入。これも500円。
初めて訪れた店で買ったスープカップ(直径11cm)と受け皿。これくらいの量(200cc程度)のスープを入れるカップが欲しかったのだ。
カップの内側まで手描きで絵付けが施されており、微妙に不揃いなカーブがぬくもりを感じさせてくれる一品。老夫婦で作陶と絵付けを分担されていらっしゃるようであった。