奈良&京都見聞録(10) 京都迎賓館、オール京都のおもてなし

投稿日:2019年2月20日 更新日:

京都迎賓館の庭園(出典:「京都迎賓館」公式サイト/内閣府)

◆前回の記事はこちら >奈良&京都見聞録(9) 京都迎賓館、匠たちの一流の技に酔う

※ 本稿は2018年12月20日の記録を、2019年2月20日にアップしたものです。

 

オール京都のおもてなし

 旅行からもどり、録画していた番組「京都迎賓館 極める! 京都の技とおもてなし」(NHKプレミアムカフェ、2018年12月14日放映、102分)を見て驚いた。この番組は、富司純子と寺島しのぶ母娘が京都迎賓館を訪問し、迎賓館実現の立役者である建築史家・中村昌生氏の案内でその魅力を伝えるという内容。

回廊から見る庭園(出典:「京都迎賓館」公式サイト/内閣府)

 小生が驚いたのは、京都迎賓館で賓客を迎える際の接遇のやり方。そこには、京都の総力を挙げてのおもてなしが提供されることが分かったからだ。以下、番組からの受け売りである。

 京都迎賓館の正規職員はわずか10数名、この人数で海外の賓客の接遇ができるわけがない。では、どうするか? お客様の予定が決まると、京都中のおもてなしの達人たちが総力を挙げ、最高のおもてなしの準備を始めるのだという。その幾つかを箇条書きしてみると‥‥

  • 壁を飾る絵画や床の間の掛け軸は、季節や賓客にふさわしい美術品を、その都度京都市中の美術館から探し出し借りてくる。京都市の美術館の収蔵庫は、迎賓館の収蔵庫でもある。
  • 海外のVIPを歓迎する生け花は、京都いけばな協会の協力で、34流派の家元たちが持ち回りで生けている。これも、季節や賓客の好みを考慮して生ける。
  • 京都迎賓館の厨房には、専属の料理人がいない。晩餐会の料理と接遇は、京都の名だたる料亭やホテルが回り持ちで担当する。料理人だけでなく、食材、食器、調理道具一式が搬入される。

出典:「京都迎賓館が特別公開中!」婦人画報サイト

 「迎賓館にお客様を迎える折には、どこの国のお方か、どれくらいの年代の方か、どういった会議や会合なのかをあらかじめ聞いた上で、花、器、生け方などを考える」(大津光章氏、京都いけばな協会会長)そうである。この「日本のおもてなしの心」が、接遇の隅々にまで行き届いていることが分かる。

 番組では、「京都迎賓館を見守る会」の様子も紹介されていた。京都迎賓館の建設に携わり、生涯最高の仕事をしたと自負する人たちは、毎年1回迎賓館に集まる。百名にも及ぶ職人や関係者が、自分が担当した部分が変わらず保たれているか点検しているという。

 京都迎賓館が「日本の伝統技能の粋を集めた最高のおもてなしの場」と称するに値する施設だと、腑に落ちた。

 

京都迎賓館を知るために

◆「京都迎賓館」/京都新聞 特集アーカイブ
 地元「京都新聞」が迎賓館の建築、庭園、調度品等を紹介するシリーズ。匠たちの隠されたエピソードが紹介されており、興味深く読んだ。迎賓館を訪れる前に一読しておけば、理解も感動も深まることと思う。

◆動画『京都迎賓館』(政府インターネットテレビ」)
 居ながらにして京都迎賓館の素晴らしさを味わうことができる動画(約15分)。実に分かりやすく的確に迎賓館の魅力をまとめてくれている。

内閣府 京都迎賓館(内閣府京都迎賓館公式ウェブサイト)
 迎賓館の参観予約のやり方も含め、概要を把握するために。

 


※ シリーズ「奈良&京都見聞録」関連記事はこちら  >

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