※ 本稿は2018年10月21日の山行記録を、10月24日にアップしたものです。
※ 前回の記事はこちら >錦繍のくじゅう連山を歩く(2) 燃える三俣山
目次
山行の概要
◆コース及び活動概要
※ 地図データと活動記録はYAMAPによるもの。
吉部~(鳴子側右岸道)~大船林道~坊がつる~大船山取付~段原~大船山頂~御池~段原~北大船山~大戸越(うとんごし)~分岐~(平治岳山麓トラバース道)~大船林道~(鳴子側右岸道)~吉部
※ 「鳴子川右岸道」は整備された登山道ではありません。ほとんど赤テープを頼りに歩くため、初心者にはお勧めしません。通行は自己責任でお願いします。
活動時間 | 7時間52分 |
活動距離 | 14.64km |
高低差 | 853m |
累積標高上り/下り | 1,145m/1,163m |
カロリー | 4,014kcal |
吉部から坊がつるへ
午前4時、トイレに行こうと床から起き上がる。体が硬くこわばっているのがわかる。冷気で首筋がひやりとする。外はかなり冷え込んでいるようだ。トイレを済ませ、もう一度ふとんに潜り込み、起床時間の5時までまどろむことにする。
朝食は、昨夜の鶏鍋の残りにうどんを入れたもの。温かいうどんで体が温まってくるのが分かる。昨夜N氏が握ってくれたおにぎり2個、たくわん3切れ、いわしの缶詰、フリーズドライの味噌汁、これが本日の昼食である。
午前6時45分、吉部の駐車場は既にかなりの車が並んでいた。今日は登山客が多そうだ。ここからの入山者は、ほぼ大半が大船山の紅葉目当てだろう。
静かにマイペースで歩きたかったので、鳴子側右岸の道をとることにした。この道は何度か通ったことがあるが、地図にものっていないため市販地図には難路を示す破線で表示されているため(2018年10月25日訂正)、あくまで自己責任で通行するのが原則である。道標はほとんどなく、赤(ピンク?)テープを頼りに進むことになる。
7時9分、登山口を出発。鳴子川の水音を聞きながら、気持ちのよい自然林をゆっくりと歩いていく。木洩れ日の中、澄んだ空気が胸にしみ入るようだ。
約40分で大船林道に出合い、林道を30分ほど道なりに進むと一気に視界が開ける。坊がつるの入り口である。紺青の空の下、坊がつるの広々とした空間が開けると、心がウキウキと弾んでくる。「何度来ても此処はいいですねぇ」とN氏。その通り。「いわんや、今日のような秋晴れの日をや」である。
8時44分、坊がつるキャンプ場着。そこここにテントが張られ、その間を登山者が行き交う。この雰囲気も好きである。
ふと目をやると、一面に霜が降りている。放射冷却で、今朝はかなり冷え込んだんだな。
避難小屋で行動食を食べ、早速登山道にとりつく。けっこうな人数が、次々に大船山をめざしていく。
坊がつるから大船山頂へ
大船山への登りにかかると、足が重い。昨日の疲れで足が思うように上がらないのだ。年はとりたくないものである。まぁそのうちに慣れてくるさ、と自分のペースで歩を進める。
後から軽装の登山者が追い抜いていく。どうやら、坊がつるにザックをデポしたきたようだ。前方からは早朝に山上の紅葉を楽しんだと思われる人たちが、次々に下山してくる。中には走り降りてくるトレ・ランもどきの若者さえいる。その都度挨拶を交わし、互いに道を譲り合う。
予想していたとは言え、この人の多さには辟易である。まぁ自分も登山者の一人なのだから、文句は言えないなぁ。せめて色づく木々と素晴らしい展望を楽しみながら、登るとしよう。
この日は前日以上の快晴で、紺青の空のもと登路の展望は格別であった。汗をぬぐおうとすると、まず阿蘇山の山容が目に飛び込んでくる。こんなにはっきりした陰影の阿蘇を見るのは、久しぶりである。コンパクト・デジカメの望遠のため、ぼんやりとしか撮影できないのが残念。
段原に着くと、人、人、人‥‥。大船山頂に着いても、同様の混雑ぶりである(10時26分着)。振り返ると、登山者が続々と山頂をめざしてくる。
これは早めに御池(みいけ)の紅葉を確認して、退散せねばなるまい、山頂から見下ろすと、御池を取り巻く真っ赤な紅葉が見事である。次の写真は日差しが強すぎて、露出オーバーなのだろう。空の青が白く色落ちしている。実際の紅葉は、もっと鮮やかな色彩であった。
N氏と池のほとりまで降りていき、紅葉の饗宴を味わう。二日続けての晴天に感謝である。
山頂に登り返し、長居は無用と早目に下山するつもりだったが、予定を変更することにした。言葉を失うほどの大展望に心を動かされたからである。この絶景を眺めながら、ランチを楽しみたくなったのだ。
まずは、山頂から段原へ連なる山腹の紅葉をじっくりと味わいつくす。たまらん!
アップで撮るとこうなる。
次は、久住山に連なる山並みである。左後方の阿蘇の山容も併せて楽しむ。視線を左に移すと、祖母・傾の稜線がくっきり見える。
右に視線を移すと、昨日お鉢巡りをした三俣山。黒っぽい山容を朱色が覆っているのが分かる。燃える三俣では、今日も人々の歓声が響いていることだろう。
その右手には、遠く由布岳の双耳峰が浮かび上がっている。
どんなに人混みにもまれても、大船山の大展望と御池の紅葉は見にくるべきだ、と改めて納得した次第。
復路は、人混みを避け近道を歩く
さて、帰路は混雑を避けて、近道を歩くことにした。段原から北大船山へと足を進め、そこから大戸越へ下る。大戸越から坊がつるへは下らず、途中で平治岳の山腹を北北東にトラバースし、大船林道へ至る道を行くことにした。多分これで25分間は時間短縮できるだろう。
人混みを避けた静かな下山道、近道、そして往路と異なる変化のある道、と三拍子揃った復路である。
北大船山から望む段原と大船山。どっしりと構えた大きな山容に、錦繍の衣を羽織ったような趣がある。この景観は心に残った。
大戸越から見上げた北大船山の紅葉、これもなかなかである。
静かな大船林道をのんびり歩く。出会ったのは、追い抜いていった二人連れと一組の団体さんだけ。
山行の最後を飾ってくれた紅葉。美しい日本の自然に感謝である。
2日間の山行を終え、これ以上ないほどの満足感に浸ることができた。幸せである。
帰りは、新清館(筌ノ口温泉)の露天風呂で汗を流し、帰路についた。
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