「スモークチーズをつまみにビールを飲みたい」と以前から思っていた。しかし市販品はなかなかのお値段で、そうそう気軽に味わえるものではない。
「熱燻(ねつくん)法)」という燻製法なら家庭で簡単に作れる、との記事が目に止まった。熱燻法とは、 80℃から140℃の高温で短時間(10~60分程度)燻煙をかける方法で、初心者でも簡単にできるそうだ。
目次
「難しそー」で、手間がかかるんだろう?
以前からくん製作りには興味があったが、敷居が高くなかなか実行に移すまでは至らなかった。
その理由は、
- 手元に燻製器がない。買えば高いし、置き場に困る。
- 食材の下準備(乾燥、ソミュール液漬け、塩抜き、再乾燥等で1週間以上)に手間暇がかかる。
- マンション暮らしのため、くん製をつくる場所がない。くん煙の臭いにも配慮が必要。
食生活研究家の魚柄仁之助(うおつか・じんのすけ)氏の『うおつか流台所リストラ術~ひとり ひとつき 9000円~』には、「チップさえあれば何でも手軽に」燻製ができると熱燻法が紹介されていた。
魚柄氏の提唱する燻製づくりの特徴は
- 燻製器は、どこの台所にもある鍋や中華鍋、ステンレスのザル(蒸し器でも可)で代用する。
- 下準備なしで、即燻製器にかけられそうな食材(チーズ、ソーセージ、干物、ベーコン等)から始めてみる。
- 熱燻であれば台所で短時間で作ることが可能。換気扇を回せば、臭いもほとんど気にならない。
というもの。これなら不器用な小生でも、何とかなりそうだ。
氏の著書と次のWebサイトやYouTube の動画を参考に、初めての燻製づくりに挑戦してみた。
※魚柄仁之助の生活防衛レシピ 〜第二十四回 蒸し器で簡単!スモークチキン~
必要な道具や食材を準備する
これは、コールマン社のコンパクトスモーカー(直径23.5×高さ20.5cm)。食材を乗せる網が2段になっており、サイズの割にはたくさんスモークできそうだ。この程度の燻製器でも送料込みで6,000円はする。
年金生活者で、終活に備えぼちぼちと断捨離を実行中のシニア生活ゆえ、できるだけ余計なものは買いたくない。
よく見ると、熱燻製器の構造はシンプルだ。要は、チップをいぶす鍋と蓋、食材を乗せる網があればよい。
実家の台所から何の変哲もない鍋と浅型のザル(いずれもステンレス製)、ザルが使えない時のために万能蒸し器を探し出してきた。
チップ(燻煙剤)はDIYの店舗や100円ショップでも販売していると聞くが、たまたまいつも立ち寄るJAの店で「天然やまざくらのチップ」なるものを発見。たっぷりチップが詰まって650円だった。
◆この他に必要なものは次のとおり。3.以降はなくても良いが、あれば重宝する物
- アルミホイル
チップの燃焼皿の代用。スモーカーの汚れ防止のためにも使用。 - 燻製する食材
最初は乾燥、塩漬けが不用の加工食品がよい。チーズ、ベーコン、ソーセージ、竹輪、ナッツ等 - ざらめ
艶や色つけ効果と、ほんのりした甘い香りが漂う(らしい)。 - カセットコンロとガスボンベ
台所のガスコンロに「空炊き防止機能」があって、消火される場合に使用。
結局、購入したのはチップと食材のみ。後は実家の台所に眠っていた物で代用可能だった。
燻製づくりの実際、簡単で美味
焦げてもいい(空炊き可能な)鍋にアルミ箔を敷き、大さじ1杯程度のスモークチップをばらまく。今回、ザラメは見当たらなかったので入れていない。
鍋にザルをセットし、スモークする食材(まずは、ベーコンとソーセージ)を並べる。
ガスコンロの強火にかけ、煙が出始めたら蓋をする。強火で2分、その後弱火にして5分いぶす。ガラス製の蓋だと、中の様子がよく分かるのだろう‥‥。
ほぼ密閉に近いため、煙はあまり出てこない。臭いもかすかにする程度。
弱火5分の加熱が終わったら、火を消し15分以上ガス台の上で放置する(蓋は空けない!)。鍋の中の空気は100℃以上の高温のため、火を止めてからも加熱が続き、食材の中心にまで熱が通るそうだ。小生は鍋が自然に冷えるまで、約1時間放置した。
鍋が冷えた頃に蓋を開けると、茶褐色にいぶされたベーコンとウインナーの出来上がり! う~ん、なかなかの出来映え。
他の食材もスモークしてみた。まず、煮卵とチーズ。チーズは熱で溶けるため、キッチンペーパーを敷いている。
その後、鶏もも肉も小さく切ってスモークし、初めての燻製づくりは終了だ。
底に残ったチップの炭は完全消火し、アルミ箔ごとゴミ箱に直行。
蓋には燻煙と油分がべったり付くので、これもアルミ箔ごとポイ。
出来上がった燻製は、種類ごとに一口だけ味見し、後は冷蔵庫で一晩寝かせておく。寝かせると味が数段アップするのだとか。
翌日の晩酌の折に食卓に並んだ自作燻製。カミさんと冷えたビールで乾杯し、試食。
手前味噌で恐縮だが、味は絶品である。特にチーズとチキンは極上の味になる。4個100円前後のベビーチーズが、絶品のスモークチーズに変身だ。
これほど手軽に燻製がつくれるとは思ってもみなかっただけに、驚きは大きい。これは間違いなくはまりそうな予感がする。
◆本シリーズの次の記事はこちら >シニアの家めし(25) キッチンで燻製を作ってみる_2
◆本シリーズの他の記事はこちら >シリーズ「シニアの家めし」関連記事へのリンク