初めて味噌を作り始めたのが2018年2月。指折り数えると、今年で5回目の味噌仕込みとなる。今回は24kgの味噌を仕込むことにした。
目次
まずは、2年熟成味噌の開封から
味噌の仕込みに取りかかる前に、2年前(2020年2月)に仕込んだ味噌(米味噌8kg+合せ味噌8kg)を開封するとしよう。
これまで「天地返し(上下のみそを入れ替えるようにかき混ぜること)」もせず放置していたので、カビが生えていないか少し心配だ。
恐る恐る蓋を開け、様子をうかがってみる。味噌と容器が接する部分にカビは見当たらない。
重石と中蓋を取り出し、表面を覆っていたラップをはがしてみると‥‥、おぅ! きちんと熟成を重ねた2年味噌ではないか。
少しかきまぜ、少量を指に載せ香りをかぎ、味見してみる。問題なし。もう1桶の米麹味噌もよく出来ている。
これで夫婦2人、約1年間食べ続けられる量が確保できたことになる。
それでは、今年の仕込みに取りかかるとするか。
仕込み方と段取りの検討
今年の仕込み方
今年は、仕込み方を次のように変えてみることにした。
- 「3年味噌」の分まで仕込む
最も免疫力アップの効果が高いとされる「3年熟成味噌」。今年仕込んだ味噌は、2年後の2024年春から食べ始めることになる。
わが家の年間消費量は約15~16kgなので、それを越える量を仕込まないと3年味噌は味わえない。24kg(8kg×3セット)の理由はこういう次第。 - 水を地下水に変える
大豆に吸水させる水を、水道水から地下水に変え、品質(?)の向上を図る。 - カビ予防策を徹底する
熟成期間が3年間と長くなるため、カビ発生予防に十分配慮する。
段取りとスケジューリング
雑菌が繁殖しにくい大寒の頃が、味噌の仕込みに適した時期だとか。今年の大寒は1月20日なので、その翌週に仕込むことにした。
24日(日)に山行が予定されていたため、翌25日(月)を準備開始日に設定。
- 20日(木)、材料(大豆、麹、塩)の受け取り(毎週木曜が配達日)
- 25日(月)、大豆を洗い、汲み置いた地下水につける。蒸し時間短縮のため、2日間吸水させる。
- 26日(火)、道具を準備し、ミンサー(大豆をつぶす機器)のテスト運転
- 27日(水)、朝から味噌の仕込み作業。カミさんと2人で作業を行う予定。
25日(月)に大豆を洗って容器に漬け、カミさんに「明後日、味噌を仕込むので手伝ってほしい」と声をかけると、「あら、水曜日は体操教室の日よ」とにべもない。
しまった! カミさんのスケジュール確認を忘れていた。すでに大豆を水に漬けてしまった以上、もはや後戻りはきかない。やむなく一人で仕込み作業を行うことを覚悟したのである。
材料の調達と道具の準備
材料の調達
大豆4.5kgと塩切り麹(麹と塩を予め混ぜ合わせたもの)15kgは、いつもお願いする和田味噌に配達してもらう。合わせて20kgの材料はずっしりと重い。これが最終的には24kgの味噌となる。
水は、足立山地下200mの水を汲み上げた「妙見の水」を使用。20リットル(実際は24リットルぐらい)で100円。これも結構な重量である。
道具の準備
味噌の仕込み日までに、次の道具を揃え点検しておく。ミンサーは組み立て後に試運転を行った。
- 大きめのボウル・ざる‥‥各1個(大豆の水揚げに使用)
- 鍋‥‥2個(蒸し器のお湯を沸かす。湯沸かし用)
- 蒸し器‥‥2式(大豆を煮て作る場合は、大きめの鍋が必要)
- 蒸し布‥‥2枚(大豆を煮て作る場合は、不用)
- ミンサー‥‥1台(電動式、昨年購入)
- タライ‥‥1個(大豆と麹、塩をまぜるために使用。45型:直径45cm×高さ14.5cm、16リットルを使用)
- 熟成容器‥‥3個(味噌保存用、8kgの味噌を入れるには、11リットル以上の大きさが必要)
- 熟成容器の中蓋‥‥3個(容器の大きさに合ったもの)
- 重石‥‥3個(味噌重量の30%が目安だとか。ない場合は2リットルペットボトルで代用)
- ラップ
- 塩‥‥500g~1kg(カビ予防のため)
- 焼酎(35度)、アルコール等(容器等の消毒に使用)、
- 酒粕‥‥500g~1kg
- その他あれば便利なもの
ブルーシート、はかり、キッチンペーパー、大根(鍋の焦げ付き予防のため)、くず野菜(ミンサーの油抜き)
味噌を仕込む ~蒸してつぶし、まぜて丸めて、詰めるだけ~
味噌を仕込む日の鉄則は、納豆禁止!(できれば前日も控えた方がよい) 納豆菌は強力で「麹菌の天敵」と呼ばれているらしい。
1 蒸す
今回は蒸し器と中華せいろを同時に使用。1時間ごとにお湯の量をチェックしないと、すぐになくなってしまう。
親指と小指でつまみ、大豆がつぶれたらOK! 今年は寒さのせいか、蒸し時間は4時間必要だった。
蒸し器の底にたまった煮汁(?)は、後で使用するので取っておく。
2 潰す
大豆を冷まし、ミンサーにかけて潰していく。昨年購入した電動ミンサーが大活躍してくれる。実に頼もしい助っ人である。
わずか7~8分で、直径45cmのタライ1杯分の潰し大豆が出来上がり!
3 混ぜる
用意しておいた塩切り麹(塩と麹をよく混ぜ合わせたもの)を数回に分けて投入し、手で混ぜていく。
水分が足りないようであれば、ここで大豆の煮汁を少しずつ加え、柔らかさを調整していく。
素手で混ぜることで自分の常在菌も合わさり、味わいも自分好みになるのだとか。まさに世界で一つだけの「手前味噌」だ。
タライが少し小さかったようである(改善点)。
4 丸めて詰める
しっかりと混ぜ終えたら、おにぎりを握る要領で適当な大きさに丸めていく。握力と根気が必要である。
少し嫌気がさしてきたのでラジオをつけると、山口百恵の懐メロが流れてきた。味噌玉を握りながら「豆が違う、水が違う、塩が違う、麹も違う」と即席の替え歌を口ずさむ。テンションが上がってくる。
味噌玉を容器に入れて上からこぶしで押さえつけ、空気を押し出す感じで詰め固めていく。
詰め終わったら、容器に沿った部分を改めて指で押し込み、空気を抜いていく。この窪みにカビ予防の塩を置く。
天地返しをしなくてもいいように表面に酒粕を塗り、周辺部に塩を置く。
アルコールで容器に付着した大豆をきれいに拭き取り、ラップで覆い、中蓋と重石をのせて蓋をする。
最後に仕込み年月日と味噌の種類を貼り付けると出来上がり。後は時に助けてもらい、じっくり熟成を待つのみだ。
5回目の仕込みを終えた感想
自分で味噌を作り始めて5年。年に1回の作業だが、5回繰り返すとさすがに要領が分かってくる。「習うより慣れろ」とはよく言ったものだ。
5回目の仕込みを終えた感想は以下のとおり。
- 安全、安心、うまい味噌。食べられる幸せ、食べさせてやれる幸せ
昨秋、2年味噌を娘にお裾分けすると、味噌汁を飲み始めたという。息子も試しに送ってくれと言ってきた。
本厄を迎えたので「免疫力アップ、薬効性高し」という殺し文句が利いたのかも。嫁さんと3人の孫たちの健康のためにも、積極的に食べさせてほしい。 - 楽しみは、創意工夫の面白さ
作り手が何度も失敗を繰り返し、材料や作り方の塩梅(あんばい)を見つけ出すのが手作りの面白さ。
来年はこうしてやろう、という思いが継続の原動力だ。 - 「時の助け」を借りるという発想
効率や時短ばかり追い求めても、本物は生まれない。「時を積み重ね、時を味方につける」考え方が、少しだけ身についてきたようだ。
さて、息子一家に2年味噌を送る準備を始めようか。
※ 味噌に関する過去の記事はこちら >
シニアの家めし(15) なぜ、自分で味噌をつくろうと考えたのか?
シニアの家めし(16) 自分で味噌をつくってみた。
シニアの家めし(19) 味噌汁をいかにして簡単につくるか
シニアの家めし(21) 昨年仕込んだ味噌の「味噌開き」
シニアの家めし(29) 味噌16kgを一人で作る、ミンサー導入顛末(てんまつ)記
シニアの家めし(30) みそ玉を作って飲んで、考えた。
シニアの家めし(34) 味噌力の効果を倍増させる「長生きみそ汁」
◆本シリーズ「シニアの家めし」の次の記事はこちら >シニアの家めし(36) 「味噌バターもち」はいかが?
◆本シリーズ「シニアの家めし」の他の記事はこちら >シリーズ「シニアの家めし」関連記事へのリンク
[…] わが家流の味噌のつくり方に興味がある方は、昨年の記事がお役に立つと思う(その記事はこちら)。今回は圧力鍋に特化したマニアックな(笑)内容のため、興味のない方は飛ばしてい […]