※ 前回の記事はこちら >四国遠征山行レポート(4) 西赤石山、アケボノツツジの「花の滝」を堪能
※ 本稿は2019年5月4日の山行記録を、6月5 日にアップしたものです。
目次
モルゲンロートに染まる瓶ヶ森にうっとり
四国遠征4日目。シラサ峠避難小屋で起床したのが午前5時過ぎ。昨夜遅く小屋にちん入し、ご迷惑をおかけした先客たちへの挨拶をすまし、そそくさと小屋を出る。
小屋の外には自転車が1台、どうやら10連休を利用して自転車旅を楽しんでいるようだ。避難小屋で寒そうにしていたあの若者が持ち主かな?
今日は絶好の晴天になりそうだ。瓶ヶ森(かめがもり)林道に面した駐車場では、一昨年登った瓶ヶ森(1,897m)が朝日に染まっていた。向こうの空き地では、テントで一夜を明かした若者が、出発準備に余念がない。これから、瓶ヶ森、笹ヶ峰をめざすトレッキングを楽しむつもりなのだろう。
手際よくテントを撤収し、颯爽と歩き去っていく若者を見送りながら、「若いっていいなぁ」と心底思った。さぁ、我々シニアも頑張らねば。
コースと活動概要
◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。
7:02 土小屋登山口~ 8:47-9:00 二の鎖下小屋~ 9:18-9:24 弥山~ 9:38-10:00 天狗岳(1,982m)~ 10:24 弥山~ 10:37-10:44 二の鎖下小屋~ 12:10 土小屋登山口
参加メンバー:3名(B氏、N氏、がしん)
活動時間(含む休憩時間) | 5時間12分 |
活動距離 | 9.7km |
高低差 | 502m |
累積標高 上り/下り | 864m/855m |
消費カロリー | 2,988kcal |
土小屋登山口から弥山へ
車で土小屋登山口に移動し、朝食をほうばりながら、石鎚山の岩の頂きを遠望する。「石鎚の岩の頂がスックとそびえ立っていた」(深田久弥、『日本百名山』)という表現がぴったりだ。恐らく、右側の階段状になった部分に鎖が設置されているのだろう。
7時2分に出発、しばらく歩くとさっそくアケボノツツジが出迎えてくれる。雲ひとつ無い青空と大輪のピンクのコントラストが実に美しい。テンションが上がってくるのが分かる。
何てきれいなんだろう。いつまでも眺めていたい。
時折現れるアケボノツツジを楽しみながら、よく整備された登山道をのんびりと歩いていく。危険な箇所もあるが、階段や木道がきちんと設置され、不安に思うような箇所はない。
青空を背景に、石鎚山の大岩峰がだんだん大きくなってくる。
高度を上げるにつれ、小さな雪渓がちらほらと目に入る。
こんな急な木道を登りきると、二の鎖下小屋があった場所に着く。
「二の鎖下」という正式な名称はないが、ちょうど、二の鎖の下で、成就社からの表登山道と、土小屋からの登山道とが合流する場所をさす。以前は「二の鎖小屋」という小さな山小屋があったが、2011年に解体されたときく。
現在はきちんと整備され、一息つくのにもってこいの休憩場所になっている。トイレも設置されている。
B氏は初めての石鎚山とあって、岩場に挑戦する気満々。休憩もそこそこに、還暦とは思えない勢いで岩場を登っていく。アドレナリンが分泌され始めたようである。
これに対し、N氏も小生も3回目の石鎚山とあって、今回は岩場の鎖はパス。迂回路を選択して山頂をめざすお手軽登山となった。
なお、N氏の名誉のため、鎖場で奮闘する姿も紹介させていただくとしよう。
弥山着9時18分、山頂の祠は足場が組まれ、工事中のようだったが、参拝には問題なかった。
弥山から天狗岳へ
弥山からは眼前に屹立する天狗岳(1,982m)を望むことができる。いつ見ても登頂意欲をそそられる雄姿だ。あの岩峰の頂が西日本最高の地。これから先は、スリルに満ちた岩場歩きが待っている。
まずは、こんな怖い岩場を鎖を頼りに降りていく。
岩場下部から振り返った写真。続々と岩場を下ってくる登山者たち。命知らず(?)の強者ぞろいである。
天狗岳を目ざすN氏の足取りが実に軽い。左下は千尋の谷が切れ落ちているのに、天狗の頂をめざしてまっしぐらだ。猿(ましら)のごとき身軽さで山頂へと駆け上がっていく。次の写真は、山頂に到達直前のN氏の遠景。
9時38分、西日本最高地点でほほえむN氏。
天狗岳からの展望の素晴らしさは、表現のしようがない。四方にどこまでも続く山並み、遠くに光る瀬戸内の海。とてもカメラに収めきれるものではない。
「凄いねぇ~」としか言いようがない大絶景であった。深田久弥は石鎚山頂に立った感慨を次のように記している。
天は青く澄み、風もなく、この秋の好日に、ただ一人、四国の最高の地に立っているのだ。四国一円がわが眼中に収まっているような気がした。
(出典:深田久弥、『日本百名山』)
天狗岳の大展望を20分ほど楽しみ、下山にかかる。下りは鎖場を迂回する登山道を粛々と歩くだけ。
緩やかな勾配の登山道を下っていき、
時折姿を見せるアケボノツツジにカメラを向け、
土小屋登山口着が12時10分。実に楽しい山行だった。石鎚山、何度でも訪れたい名峰だと再認識した。
四国最後の夜は、地魚のお造りと愛媛牛のステーキ
下山後、今夜のキャンプ地「石鎚山ハイウェイオアシス「キャンプ場」に向かう途中で立ち寄った、スーパー「マルナカ」。チェーン店らしく、あちこちに店舗があり、ほぼ毎日食材の購入でお世話になった。
今日は遠征最後の夜とあって、「美味いものを喰おう」ということになり、地魚のお造りと愛媛牛をメインに、あれこれ食材を買い込んだ。
石鎚山ハイウェイオアシス「キャンプ場」に15時過ぎ着。ここは西条市が運営しているキャンプ場らしく、格安の値段で利用できた。フリーサイトでテント3張りをゆったり張って、1泊1000円。実にお得で快適なキャンプ場である。
広い芝生の上にゆったりとテントを設営。周囲の大半はファミリーキャンプのテントが立ち並んでおり、違和感がただようのは致し方あるまい。隣では親子がキャッチボールを楽しんでいた。テント設営後は、すぐ近くの椿温泉に入り汗を流す。
温泉からテン場に戻れば、後は至福の時間である。芝生の上に座り込み、ビールで乾杯! 4日間の山歩きの疲れと達成感もあり、冷たいビールが五臓六腑にしみわたる。
瀬戸内の地魚のお造りはあっという間に完食! うっかりして写真を撮るのを忘れてしまった。愛媛牛は、食通のB氏が自ら焼き上げようと用意周到。まず低温の油で1株分のニンニクをじっくり炒めて香りをつけ、その後にステーキを焼き上げていく。味付けは、塩・胡椒のみ。わさびを薬味にして食べると、まことに美味である。
この後は、買ってきた食材を肴に、ワイン・焼酎へと移り、不良じじい達の小宴はいつまでも続く‥‥。
遅くまで焼酎を酌み交わすB氏とN氏。酩酊した小生は、シャッターを押したところまでは覚えているが、後はテントで轟沈であった。
翌5月5日は、九州に帰るだけ。
しまなみ海道で瀬戸内海の絶景を楽しみ、山陽自動車道、中国自動車道を経由して約4時間半で北九州着。心配していた10連休の渋滞に遭遇することはなかった。
こうして、小生らの四国遠征山行は無事に終わったのである。
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