※ 本稿は2018年10月12日の山行記録を、10月17日にアップしたものです。
本日(10月12日)は、トレーニングがてら福智山(ふくちさん・901m)を一人歩きすることにした。明後日に英彦山を歩く予定なので、足慣らしも兼ねてのぶらぶら歩きである。
福智山頂直下の「福智平」で、山歩きを始めたばかりの50歳の時(15年前)の記憶がよみがえってきた。
目次
本日のお題とコース
本日のお題は
- ウェイト4kgを積み増してのトレーニング山行。
- 自称「カボスにゅうめん」を試食してみる。
- 福智山の秋と花を味わいながら、ぶらぶら一人歩きを楽しむ。
◆コース
九州自然歩道登山口~ホッテ谷分れ~福智平~鈴ヶ岩屋~福智山~荒宿荘~烏落~(ホッテ谷新道)~ホッテ谷分れ~九州自然歩道登山口
目を楽しませてくれる秋の花々
いつも通り鱒淵ダム堰堤近くに車を止め、身支度を調える。水を入れたペットボトル(2リットル)2本をザックに積み増し、ゆっくり歩き始める。平日とあって駐車している車も3台。静かな山歩きが楽しめそうだ。
鱒淵ダムから登山口まで約25分、ゆっくり登山道を登っていくと、まもなく汗がしたたり始める。たった4kgの負荷だが、高齢者には充分な重さである。ザックの重さは10kg超というところか。
汗が帽子のつばをつたって、地面にボタボタと落ちていく。帽子を脱ぎタオルで何度も汗をぬぐうが、きりがない。気晴らしに登山道の左右に咲く花々を見つけては、休みがてらカメラを向ける。
このほかにも様々な秋の花がそこここで目を楽しませてくれる。約1時間で「1.8のコル」に乗り、ここから福智平まで尾根伝いに自然林の登山道が続く。小生にとっては、思いにふける「哲学の道」でもある。
福智平で初登山の記憶がよみがえる
「そうか、もう15年になるのか‥‥。」
気持ちのいい自然林の中、ゆっくり足を進めるうちに、山歩きを始めて15年たっているのに気づいた。あれは2003年10月4日、小生50歳の年で季節はちょうど今頃だった。初めて自発的に登った山がこの福智山。それまで山歩きなどほとんどやった経験はない。
当時の小生は、心身ともに疲れ果てていた。日々の雑事に追われ、仕事の目標を見失い、積極的に人生に挑戦する気概を失っていたようだ。煙草は一日に2箱(40本)、酒で仕事のストレスを紛らわせるような日々が続いていた。運動もまったくしないので、体力も続かないし気力も湧くはずがない。
ストレス解消にウォーキングを始めてはみたが、アスファルトの上を騒音と排気ガスにまみれて歩くのは気分のよいものではない。秋晴れのある日、「同じ歩くのなら、自然がいっぱいの山にでも登ってみるか」と思い立ち、福智山頂をめざしたと思う。
日頃の不摂生がたたり、あえぐ呼吸と疲れのため何度も休憩をとり、疲労困憊でたどり着いたのが「福智平(ふくちだいら)」。福智山頂直下の平らに開けた場所である。すぐ目の前に福智山頂を眺めながら、もうこれが限界と写真のベンチに座り込んだ次第。
あと15分ほど頑張りさえすれば山頂に着けたのだが、一歩も登りたくはなかった。あえなく断念して撤退、という不名誉な記憶である。
当日の山行メモには、「疲労のため福智山頂まで登れず」とだけ記されている。どうにも悔しくてにわかトレーニングを始め、10月13日に何とか初登頂を果たす。それから、小生の週末山行が始まったのだ。
年50回の山行を目標に週末山行を重ねると、次第に体力がついてくるのが分かる。自然の中を歩き、うまい空気を吸い、小鳥の鳴き声や花を愛で、山頂に到達するとそれなりの達成感を味わえる。生きている実感が蘇る、まさに心身のリフレッシュである。
仕事の面でも、課題に挑戦する意欲が湧いてくる。アイディアが閃き、創意工夫を凝らせばそれなりの結果がついてくるようになった。
毎週水曜日になると、週末の天気予報が気になり始める。晴天の予報が確認できれば、どの山のどのコースを登ろうかと、期待が広がり胸がワクワクしてくる‥‥。
こんな調子で15年間を過ごしてきた(帰宅後にPCデータを確認すると山行回数は624回になっていた)。よくここまで続いたものだと感慨にひたりながら、山頂への最後の登りにとりかかる。
山頂でしばらく360度の展望を楽しみ、二つの祠にお参りをする。
カボスにゅうめん、疲れた体に酸味が染みわたる
登頂を終え、荒宿荘(避難小屋)横のベンチで、自称「カボスにゅうめん」を作ることにする。このメニュー、『萩原編集長の山塾 秒速!山ごはん』(萩原浩司・げんさん、山と渓谷社)で紹介されていた「さっぱり味の”酢ライズ”にゅうめん」をアレンジしたもの。「すだち」がなかったので、冷蔵庫にあった「カボス」で代用である。
作り方は、実に簡単である。
食材 | そうめん(1束)、梅茶漬けの素(1袋)、スダチorかぼす(2分の1個)、梅干し(1個)、お湯400ml |
調理用具 | フライパン、ガス・バーナー |
調理時間 | 1分30秒 |
- フライパンでそうめんを1分ほど茹でる。
- 梅茶漬けの素を入れて、軽く混ぜる。
- 梅干しを入れ、輪切りにしたカボスを散らす。
かぼすと梅の酸味が疲れた身体に染み渡る。汗冷えが始まった体に、湯気を立てた温かいにゅうめんが実に美味い! あっという間に完食である。もう一束そうめんを持参してもよかったなぁ。
にゅうめんのお供は、玄米小豆おにぎり。最近自分で炊きはじめた玄米ご飯。小豆をまぜて炊いているので、一見赤飯風である。30回以上噛むとじんわり甘みが感じられるようになる。
カボスにゅうめんで温まりザックを背負い直し、下山にかかる。帰りは、烏落~ホッテ谷新道を経由する周回ルート。のんびり歩きを楽しみながら、下山する。
下山中にふと口をついて出た鼻唄は、なぜか岡晴夫の「憧れのハワイ航路」。山に来ているのにハワイ航路とは解せないのだが、「晴~れた空、そ~よぐ風‥‥」という冒頭の歌詞とリズムが足取りと気分にマッチしたのだろう。
これを5回ぐらい歌うとさすがに飽きてくるので、歩くテンポにあった曲を記憶の底から探しだし、歌い続ける。不思議なことに口をついて出てくるのは、幼少期にどこかで聞いた曲ばかり。
最後は舟木一夫の「高校三年生」を前奏入りで歌い始める始末。「静かな山歩き」が聞いてあきれる。じじいの一人ライブである。
「憧れのハワイ航路」(1948年)、快調なテンポに足が進む。
登山開始から約5時間余りで、九州自然歩道登山口に無事「とぉ~ちゃこ!」。これで通算625回目の山行が終了。五体満足に生み育ててくれた両親と、15年間山に行かせてくれたカミさんに感謝せねばなるまい。
山行20年目の70歳まで、山を続けていられるだろうか? 古希を過ぎても悠々と北アルプスを歩いていたご老人、願わくばあんなシニアになりたいものだ。
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