※ 本稿は2018年11月10日の山行記録を、11月14日にアップしたものです。
「陽だまりハイク」という言葉があるそうだ。「陽だまりハイク」とは、小春日和の陽光を浴びながら山を歩くことを言うとか。既に立冬も過ぎ、木々の葉がみな落ちるこの時季は、見通しがよくなるため視界良好。気持ちのよいハイキングが楽しめるというわけだ。
山友のS氏から「どこか行きませんか」とのリクエストを受けていた。今年は紅葉の時期が早く、すでにピークは1,000m以下の山に移っている。くじゅう黒岳山ろくの男池(おいけ)周辺ならまだ紅葉が残っているだろうと考え、出かけることにした。
幸い予報は晴れ、風もほとんど無しとのことなので、快適な陽だまりハイクが期待できそうだ。
目次
今回のお題とコース
今回の山行のお題は
- 冬支度に入った黒岳(主峰は高塚山1,587m)で「陽だまりハイク」としゃれこむ。
- 男池(標高約850m)からかくし水(標高約950m)にいたる原生林で、紅葉を見つけ楽しむ。
◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。
男池登山口~風穴~天狗分かれ~高塚山~天狗岩~天狗分かれ~風穴~男池登山口
活動時間(含む休憩時間) | 7時間20分 |
活動距離 | 9.93km |
高低差 | 736m |
累積標高上り/下り | 944m/936m |
カロリー | 3,470kcal |
ふかふかの落葉と陽光のコラボ
登山口の男池を8時ちょうどに出発。男池の森に入ると、あたり一面に落葉が敷き詰められたかのようである。どこが登山道か分からないほどの落ち葉が満載だ。ふわふわの落葉を踏み分けての山行スタートとなった。
肝心の紅葉は既にピークを過ぎてしまったようで、ところどころに色づきが残っている程度。おまけにまだ日が当たらないため、くすんだ色彩で今ひとつぱっとしない。
いったい、どのくらいの量の落葉なのだろうか。見渡す限りの落ち葉がずっと先まで続いている。ふかふかの落ち葉の柔らかな感触が、足に心地よい。小生らが立てる乾いた足音以外は、何も聞こえない静寂が広がっている。
黒岳の魅力は、「手つかずの原生林」と呼ばれる男池周辺の自然林の美しさである。新緑や紅葉の盛りも美しいが、冬支度を始めた落葉の風景も何ともいえぬ風情がある。何度も歩いた道だが、来る度に新しい感動を覚える森である。
「奥ゼリ」の入口にあたる「ソババッケ」に着いたのが9時。黒土の露呈した窪地にやっと朝日が差し始める。さあ、これから陽だまりハイクの始まりだ。挨拶を交わしたパーティは、平治岳に向かうとのことだった。
大戸越(うとんごし)への道を右に見て、奥ゼリへと向かう。陽光がセリ口谷に差し込むと、気温が上がり始め、同時にこちらのテンションも高揚してくる。「気持ちいいですねぇ!」という月並みな言葉が、何度も口をついて出る。歩きにくい岩ゴロの登山道を進む足も、何となく軽やかである。
天狗岩で日なたぼっこ
登山者が憩う風穴(ふうけつ)着が10時、コースタイムどおりの時間である。数組の登山者がこれからの急登に備え、一息ついている。いずれも山慣れた方々ばかりのようだ。
小生らも行動食休憩とし、風穴の中をのぞいてみる。S氏はまだまだ歩き足りないようなたたずまいである。
このあたりの高度は約1,200m、木々は全て落葉し冬支度を終えている。その分空の青さが広がって見える。
風穴から高塚山頂までの急登は、それぞれマイ・ペースで登ることにした。最年長者の小生はゆっくり自分の呼吸で登りたいし、S氏が駆け上がりたいのは目に見えているからだ。
このS氏、フルマラソンを走り、あの過酷な「富士登山競走」に毎年参加しているのだから、小生とペースが合うわけがない。あっという間に姿が見えなくなった。N氏もその後を追随する。若いなぁ~。
小生はと言えば、手強い急登にあえぎ、ゆっくり高度を稼ぐしかない。「こつこつ、ゆっくり、人生フルーツ」である。しんどくなると足を止め、背後で次第に大きくなる大船山を眺め、一息つく。
高塚山のピークを踏んだ後は、天狗岩で昼食とした。雲ひとつない青空、風もほとんどなし、眼前にどっしり広がる大船山の山塊。降り注ぐ陽光を浴びて食べるおにぎりは、格別のうまさである。
おまけにS氏から焼きたてのソーセージとゆで卵の差し入れまでいただき、満腹々々。食後のコーヒーを飲む頃には、身も心もゆるみ切ってしまっていた。
いきなり「ヤッホー!」と大声で叫ぶ女性の声が‥‥。振り返ると、70代とおぼしき6~7名のパーティが展望を楽しんでいる。あまりの眺望の素晴らしさに、思わず大声が出てしまったのであろう。
帰路は、登路をそのままピストン。かくし水着が15時頃であった。
豊かな自然林の中を男池に向かって歩いていると、次第に紅葉の美しさが目につくようになる。傾きかけた西日に照らされた紅葉が、最後の輝きを放っている。くすんだように見えた朝の紅葉と同じとはとても思えない鮮やかさだ。
登山口までの約20分間、今秋最後の男池の輝きを堪能させてもらった。
10月中旬から始まるくじゅう連山の紅葉、その最後の輝きと余韻を楽しむには、格好のコースだった。
温泉は、例のごとく筌ノ口(うけのくち)温泉「新清館」の露天風呂。お湯は適温だったが、冷えこみが気になってきた。次の機会には、共同浴場(屋内)に入るとしよう。
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