毎年10月20日前後の週末は、山友とくじゅう紅葉観賞山行に出かけることにしている。今年はあいにく参加者が少なく、B氏と二人だけの山歩き。狙いすました大船山頂の紅葉は極上の輝きだった。
※ 本稿は2020年10月18日の山行記録を、10月20日にアップしたものです。
目次
コースと活動概要
◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。
06:42 吉部登山口 ~ 08:19-08:31 坊がつる ~ 段原 ~ 10:35-11:37 大船山(たいせんざん・1,786m)~ 段原 ~ 13:05 坊がつる ~ 14:34 吉部登山口
参加メンバー:2名(B氏、がしん)
活動時間(含む休憩時間) | 7時間52分(行動時間:5時間44分、休憩時間2時間8分) |
活動距離 | 14.7km |
累積標高上り/下り | 1047m/1045m |
カロリー | 3,903kcal |
溢れかえる登山者に絶句
10月18日(日)午前5時30分、吉部登山口の駐車場到着。前夜は飯田高原某所にて車中泊をし、午前5時に起床。すぐさま吉部登山口へ移動してきたのだ。
駐車場の入口近くで異変に気づく。夜明け前の薄暗い時間にもかかわらず、すでにびっしりと車で埋まっているではないか。何とかいちばん奥に空いたスペースを見つけ駐車。
「今日の人出は半端じゃないよなぁ」と、顔を見合わせながら朝食のパンをほうばる。
午前6時40分頃、準備を整え出発する。他の登山者の喧噪を避け、鳴子側右岸のルートを行くことにした。
美しい自然林に覆われた登山道を1時間余り進むと、大船林道に出合う。ここからよく整備された林道を歩いていく。路上に目立ち始めた落葉に秋の訪れを感じつつ、坊がつるをめざす。路上の人影もまばらである。
吉部登山口を出発して約1時間30分。目の前に坊がつるの広く開放的な空間が現れる。正面にこれから登る大船山の山頂が見えてくる。紅葉はどんな具合だろう、期待で気持ちが高ぶってくるのが分かる。
ススキの銀色の穂が秋風にゆられ、いい雰囲気だ。平治岳の山麓にも色づき始めた紅葉がちらほらと目立つ。
坊がつるでトイレ休憩を終え、さっそく大船山に取り付く。しばらく登ると、すぐに登山者の行列に包み込まれてしまった。道が狭いため、一列縦隊で登っていくしかない。
やがて、前も後ろも登山者の長い列という状態になる。下山する人々も多く、離合する時はけっこう大変だ。
「こりぁ、坊がつるから山頂まで人の列が続いているかも?」という誰かの冗談にも笑えなくなるほどだ。山に行けば「三密」が避けられるなど、ゆめゆめ思うなかれ。
10時5分、段原到着。ここも登山者で溢れかえっている。
汗を拭きながら、展望を楽しむことにしよう。遠く雲の彼方に阿蘇五岳が浮かんで見える。
右手に視線を移すと、くじゅう連山の山並みが見渡せる。さらに右を見ると由布岳の双耳峰も鮮やかだ。
大船山頂を見上げると、赤く染まっているのが分かる。これは上々の紅葉が楽しめそうだ。もうひと踏ん張りするか。
息をのむ御池の紅葉
段原から山頂までは人の数も少し減り、周囲の紅葉を味わいながら登ることができた。
午前10時35分に大船山頂着、登山口から約4時間かかったことになる。予想通り山頂も人でごった返している。
御池の紅葉はと見ると、何と! 赤く染まった紅葉の饗宴がすぐそこにある。しばらく立ち尽くし、やがて思い出したようにカメラのシャッターを押す。周囲からも歓声やため息が次々と耳に入ってくる。
この絶景を見ることができるのなら、少々の人の多さなんて我慢できるというものだ。いくら見ても見飽きない。
もっと間近でこの美しさを堪能したくなり、池のほとりまで降りていくことにする。以下はごった返す人の中、何とかシャッターを押して撮影した画像である。
岩峰を彩る錦繍の美しさに息をのむ。コンパクトデジカメのため、この素晴らしさをうまく伝えられないのが悔しいほどだ。
B氏は御池のほとりで昼食、小生は山頂に登り返し大展望と山ろくの彩りを味わいつつのランチ。それぞれ好みの場所でゆっくりと食後のコーヒーまで堪能だ。眼福、眼福‥‥。
東京から訪れた女性3人と吉部へ
下山は往路と同様、坊がつるまで長く続く行列の一員となり、粛々(しゅくしゅく)と下るのみ。坊がつるの広々とした空間に出た時は、救われた思いだった。
振り返ると、大船山頂が遙か遠くにぽつんと見える。「また来るからな」と別れを告げ、吉部をめざす。
帰りも往路と同じ大船林道をそぞろ歩いて下山である。いつものことながら両側の緑が心をいやしてくれる。
林道から登山道への分岐で、妙齢の女性3人組に遭遇。初めて来たので、道がよく分からず不安だとか。どうやら我々と同じコースで大船山の紅葉を観賞したようだ。道案内を依頼され、先頭を進むことになる。
道中話を聞けば、東京からGo To トラベルを利用して九州を訪れたのだとか。金曜日に九州の地を踏み、阿蘇、由布、くじゅうと登山を楽しんだという。
ハードスケジュールで登山したわりには疲れも見せず、まだおしゃべりに余念がない模様。
「今晩はどこにお泊まりですか」と尋ねると、「下山後に大分空港までレンタカーを走らせ、羽田行きの飛行機に搭乗して、帰宅します。」とおっしゃる。
多分明日は仕事だろうと思うが、貪欲に遊び尽くす若さとエネルギーには脱帽するしかない。
「ミヤマキリシマが満開の平治岳を見てみたい」とのこと。またくじゅうに遊びにおいで。お気を付けて‥‥。
一方われわれ爺さん二人組は、九重やまなみ牧場「まきばの温泉館」で露天風呂にどっぷりとつかり、北九州への帰路についた。今日も実に幸せな一日だった。
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お役に立つ情報があれば幸いです。
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