※ 本稿は2018年7月14日の山行記録を、7月30日にアップしたものです。
目次
今回のお題
7月の3連休は、かねてよりくじゅう山行と決めていた。雨天ならば晴れ間を狙って日帰り山行、梅雨明けなら坊がつるでのテント泊。どちらでも対応可能なように相談していたのである。幸い(?)晴天に恵まれ、不良オヤジ3人の珍道中となった次第。
小生の今回のお題は次の2つである。
1 3日連続で山歩きができるか、体力テストを兼ねる
2 坊がつるで、ゆったりと解放された時間を楽しむ。
うだるような暑さと重荷にあえぐ‥‥
冒頭の写真、同行したN氏(左)とB氏(右)の勇姿である。2泊3日のテント泊とあって、食料、酒、着替え等を満載したザックは、はち切れんばかり。B氏のザック(75リットル)は25kgの重さと言うから驚くしかない。左のN氏のザックは小さく見えるが、これは180cmの身長のためで、やはり容量は75リットル以上。
次の写真は小生である。三俣山を仰ぎ闘志に燃える(?)山男と言いたいのだが、駐車場でザック(20kg弱)を背負った時点で、「もっとトレーニングしておくべきだった」と後悔の念がかすかに漂う。ここから坊がつるまでの道は長い。
今から思い返せば、この日を境に梅雨が明けたようで、高気圧にすっぽり覆われた日本列島各地で、連日40度近い猛暑が2週間近く続いたのである。「命の危険があるような暑さ」と気象庁の予報官に言わしめ、熱中症死亡者が1週間で65人(7月24日消防庁発表)という「災害のような暑さ」が始まったのがこの3連休だった。
長者原(標高1055m)からスガモリ越(標高1540m)までの登路については、ほとんど記すことはない。写真も2~3枚撮影しただけ。暑さとザックの重さに耐えながら、歩を進めるしかなかったからだ。
さえぎるものが皆無の登山道を、うだるような暑さと皮膚に痛みを感じるほどの日差しの中、汗まみれになって歩みを進めていく‥‥。風が吹いてくれれば、少しは涼もとれるのだが、それも期待できない。
スガモリ越に着いたのが、出発から約2時間後。当初はここにザックをデポして三俣山のお鉢巡りをする予定だったが、疲労困憊(ひろうこんぱい)の我々にそんな気力が湧くはずはなく、三俣山山行は中止。そのまま坊がつるをめざすことで、衆議一致。
スガモリ越でゆっくり昼食をとり、北千里浜へ下る。熱風のような暑さと肩に食い込む重荷は変わらず。「温泉、ビール。温泉、ビール‥‥」この二語を頭の中で繰り返すのみである。暑さのためか、北千里浜には登山者の姿は全く見られなかった。
まもなく法華院温泉山荘に到着しようかという頃に、アサギマダラの群れに遭遇する。これほどの数のアサギマダラの群れを見たのは初めてである。N氏によれば、台湾辺りから海を越えて渡ってきたとか。こんな小さな蝶が海を渡ってくじゅうにいるとは、驚きである。しばらく撮影タイムとし、蝶とたわむれながら疲れをいやすことにした。
休み休みしながら、坊がつるキャンプ場に到着したのが、14時頃。湿原では、ノハナショウブが我々を出迎えてくれていた。
坊がつるは「贅沢な」キャンプ場だと、再認識する
3連休とあって、坊がつる(標高1230m~1270m)にはすでに50張り近いテントが張られ、さらに次々と新しいテントが設営されていく。19時頃にざっくり数えてみると、約80張のテントが所狭しと張られていた。
小生らも、定位置にテントを設営後、歩いて10分の法華院温泉山荘で入浴。冷えたビールを買い込み、坊がつるでの酒宴としゃれ込む。
まずはウィンナーソーセージをつまみに、冷えたビールと白ワインで乾杯。この後、各人持参のアルコールと酒の友が次から次へと登場。赤ワインに芋焼酎、フランスパンにクリームチーズをのせたカナッペ、野菜炒めに竹輪、するめ、ナッツ、乾き物あれこれ‥‥。重いザックに耐えた労苦が、ここでやっと報われるのである。
すぐ隣では、先ほど知り合ったYさんのテントにあちこちから山仲間が参集され、ここでも和やかな酒宴が始まっている。お話をうかがうと、皆さん九州全域から坊がつるにおいでのようで、どなたも山の大ベテランばかり。恐れ多くて、そばにも寄れないような方々のそろい踏みである。
たとえばYさん、67歳で自称「山屋(やまや)」。アルプス遠征等に備え、毎月1回三郡縦走(日帰りで往復!)に取り組んでいるとか。小生なんぞ、年1回三郡縦走の片道だけで音(ね)を上げそうになると言うのに‥‥。
このメンバーのある方が「今まで西日本から日本アルプスまでたいていの所は行ったけど、坊がつるほど恵まれたキャンプ場はめったにないですよ」とおっしゃる。周りの方々からも同意の声があがる。「たいていの所は行った」ことのない小生も、全く同感である。
焼酎のお湯割りを飲みながら、坊がつるの良さを考えてみた‥‥
- 立地条件のよさ。
広々とした草原、ふかふかの草の上に張るテント。周囲全てがくじゅうの山並み、夜は満天の星。水も豊富で、使用料無料。
- 源泉掛け流しの温泉が近くにある
歩いて10分の法華院温泉山荘で入湯料500円(モンベルの会員カードを提示すると半額)。登山の汗を源泉掛け流しの湯で流せる幸せ、これは何にも代えがたい。 - 冷えたビールがリーズナブルな価格で飲める
法華院温泉山荘の自動販売機でビール、冷酒、ハイボール、チューハイ等が購入可。しかも、値段もそれほど高くはない。売店では焼酎、日本酒、ワインまでも販売している。今回のヒットは白ワイン(1本1,000円)で、鳴子川で冷やして飲むと実にうまかった。 - 山を愛する人たちが集う場所
坊がつるは、自分の足でしかたどり着けない場所。最低2時間はかけて、重荷を背負い汗をかいた者だけが利用できるキャンプ場。ここでは、夜遅くまで騒ぐ不謹慎な輩(やから)にはまだ会ったことがない。
山よし、場所よし、人もよし。坊がつるは、本当に「贅沢な」キャンプ場である。
ふと気づくと、ろれつの回らなくなったB氏の話し声が聞こえる、N氏は草を背にして爆睡中である。どれ、小生もそろそろ寝るとするか。
◆ 本記事の続きはこちら >坊がつるでテント泊‥‥酷暑の中、三俣山南峰直登ルートに挑む (2)
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