福岡県八女市と大分県日田市の県境に位置する釈迦岳(1231m)。隣の御前岳(1209m)とセットで「釈迦・御前」と呼ばれ、福岡県1位と2位の高さを誇っている。
福岡県民としていつかはピークを踏みたいと思ってきたが、小生の住む北九州からは何しろ遠い。
登山口まで3時間以上かかるくらいなら「くじゅう」連山に出かけた方が楽しめる、とこれまでずっと敬遠してきた。
緊急事態宣言下で他県への往来自粛を要請されていることもあり、県内未踏峰を歩く良い機会と思い立ち、出かけることにした。
※ 本稿は2021年9月19日の山行記録を、9月23日にアップしたものです。
目次
コースと活動概要
◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。
08:14 御前岳登山口 ~ 09:05 林道出合 ~ 10:04-10:21 御前岳~ 11:24-11:39 釈迦岳 ~ 分岐 ~ 11:43-12:38 展望所(普賢岳)~ 分岐 ~ 13:04-13:16 矢部越登山口 ~ 八ツ滝 ~ 13:44 林道出合 ~ 14:25 御前岳登山口
※ 参加メンバー:4名(S氏、B氏、N氏、がしん)
活動時間(含む休憩時間) | 6時間11分 |
活動距離 | 8.2km |
累積標高上り/下り | 1,013m/1,012m |
カロリー | 3,201kcal |
写真中心の山行メモ
B氏の車で北九州を出発したのが午前4時15分。緊急事態宣言下で高速道路の休日30%割引きが適用されないため、てくてく普通道を走っていく。途中「全面通行止め」の標識で2度も迂回を強いられ、杣(そま)の里渓流公園上部にある登山口にたどり着いたのが7時15分過ぎ。
遅れて到着したS氏、N氏と落ち合い、登山口をスタートしたのが8時14分である。
しばらくは渓谷沿いの登山道を詰めていく。
右に左に何度か渡渉を繰り返し、標高をかせいでいく。沢が終わると杉林に入り、しばらくすると林道に出合う。
この林道を左に100m弱進むと、第二登山口が見えてくる。ここから先は、標高差300m以上の急登が続く本格的な尾根上り。
地形図を見ると等高線が詰まっているのがよく分かる。
引きこもり老人(?)に近い小生は、ここで最後尾につき、元気旺盛なS氏に先導してもらうことにした。コロナ禍の前までは富士山駆け上がり競争に毎年参加していたというS氏。
みるみるうちに姿が見えなくなる。その後にぴったりと付いていくのはB氏。こちらも長年100kmウォークの上位入賞を飾っている猛者である。
少し遅れて登っていくN氏はまだ50代。最近は奥様と二人で山歩きを楽しみ、つい最近は西日本最高峰の石鎚山に出かけてきたばかり。
一人取り残された小生は、「マイペース、マイペース」と唱えながら、一歩々々急登を上り、ロープや鎖場をゆっくり確実に越えていく。
荒い息づかいで肩を上下させ、御前岳山頂にようやくたどり着いたのが約1時間後。御前岳山頂はあいにくガスに覆われ、展望は皆無に近い。
先行した3人は小生を待つことに疲れ、談笑にも飽きた模様。何はともあれ休憩をとらせていただこう。
御前岳山頂から釈迦岳への縦走路は、両脇にブナやミズナラなどの原生林が広がる気持ちのよい道。後1ヶ月もすると素晴らしい紅葉が楽しめそうな縦走路だ。
さあ、約1時間の稜線歩きを楽しむとしようか。
時折展望の開けた場所があり、ガスが切れかけた眺望が目に映るようになる。天候も少しずつ回復してきたようだ。
釈迦岳山頂直下は、急登の岩場が連続。高さ30mから40mの大岩登りをしているような気分だった。
鎖を頼りに両手両足を使って高度を稼いでいく。
ふいに視界が開けると、釈迦岳山頂の標識と釈迦如来の座像が出迎えてくれる。何とか登りきることができたと、ホッと一息。
狭い頂では、70代後半とおぼしき男性が悠然と弁当を使っていらっしゃる。振り返ると、三角錐のような御前岳と歩いてきた稜線が目に入る。
右手に目をやると、雲に覆われた空のはるか彼方に英彦山と鷹ノ巣山の山容が目に入る。
狭い山頂を避け、すぐ近くの普賢岳(最高点)で昼食をとる。ここには国土交通省の雨雲レーダーが設置され、展望所も整備されているのでランチにもってこいだ。
広々としたスペースにはベンチが設置され、ほぼ360度の展望が楽しめる。英彦山、阿蘇五岳、くじゅう連山、祖母山などの大パノラマが楽しめるとのこと。
あいにくこの日は曇天のため、期待した展望は今一つだった。
釈迦岳(左)と御前岳(右)の二つのピークが並んでいる様子を眺めると、「釈迦・御前」とセットで呼ばれる理由が何となく分かる。
今日のランチはキツネうどんといなり寿司。これにS氏差し入れの焼きウインナーが加わり、豪華(?)な取り合わせとなった。味はご想像にお任せする。
食後に山の名前を確認する「山座同定」を行うメンバー。雲仙普賢岳は確認できなかったようだ。
帰路は釈迦岳分岐までもどり、矢部越登山口へと続く登山道を下る。ブナやミズナラなどの原生林の中を下ること約30分で矢部越着。
広い車道から右をとり、舗装路を3回ショートカットする登山道を下る。
最後は、御前岳登山口へと続く林道をのんびり歩いて戻るだけ。歩き疲れた足に舗装道路が結構こたえる。
御前岳登山口近くの「杣(そま)の大吊り橋」(全長150m、全幅1.2m、最大高50m)に立ち寄り、高度感を楽しむ。高所恐怖症の人は要注意!
大吊り橋でおどけるS氏。「人生、楽しんだ者勝ち」という言葉が頭をよぎる。見習わなければ‥‥。
14時25分、登山口着。休憩時間を含め6時間余りの山行であった。
鯛生家族旅行村キャンプ場でテント泊
日帰りのS氏と分かれ、車で25分ほどの鯛生家族旅行村キャンプ場へ向かう。指示されたキャンプサイトは、静かで広々とした敷地。ケヤキの植樹が美しい。
割り当てられた12番の区画でタープを張り、椅子や調理道具を並べていく。強い日差しと喉の渇きに我慢できず、缶ビールをちびちび飲みながらの作業である。
このタープ(3m×4m)、実は先日購入しておいた物。B氏のご指導のもと、何とかうまく張れたようだ。
タープの次はテントの設営。N氏は木陰を選んで設置。
B氏はタープ(3m×3m)に手を加え簡易テントを設営。正方形のタープでこの簡易テントを設置する技に見入ってしまう。
小生のテントは、いつもの通り。脱ぎ捨てられた登山靴と放置されたザックが、いい加減さを物語っている。
シャワー室で汗を流した後は食事づくり。ビールをちびちび飲みながら七輪に火をおこし、ホイル焼きを作る。今日は帰宅しないでよいので、思わず笑みがこぼれてしまう。
サーモンのホイル蒸しの出来上がり。熱々を口に運ぶと、かぼすの香りが食欲をそそる。
続いて七輪であぶった焼き鳥(写真なし)を堪能した後は、牛肉。強火の遠火でじんわりと赤身肉をあぶっていく。この頃になると、白ワイン、赤ワイン、焼酎と何でもござれだ。
最後は炭火で焼いたバゲットをクラムチャウダーに浸して宴(うたげ)の1回戦は終了。この後はよく覚えていない。
山に登った心地よい疲労を五体に感じながら、飲み食べ笑って爆睡する。今日も幸せな一日であった。
深夜トイレに立つと、十三夜の月が煌々と輝いていた。素晴らしい月明かりに見入ることしばし。明後日の中秋の名月が楽しみである。
いにしへもあらじとぞ思ふ秋の夜の 月のためしは今宵なりけり 源公忠
※ 「ためし」= 手本、模範のこと
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