明日は天気が崩れるとの予報である。何とか晴れ間が残る今日中にどこかに登っておきたい。が、訪問せねばならない場所があり、夕方には所用も控えている。近くで15時までに下山でき、楽しく歩ける場所はないかと考え、平尾台をぶらつくことにした。
※ 本稿は2019年12月21の山行記録を、12月24日にアップしたものです。
目次
コースと活動概要
◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。
09:54 吹上峠 ~ 10:32-10:38 大平山(587m) ~ 11:12-11:16 四方台 ~ 11:35-12:34 貫山(711.6m) ~ 12:46-12:50 四方台 ~ 13:18-13:22 大平山 ~ 13:54 吹上峠
参加メンバー:単独行
活動時間 | 4時間(行動時間2時間38分、休憩時間1時間22分) |
活動距離 | 7.4km |
累積標高 上り/下り | 569m/567m |
消費カロリー | 1,889kcal |
吹上峠から大平山(おおへらやま)まで
吹上峠駐車場着が9時30分。今朝はうっかり寝過ごしてしまい、出発が遅れてしまった。急いで身支度を調え、まだススキが残る登山道をゆっくり歩き始める。
10分ほど登り、体が温まり始めた頃に後ろを振り返ると一人の男子高校生が駆け上がってくる。丸刈りで均整のとれたたくましい体つき、ぴたっと前方に視線を定め、心地よいリズムで足を進めている。
そういえば吹上峠に向かう登りの道路で、ランニング中の高校生の集団を追い越したことを思い出した。
高校生は小生に元気な挨拶をして、あっという間に走り過ぎていく。ゴールはまだ先の地点らしく、ペースを落とさない。若いなぁ! うらやましいほどの馬力だ。
すると、上から5、6人の高校生が駆け下りてくる。多分ゴールに到達し、下山してくるのだろう。同じ学校の運動部の仲間のようだ。
それにしても、運動シューズでこの坂を駆け下りるとは‥‥。改めて若さが備えるエネルギーと柔軟性に驚かされる。
大平山の中腹辺りで、生徒に声をかけている30代後半と覚しき男性が目に入ってきた。トレーニングウェアに身を包み、登ってくる生徒をじっと待っている。
通りすがりに声をかけてみた。
「どちらの高校ですか?」
「K高校(小倉北区の高校)です。」
「ひょっとして、学校からここまで走って来てるんですか?」
「ええ。うちの学校からここまでちょうど20kmあるんです。達成感があっていいですね。それに、ここは本当に気持ちがいい。」
「陸上部の生徒さん?」
「いえ、野球部なんです。今年の冬はいろんなことを試してみようと思っています。」
そう言って白い歯で笑ったナイスガイ。この冬に生徒を鍛えて、来たるべき年に大きく飛躍しようとワクワクしている笑顔だ。
「この先生、子どもを育てるのが楽しくてたまらないんだ」と、こちらまで嬉しくなってくる。
「いい結果が出るといいですね。」と付け加え、歩を進める。
暖まった体と心のせいか、足が軽くなる。石灰岩の間を伸びるゆるやかな登山道を、鼻唄まじりで進んでいく。
振り返ると、背後には三菱マテリアル社の石灰岩採石場。
大平山のなだらかな山頂が近づくと、冬枯れの草原台地に点在する石灰岩が増えてきた。 山頂で暖かい飲み物を口にしようとザックを降ろすと、下から「オ~イ!」という声が聞こえる。
背後を振り返ると、下で高校生が仲間に向かって両手を振っている。
標高500mを越える山のゴールを目指し、20km走った後で仲間に手を振れる若さ!
不意に高村光太郎の「若い人へ」という詩を思い出した。
「若い人へ」 高村光太郎
若いのはいい、若いのはいい。
何かが知りたくて、知りたくて、
又遊びたくて、遊びたくて、
疲れるといふ事が疲労でなくて
休息であるほど、若いのはいい。若さのよいのは、
若さを持つ時ばかりでなく、
若さを偲ぶ時でさヘよいのである。若さを自知せぬ若い人よ、
君達の体力の続く限り、
精神力の続く限り、
自分の内からの疚(いや)しくない
欲望の声に忠実であるがいい。(後略)
‥‥山頂の岩に腰を下ろし、平尾台の開放的で広々とした展望を味わう。しばし時を忘れてしまうような、静かで穏やかな眺めである。
大平山から貫山まで
大平山からしばらくは、大小の石灰岩を縫うようにして登山道が伸びている。前方に貫山へと至るなだらかな稜線が見えてくる。
誰もいない静かな羊群台地を一人で好きなように散策。世俗の雑事を忘れ、歩くことそのものを楽しむ。
やがて四方台に至る急坂が近づいてくる。標高差90mの手強い登りだ。
同伴者もいないので、自分のリズムでのんびりゆっくり歩を刻んでいく。坂の中腹辺りでツアーの団体さんと離合。皆さん、急な下りに苦労されているようだ。
左前方の窪みは大ドリーネ、稜線の先は大平山である。
坂の上を見上げると、遠く離れた場所に人影が。四方台までまだまだ登らねばなるまい。
貫山から南へ伸びる緩やかな尾根の途中に四方台がある。ここで水を一口含み、貫山をめざす。ここから山頂までは、標高差120mほどのゆるやかな登りだ。
防火帯もかねた登山道は、すでに下ってくる人たちが‥‥。みなさんお元気そうなシニアばかり。さきほどの高校生とは違ったパワーがあふれている。
貫山頂着が11時35分。山頂標識の近くで3人の女性グループが昼食中、他には数名の登山者が思い思いに弁当を広げている。
今日はガソリンストーブのテストも兼ねての山行である。ガスストーブは気温が下がると火力が落ちるため、冬は寒さに強いガソリンストーブを使うこともある。
ポンピングをし着火すると、ボッという音と共に炎が立ち上がり、やがてゴーという轟音(?)が聞こえてくる。4,000kcal/hという強力な火力で、短時間でお湯が沸くのがありがたい。
眼下に広がる周防灘と北九州空港を眺めながら、熱々の味噌ラーメンと自分で握ったおにぎりをほうばる。居心地の良さもあり、食後のコーヒーも含め1時間も山頂に居座ってしまった。時計を見ると12時30分、そろそろ下山せねばなるまい。
復路は、来た道をもどるだけである。元気をいただいた山と若者たちに感謝!
※ 過去の平尾台の山行記録はこちら >平尾台、外来種駆除ボランティアに取り組む
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