「塩麹(しおこうじ)鶏ハム」は安くて栄養価が高く、何よりうまい! 切るだけで酒のつまみにぴったりとくれば、晩酌が楽しみな小生が手を出さないわけがない。
3回ほど試行錯誤を行いレシピが固まったので、備忘録もかね披露させていただこう。
※ 前回のシニアの家メシ記事はこちら >シニアの家めし(25) キッチンで燻製を作ってみる_2
目次
安くて栄養価が高い鶏むね肉を「美味く」する
「塩麹鶏ハム」とは、鶏むね肉を塩麹に漬け、天日干し後にゆでて(蒸して)作った加工食品のこと。そもそも英語の “ham” とは「豚のもも肉」の意味。「鶏のむね肉」をハムとは呼べないのだが、近頃は豚もも肉以外を用いた加工食品を指すことも多いとか。細かいことにはこだわるまい。
鶏むね肉は「低脂肪・高タンパクで安価」と優等生のような食材だが、いかんせんパサパサしてうま味に欠けるのが難点。この欠点を補うために、塩麹と天日干しによるダブル熟成を促し、柔らかさとうま味増加を図ろうというのが、小生の目標である。
聞くところによると、麹菌はタンパク質を分解して柔らかくし、うま味成分のアミノ酸に変えるとか。また天日干しは、水分を減らすことでアミノ酸を濃縮し、保存性を高める効果があるらしい。
つまり、むね肉の短所を塩麹と天日干しのダブル熟成で克服できないか、という趣旨なのだ。日本伝統の麹菌と太陽の光による味の向上、これぞ「日(ひ)の本(もと)の国」の食の知恵であろう。
準備するもの
●鶏むね肉
今回はコストコの「さくらどり」を使用。2.4kgで1280円(53円/100g)とお得な金額。約600gずつパックされているので、扱いやすい。
●包丁、まな板
臭いや汚れが気になるのなら、使用済み牛乳パック(乾燥させたもの)でも代用可。包丁はしまう前に熱湯をかけ、消毒する。
●干物ネット
釣り道具店のセールで購入。大きさにもよるが1000円~2000円程度で販売されている。出し入れしやすい物が便利。
● 蒸し器と鍋
今回は中華せいろを使用した。写真のような蒸し器(フリーサイズ、1000円以内)でもOK。
● ラップ、キッチンペーパー、ジップロック(スーパーのビニール袋でも可)
作り方は「切って漬け、干して蒸す」だけ。
作業は、「切る→漬ける→干す→蒸す」の4ステップ。調理の大半は、麹菌とお日様にお任せという安易なレシピである。
Step 1 切る
鶏むね肉は厚みが均一ではないので、厚い部分を「観音開き」にすることで厚さを均一にする。「観音開き」は、YouTube で動画を視聴すればよく分かる。
鶏むね肉の観音開き(出典:オレンジページnet)
料理に不慣れな小生がやると、いびつな形になってしまう。
Step 2 :漬ける
肉を熟成させる第一段階。むね肉をジップロック(小生はビニール袋使用)に入れ、むね肉1枚につき大さじ1杯の塩麹を投入。麹菌が全体にゆきわたるようよくもみこむ。
塩麹がない場合は、市販のもので十分。
ビニール袋を冷蔵庫で一晩寝かせ、麹が肉を柔らかく、熟成させてくれるのを待つ。
Step 3:干す
水で塩麹をざっと洗い流し、キッチンペーパーで水気をとる。その後、ひもの干しネットで1~2日乾燥。
ベランダに吊り下げたネット越しに、向こうの団地がよく見える(笑)。
次の画像は、晴天の日に24時間干した鶏肉(夜間は室内干し)。触ると表面のベタベタがとれ、半ば乾いた状態。水分がかなり抜け、重さは半分程度になっている。よく見るとネットの編み目が‥‥(笑)。
Step 4 :蒸す
ラップで巻いて蒸し器で蒸す。巻きながらきっちりと抜気していく。「巻きずしを巻く」イメージだそうだ。
途中で左右のラップを内側に折り込み、1本に巻き込んでいく。
おおかたのレシピでは、この肉巻きを「ゆでる」ようだが、小生はうまさを逃さないために蒸し器で「蒸す」。わが家の場合は中華せいろ(リサイクルショップで入手したもの)を使用。鶏むね肉4枚分がせいろ1段にぴったり収まった。
しっかりと湯気が立った状態でせいろを載せ、15分間加熱してみた。蒸す時間は食材の厚さと重さで適当に。10~15分くらいか?
蒸した後十分に冷ませば、ラップが鶏肉にぴっちりと張り付き、密閉に近い状態が維持され、さらに保存性が高まる。
冷蔵庫で一晩寝かせたら食べ頃となる。完成品はそのままでも十分うまいが、ポン酢に薬味(柚こしょう等)を入れたり、好みのたれを掛けてもなかなかいける。
天日干しをしたものとしないもの、「ゆでた」ハムと「蒸した」もの、それぞれ作って食べ比べてみた。やはり「塩麹+天日干し+蒸す」工程を経たものが段違いにうまい!
麹菌とお日様にお任せとは言え、それなりの手間と時間は必要となる。楽しみながら熟成を待つ塩麹鶏ハムは、時間のゆとりがあるシニア男性にもってこいのつまみなのかもしれない。
※ 参考記事
『塩と冷蔵庫でできちゃう“熟成”。「チキン棒」を作ってみた! [今日からできる台所術-3]』(KOKOCARA)
◆本シリーズの次の記事はこちら >シニアの家めし(27) 一斗缶で燻製器を自作する_1
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