雑事に追われ、この3週間ほど山にはご無沙汰である。仕事に就いているわけではないが、居住するマンションの管理組合業務に追われていたのだ。連日のデスクワークで腹が出、足腰がなまってきたのがよく分かる。
少し長めの山歩きで体に活を入れる必要があろうと、「裏英彦山ルート+三峰縦走」という老人には自虐的な(?)山行に出かけることにした。
※ 本稿は2019年12月7日の山行記録を、12月10日にアップしたものです。
目次
コースと活動概要
◆コース及び活動概要
※ 山行軌跡図はYAMAPによるもの。
08:24 高住神社 ~ 08:41 薬師峠 ~ 08:43 裏英彦山ルート登山口 ~ 09:59-10:15 ケルンの谷 ~ 11:01 籠水峠 ~ 11:52 南岳登山道出合~ 12:38 南岳(1,199.5m) ~ 12:59-13:44 中岳 ~ 14:05-14:23 北岳 ~ 15:14 高住神社
参加メンバー:2人(B氏、がしん)
活動時間 | 6時間50分(行動時間5時間16分、休憩時間1時間33分) |
活動距離 | 8.0km |
累積標高 上り/下り | 1,363m/1,364m |
消費カロリー | 3,575kcal |
高住神社からケルンの谷へ、誰もいない冬枯れの山を歩く。
PCの山行記録を確認すると、最後に「裏英彦山ルート+三峰縦走」を歩いたのは、昨年の11月15日。アタック山の会の例会山行の下見(単独行)だった。シーズン最後の紅葉を楽しみながら、のんびり歩いた記憶がある。今回は木々もすっかり葉を落とし、冬枯れの静かな山を楽しもうと思った次第。
高住神社到着が8時頃、駐車場そばの温度計には零度という表示が見える。車の外に出ると、しんしんと冷え込んでいるのがよく分かる。
準備を整え、薬師峠まで15分ほど歩き、林道から裏英彦山ルートに取り付く。杉の植林地の中を蛇行するように登山道が続いている。昨日の寒波による初冠雪が鮮やかだ。
高度を稼いでいくと、やがて植林はまばらになり、自然林を縫って歩く道に変わる。静かでいい雰囲気だ。山ふところに抱かれ、初雪が残る登山道をのんびりと歩いていく。
このルートの魅力は、この静寂と豊かな落葉樹の森にあるのだろう。びっくりするほどの大木に出合う機会も多く、手つかずの自然が味わえる。
気がつくと、樹木にナンバーカードが設置されている。登山道に沿って、ケルンの谷までこのカードが付けられている(確か最後は64番だった)。
34番のカードから少し進み、少し広めの尾根を横切る所に迷いやすい場所がある。道を見失い周囲をよく見回すと、右後ろ(4時の方角)に赤テープを発見! 去年もここで迷ったんだ。次からは34という数字を覚えておこう。
35番から先は、なだらかな下りが続き、次第に岩が多くなってくる。重なる岩を縫うようにして進み、10時少し前にケルンの谷に到着。
ザックを下ろし、積み上げられたケルンを眺めながらひと休みする。行動食を食べ、暖かい紅茶を飲むと元気が湧いてきた。
谷から山頂を見上げると、苔むした岩が初雪に覆われ、冬枯れの森が本当に美しい。いつまでも眺めていたいほどだ。
ケルンの谷から籠水峠を経て、南岳登山道出合いへ
ケルンの谷から籠水峠(こもりみずとうげ)までは、荒れた道に苦労した。落ち葉や雪で踏み跡が定かでない上に、倒木の下を何度もくぐり、雪や苔で滑りやすい大きな岩を乗り越え、足場の悪い急斜面をトラバースする所までも控えている。
何度かスマホのGPSで現在地を確認しながら、籠水峠を目指す。前半の穏やかな雰囲気の山歩きとは対照的な、変化に富んだ難路である。
籠水峠までに出合ったのは、シニア3人のパーティと、単独行の若い女性のみ。このお嬢さん、「どちらから?」という小生の問いに、「四王寺の谷から南岳に登り、鹿の角を経て籠水峠に降りてきました」とさりげなくおっしゃる。
ほとんど道らしき道もないあのルートを、たった一人で歩いてきたとは‥‥。久しぶりに出会った「男前」の女性(しかも美人)に脱帽であった。
籠水峠からさらに進み、道標の立つ四差路分岐(南岳登山道出合い)に着いたのが、11時52分。出発してから3時間30分かけて、英彦山の山ろくを半周したことになる。これからやっと南岳を目指す登山が始まるのだ。
分岐点の裏英彦山道への進路には虎ロープが張られ、「難路 道迷い多し、初心者不向き」との掲示が下がっていた。
南岳から三峰縦走、予期せぬ霧氷に感激
分岐点から南岳への標高差は約330m余り。裏英彦山道を3時間半歩いた後のこの登りは、さすがに泣きたくなる。何度も歩いた登路とはいえ、材木石までの岩ゴロの急な登り、その後に続く鎖場と岩場はこたえた。日頃の不摂生を反省させられた辛い登りであった。
南岳山頂に近づくと、周囲の木々にはことごとく霧氷が‥‥。いっぺんに疲れが吹き飛び、さっそくカメラでパチリ。
南岳から中岳へ向かう縦走路は、まるで霧氷のトンネルが続いているからのような情景だ。何枚も何枚もシャッターを押してしまう。
中岳山頂の上宮も、つんとすましたような風情だ。
上宮で参拝を済ませ、広場の休憩舎内で温度計を見ると零下1度。風が吹き込んでいるため、体感温度はもっと低いはずだ。4時間30分の山歩きの後だけに、腹はぺこぺこである。熱いカップ麺といなり寿司で空腹を満たし、コーヒーを飲み終えるとやっと体が温まってきた。
昼食を終え、さあ下山にとりかかろうかかという時、みるみるうちに雲が遠のき、青空が現れ始める。「おぉ~っ!」と自然に声が出てくる。
きつい登りを頑張ったご褒美だと勝手に解釈し、ここからは霧氷の個人撮影会だ。次から次へとアングルを変え、被写体を変え、シャッターを押す、押す、押す。
積み重なった岩と氷に冷や汗、足場を確認しながらの下山
北岳からの下山道、昨秋大きく崩落していた急斜面には、鉄製の歩道橋(?)が設置されており、少しは安全が確保されている。
しかし、橋を渡り終えた後の岩場はなかなか危険、一歩々々慎重に足場を固めて降りていく。
稜線から左折し、高住神社へ至るガレ場には、岩の上にうっすらと雪が積もり、おまけに氷までもが張り、危ないことこの上ない。恐る恐る慎重に下っていくしかない。
「溶岩の壁」を通過すると、岩から長いつららが何本も下がっている。
視界から雪と氷が消え、足裏に土の感触を感じた時には、さすがにほっとした。後は高住神社まで冬枯れの森をのんびり下っていくだけである。
本日の下山後の湯は、赤村「源じいの森」付設の温泉。広々とした湯船に飛び込むと、思わずうなり声が出てしまう。湯温41度のほどよい湯加減に包まれ、至福のひとときである。累積標高差が1,000mを越える山歩きは、久しぶりだったなぁ。
翌朝の起床時の筋肉痛は、なかなかのものであった。
※ 過去の英彦山の山行記録はこちら >初詣でを兼ねて英彦山へ
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