山行記録

石松野草園、山野草を愛する人の「秘密の花園」

投稿日:2023年10月28日 更新日:

石松野草園

石松茂夫さん(2023年10月22日撮影。本ブログ掲載の許可は得ています)

 猟師岳を下山した我々は、九重森林公園スキー場から車で10分弱の石松野草園に移動した。

 ここは知る人ぞ知る「秘密の花園」。「自然観察に重点をおいた登山」を目標とするアタック山の会メンバーに、ぜひ紹介したいと考えたからだ。

※ 本記事は、山行レポ「猟師岳、阿蘇・くじゅうの大展望を味わう高原ハイク」の続きです。

目次

石松野草園とは?

 

石松野草園ウグイスが鳴く森で野草園の手入れをする石松茂夫さん
(出典:西日本新聞 2019年6月6日)

 ところで、小生が石松野草園のことを知ったのは今年の夏。時々拝見するブログ「信ちゃんの美夜古だより」で「石松野草園に寄ってきました」という記事を見かけたのがきっかけ。

 登山と花散策の大ベテランである信ちゃんご夫妻。お二人が下山後にわざわざ立ち寄るからには、花の名所に違いあるまい。そう見当をつけ、ネットで情報を集め始めた。

 新聞記事やネットから収集した情報から、以下のようなことが分かってきた。

  • 石松野草園は、猟師山の麓、標高870メートルの山奥にしつらえた手づくりの個人野草園。広さは約1.8ヘクタール、約450種の山野草が植えられている。
  • 1人で丹精するのは、元森林管理署職員の石松茂夫さん(75)。20代の頃から苗を園芸店から買い、株分けして増やしてきたのだとか。
  • 本野草園は、石松さんが40年以上コツコツと手塩にかけてきた個人の野草園である。熊本地震後の黒川のにぎわい復活を願い、公開に踏み切ったという。
  • 個人野草園なので、営業公開はしていない。石松さんの了解を得て、入園、見学させていただくことになる。

 

40年以上手塩にかけた野草園の見事さ

 今回の月例山行の下見をかね、10月12日に初めて野草園を訪問させていただいた。場所だけでも確認しておこうと、グーグルマップのナビを頼りに狭い山道を恐る恐る進むが、それらしき案内も看板も全くない。

 目的地着を告げるアナウンスで車を停め、周囲を見回すが普通の民家が1軒あるだけ。次の写真は、野草園前の舗装道を南側から眺めたもの。看板もそれらしい案内も皆無。まさに「秘密の花園」だ。

石松野草園

野草園入口前の道路。看板も案内も皆無である。

 たまたま居合わせたご親戚の方(と思う)が連絡してくださり、園のあるじ、石松茂夫さんにお会いすることができた。北九州から尋ねてきたことを告げると、快く園内を案内してくださった。

 歩きながら看板を出さない理由を尋ねると、「『看板を出してほしい。出せばいいのに。』とよく言われるが、出すつもりはないんです。本当に訪れたい人は、自分で何とか調べて来るだろうから」とおっしゃる。

 どうやら山野草を本当に愛でる人だけに訪れてほしい、という思いのようだ。興味本位の観光客が押しかけて、静かで穏やかな環境が乱されることを懸念されているのだろう。

石松野草園

これが野草園の入口

 野草園はまことに見事なものだった。長年かけて杉林を切り拓き、大好きな山野草を一つ一つ植え、育ててきた「時の重さ」がじんわり伝わってくる、そんな空間が広がっている。

 「せっかく来ていただいたのに、今は一番花が少ない時期で残念です。5月20日過ぎが一番花が多くてきれいですよ」とおっしゃる。花々が一面に咲き誇る来春にぜひ再訪問したいと強く思った。

 

野草園の秋の花々

 一番花が少ない時期とおっしゃるが、小生が下見に訪れた頃はまだ秋の花々が目を楽しませてくれていた。以下の画像は、その時に撮影したもの。

石松野草園

サラシナショウマ

石松野草園

桔梗(キキョウ)

石松野草園

石松野草園

トリカブト

石松野草園

山路の杜鵑(ヤマジノホトトギス)

石松野草園

何の花?

石松野草園

大文字草(ダイモンジソウ)

大文字草(ダイモンジソウ) 石松野草園

大文字草(ダイモンジソウ)

石松野草園

ジンジソウ

 山野草だけでなく、苔のエリアも美しい。

石松野草園

 「10日後に山の会のメンバーと見学させてほしい」とお願いすると、笑顔で快諾いただき、この日の訪問となった次第。

 石松さんは自ら案内・説明をし、メンバーの質問にていねいに答えてくださる。そんな石松さんの言動に触れ、「本当の豊かさとは五体と頭を動かし、本能が楽しいと感じるものに没頭できることなんだなぁ」と改めて感じ入った次第。

 40年以上もの間、「ときをため、時を味方につけ」て自分だけの楽園を作り上げた石松さん。75歳とは思えぬ元気な立ち姿で手を振り、見送ってくださる。

 この野草園が、自然と山野草を愛する人に開かれた「秘密の花園」であり続けてほしいと思った。

 

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